ビタミンEは抗酸化だけではなく血管にも作用。
 高輪メディカルクリニック
      院長 医学博士 久保 明

ビタミンEといえば、抗酸化作用が前面に押し出されていたが、最近では血管や腫瘍への機能も注目を集めている。そのトレンドを受け、欧州の研究者から総説が発表された。その中からドイツのBrigelius-Flohe氏らの報告を紹介する。


 動脈硬化への作用など、ビタミンEに新たな可能性。

ドイツのBrigelius-Flohe氏らは、ビタミンEについて現時点の知見と今後の研究をまとめ、American Journal of Clinical Nutrition(76巻703ページ、2002)に報告した。

ビタミンEはその抗酸化作用から、酸化ストレスによる疾病、例えば心血管疾患、がん、慢性炎症、神経障害を予防するとの報告が多い。また、ビタミンEにはいくつかのサブタイプが知られ、それによって吸収、分布、代謝が異なっている。しかし最近の臨床試験では、一定の結論は得られていない。

α―トコフェロールは、さまざまな細胞間シグナルの伝達に作用している。例えば単球からのIL―1βの放出、単球の内皮細胞への接着などである。α―トコフェロールは、炎症における多くの主反応を阻害すると見られる。そしてその機能のほとんどは、プロテインキナーゼC(PKC)阻害によって説明可能である。


 植物エストロゲンは閉経後女性の動脈硬化を軽減か?

オランダのVan der Schouw氏らは、食事からの植物性エストロゲン摂取が閉経後女性の動脈硬化を軽減する可能性についてまとめて、Arteriosclerosis, Thrombosis,and Vascular Biology (22巻1316ページ、2002)に発表した。

研究は403人の女性を対象に行われた。イソフラボンとリグナンの摂取量を食事頻度質問表により算出した。大動脈硬化は、PWV(大動脈脈波速度)で非侵襲的に評価した。

その結果、食事からのイソフラボン摂取量の増加が、大動脈硬化を低下させた。食事からのリグナン摂取の増加もPWV値を改善した。これらの結果は高齢の女性において明らかであった。動脈硬化と大動脈変性のリスクを、動脈壁への効果を通して予防することを裏付けている。


 コメント:

これまでビタミンEといえば、抗酸化作用が前面に押し出されていたが、最近では血管や腫瘍への機能も注目を集めている。そのトレンドを受け、欧州の研究者から総説が発表された。なお、論文ではα、β、γなどの差をまとめているが、天然型、合成型の違いについての議論には至っていない。

ビタミンEがIL―1βに作用し、炎症に対する機能もあるというのは、炎症が血管障害の新しい引き金と言われていることを合わせると、大変興味深い。

またPKCは糖尿病において血管障害にはたらくなど、さまざまな反応のカギを握るので、動脈硬化に限って言えば、PKCの阻害率が高いα―トコフェロールに着目したい。

論文は「ビタミンEを抗酸化剤としてのみ考えているとしたら、それは過小評価である」と結論づけているが、同感である。


(Medical Nutrition 45号より)


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