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前駆細胞の血中レベルの測定で、将来、血管障害のリスクを測定できるようになるか。 高輪メディカルクリニック 院長医学博士 久保 明
今回は、米国Hill氏らの血液中の血管内皮前駆細胞が血管機能および心血管系疾患のリスク因子として有用だとする説と、Frolkis氏らによる臨床使用を想定した条件でのスタチン系薬剤のLDLコレステロール低下作用についてレポートする。
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血管内皮前駆細胞が心血管リスクの指標に。 |
米国のHill氏らは、血液中の血管内皮前駆細胞が血管機能および心血管系疾患のリスク因子として有用だとする説をNew England Journal of Medicine(348巻593ページ、2003)に発表した。
心血管系にリスクはあるが既往はない男性45人(平均50歳)の末梢血から、血管内皮前駆細胞のコロニー形成単位数を測定した。
すると、血中の血管内皮前駆細胞数と対象者の複合フラミンガム危険因子スコアとの間に相関関係が見られ、リスクが増加している症例では前駆細胞は低レベルであった。健康男性において血管内皮前駆細胞のレベルは、累積する心血管系リスクと血管機能の代理指標になるかもしれない。
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スタチンのLDL低下――実地診療での手ごたえは? |
米国のFrolkis氏らは、臨床使用を想定した条件でスタチン系薬剤のLDLコレステロール低下作用を調べ、American Journal of Medicine(113巻625ページ、2002)に報告した。
スタチン未使用の高脂血症患者367人に、常用量のアトルバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチンとプラセボを投与した。添付文書に記載されているガイドラインから、個々の患者に適したLDLコレステロールの低下作用を算出した。
その結果、LDLの平均低下率は26±20%で、期待値の34±7%よりも小さかった。実際値/期待値の差に、薬剤による違いは現れなかった。このギャップは、患者のコンプライアンス不良を反映すると思われる。
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境界域の症例ではサプリメントでコントロールという選択肢も浮上。 |
コメント:動脈硬化は、堆積したプラークが破れて血栓を生じ発生すると考えられている。近年では、プラークに剥離しやすいプラークとそうでないものの2通りがあることがわかってきた。プラークの主体は変質・増殖した血管平滑筋細胞である。
Hill氏らは、血管内皮筋細胞に分化する前駆細胞が血中にあり、これが血管内皮を修復して、動脈硬化の進行を抑制するのではないかと提唱した。すなわち、それが不足したり、流動性が低下すると、機能障害が進行するという。
予防医学の側面からは、この前駆細胞の血中レベルを測定することで、将来の血管障害のリスクを測定できるようになるかもしれない。そして、それに対処するライフスタイルはどのようなものか、というところまで研究は進むだろう。
それは近未来の話として、Frolkis氏らの報告は、日常診療での問題点を指摘したものである。臨床試験の結果と、実際の現場での印象が異なるのは、スタチンに限らずよく経験することである。同氏らはその理由を、臨床試験参加者と実際の患者の属性の違いよりは、コンプライアンスに起因するものと指摘している。
自覚症状の乏しい高脂血症では、治療への参加意欲をいかに維持するかが大きなポイントである。その意味で、境界域の症例では入手が容易なサプリメントでコントロールするという選択肢も浮上してくる。
(Medical Nutrition 48号より)
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