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バイオ技術のイノベーションが医療の新時代を築く。
医療ジャーナリスト 平野勝巳
古い体制が崩れて新しい秩序が生まれるまえには必ず、それを可能にするイノベーション(技術革新)が起こる。医師と薬剤師が連携する「新医療システム」の広がりの背景にも、イノベーションがある。それがバイオ技術の革新だ。ササエキス配合の機能性食品など、その成果を報告する。
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エキスの質や力はイノベーションの力しだい。 |
巷には「アガリクスのβーグルカンがいい」「米ぬかのアラビノキシランが効く」といった広告があふれているが、それでは肝心の製品にそれら有効成分が十分かというと、心許ない「ニセモノ」も多い。しかし、そんななかで今、新しいバイオ技術が「本物」を生み出している。
例えば、胃潰瘍や胃がんの原因とされるピロリ菌への強力な殺菌作用が国際ピロリ菌学会で発表され、話題になっているクマイ笹エキス「AHSS」。この機能性食品をめぐっては、さらにバイオス医科学研究所(神奈川県平塚市)で殺菌作用をもつ成分の構造解析が続けられている。機能性食品のなかにも、こうしたイグザクト・サイエンス(厳密科学)の対象になるものが生まれている。
ササのエキスを配合した機能性食品はほかにもあるが、AHSSは有効成分の質・量ともに群を抜いている。その差を生み出したのが、新しい抽出技術である。
AHSSは「循環多段式加圧抽出法」と呼ばれる新技術で抽出されている。同抽出法は、名称どおり、圧力や温度を数段階に分けることで有効成分の構造を壊さず抽出し、真空減圧濃縮で蒸発した水分を循環させることで揮発性成分も逃すことなく取り出すことに成功した。そのヒントは、岩盤を砕いて伸びるツクシンボの生命力にあったという(『本物の健康食品』エイチアンドアイ社刊)。
この抽出法から生まれたAHSSは、抗がん作用が注目されているアラビノキシランの構成成分であるアラビノースを従来の熱水抽出の16.2倍、キシロースを91.3倍(日本食品分析センターの分析)も多く含んでいる。
さらに、量の多さに止まらず、抽出成分の質も、ほかのササエキスとは"異質"であることもわかってきた。ピロリ菌に対する強力な殺菌作用が確認されたのはAHSSだけだ。同じ原料でも、抽出法によってエキスの質や力がまったく違ったものになってしまう。これがイノベーションの力である。
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「循環多段式加圧抽出法」で、機能性食品の常識を覆すデータ続出。 |
もちろん、新しい技術が生まれても、汎用性が低ければ、技術革新にはつながらない。その点、同抽出法は一種類の原料にとどまらず、数多くの原料から数多くの新しい機能性食品を生み出す可能性を秘めていることが、注目される最大の理由だ。
「循環多段式加圧抽出法」による機能性食品は現在、クマイ笹エキスのほか、霊芝・アガリクス・冬虫夏草などをハイブリッド化した製品、キャッツクローとルチン(ダッタンソバの成分)を混合させた製品などがつくられており、メシマコブや田七人参の抽出も進んでいる。
これらの分析データも、機能性食品の常識を覆すものばかりだ。例えば、がんの元になる細胞を早期に傷害・排除する腫瘍壊死因子(TNF-α)がある。その誘導活性力を各種の機能性食品と比較したデータでは、同抽出法による霊芝・アガリクス・冬虫夏草などを配合した「ハイブリッドグルカン」の力は、他社のアガリクスやきのこエキスの17倍〜32倍にのぼる結果になった。
この連載の第1回で紹介した「新医療システム研究会」の活動のバックボーンになっているのも、じつはこのバイオ技術である。こうしたバイオ技術のイノベーションが、これからの医療革新の切り札になることは間違いない。
(Medical Nutrition 48号より)
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