がん予防に食事の重要性を説くのは世界共通。
 高輪メディカルクリニック院長
 医学博士 久保 明

英国のKey氏らは食事とがんとの研究を、フィンランドのKnekt氏らは、フラボノイドと慢性疾患との関連をまとめ、このほど発表した。どちらも食事の重要性を説き、「体重のコントロール、アルコールの摂取制限、野菜・果物・穀類の摂取」予防策として上げている。問題はそれをどう実行するかである。


 十分な量の果物、野菜、穀物を食べること。食事とがんの研究総ざらい。

がんの促進因子として喫煙が第1位なのはよく知られているが、それに次ぐものとして、特に先進国においては、食事が約3割を占めているとされる。英国のKey氏らは、これまでに報告された食事とがんとの研究をまとめ、Lancet(360巻861ページ)に報告した。

例えば、アルコールの摂取は、口腔、咽頭、喉頭、肝臓のがんの原因となる。野菜と果物の摂取は、おそらくいくつかの種類のがん、特に消化器がんのリスクを下げる。その他の因子、例えば獣肉、食物繊維、ビタミンについては明らかではない。その上で、「十分な量の果物、野菜、穀物を食べること、定期的な身体活動を通じて健康な体重を維持すること、アルコールの摂取を制限すること」とアドバイスしている。


 フラボノイドは慢性疾患を予防する。

フィンランドのKnekt氏らは、フラボノイドと慢性疾患との関連をまとめ、American Journal of Clinical Nutrition(76巻560ページ)に発表した。

同氏は、1万54人の男女の食事内容を調査し、そのなかのフラボノイド摂取量を検討した。その結果、(1)ケルセチン摂取量の高い人は、虚血性心疾患による死亡が低下した(2)脳血管疾患の罹患はケンプフェロール、ナリンゲニン、ヘスペレチンを多く摂取する群で低くなった(3)喘息については、ケルセチン、ヘスペレチン、ナリンゲニンの摂取でリスクが低下した(4)2型糖尿病のリスクの減少は、ケルセチンとミリセチン摂取により促進された。

同氏は、推奨する方法として、現在のところは健康体重を維持すること、アルコ−ル摂取を抑えること、従来型のバランスの取れた食事、特に野菜、果物、穀物の適正な摂取を挙げている。


 ■いかに実行するか■

コメント:10月1日、日本癌学会総会で、食物繊維と大腸がんの発生に関する研究結果が発表され、予防効果はないと結論づけられた。結果はネガティブでも、日本人を対象とした介入試験として、その意義は大きいと考えられる。

とはいえ、食事の重要性が依然として大きいのは事実。同時期に、海外で食事と疾病の関連を追究した報告がなされたことがそれを示している。そして、結論が「体重のコントロール、アルコールの摂取制限、野菜・果物・穀類の摂取」と殆ど一致しているのも興味深い。

しかし、お題目を伝えるだけでは実行の可能性は低いだろう。そこで当院では「今、自分の体がどのような位置にいるか」を理解してもらうための地図として、「健康寿命ドック」を考案し、従来の検査とは全く異なるコンセプトの健診を行っている。その上で、食材別、料理法別に細かくアドバイスする。もちろん、食事の提案は栄養士が行う。


(Medical Nutrition 44号より)


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