効果があるか否かではなく、 至適用量を探る時代へ。
 高輪メディカルクリニック院長 
 秀明大学客員教授 久保 明

 今回は高用量ビタミンBの投与と虚血性疾患の再発予防の関係、ビタミンCとがんの化学予防についての総説について報告する。


 ホモシステイン濃度の低下で血管イベント減少も。 

米国のToole氏らは、 高用量ビタミンBの投与は血中ホモシステイン濃度を低下させるが、 虚血性疾患の再発予防には低用量と差がないとする介入試験をJAMA (291巻565ページ、 2004) に報告した。

試験は米国、 カナダ、 スコットランドの医療機関で後遺症のない脳梗塞患者3680人を対象に行われた。 高用量群はピリドキシン (ビタミンB6) 25mg、 コバラミン (ビタミンB12) 0.4mg、 葉酸2.5mgとし、 低用量群はピリドキシン200μg、 コバラミン6μg、 葉酸20μgとした。

血中ホモシステイン濃度は、 試験前は両群ともに平均13.4μmol/Lであったが、 1ヵ月後高用量群は2.4μmol/L低下。 低用量群では0.3μ mol/L の低下にとどまった。 その差は2年後にはさらに広がっていた。 しかし、 2年間の虚血性脳卒中の再発率は、 高用量群9.2%、 低用量群8.8%と有意な差は見られない。 ホモシステイン濃度との関連を見ると、 低用量群において3μmol/Lの低下が冠血管疾患を26%減少させたが、 高用量群では有意なリスク減少はなかった。


 ビタミンCとがん予防再検討。 

米国のLee氏らは、 ビタミンCとがんの化学予防についての総説をAmerican Journal of Clinical Nutrition (78巻1074ページ、 2003) に発表した。

抗酸化物の豊富な食物が、 単独の抗酸化成分よりも密接にがんのリスク低減と関わっているとの研究がある。 野菜、 果物のがん予防効果は、 単一の活性物質よりもファイトケミカル、 ビタミン、 食物繊維などの相乗効果によるものであろう。 実際、 食事中のファイトケミカルは抗酸化ビタミンよりも強力な抗酸化・抗腫瘍効果を持ち、 がんの化学予防に寄与していると思われる。

腫瘍の発育促進は酸化と炎症のプロセスと密接に関係しており、 また長期かつ可逆的なプロセスなので、 抗酸化物質の豊富な野菜、 果物、 穀物は、 プロセスを逆転させることが可能である。

よって、 1日5盛の野菜と果物から200〜280mgのビタミンCを摂ることが勧められる。 サプリメントが通常の食事よりも優れているかどうかは、 さらなる検討が必要だ。

コメント:Toole氏らの研究は結果的に両群で差はなかったが、 投与しない群を対照に設定するのではなく、 高用量と低用量を比べるところまで来ている点に注目したい。 効果があるか否かではなく、 至適用量を探る時代なのである。 そしてそれは、 本当にメガビタミンが必要なのかという問いかけにもなっている。

またどれだけホモシステイン値を下げたら血管イベントの予防につながるかを示しており、 臨床での目安として有用であろう。

ビタミンCとがんに関してはこれまでも諸説があったが、 Lee氏らは予防の観点から再検討を試みた。 結論はサプリメントではなく野菜や果物からということになっている。 興味深いのはビタミンCが抗酸化作用とともに抗炎症作用をもち、 多様なメカニズムでがん予防に役立っているということである。


(Medical Nutrition 60号より)


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