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アルコール摂取は痴呆のリスクを下げる。 高輪メディカルクリニック院長 医学博士 久保 明
オランダのRuitenberg氏らは、中程度までの飲酒量なら、痴呆のリスクを減少させるとの前向き研究をまとめ、Lancet(359巻281ページ、2002)に報告した。
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非飲酒群に比べて痴呆のリスクを有意に減少 |
研究は55歳以上の男女7983人を対象に行われた。試験開始時に痴呆がなく、アルコール摂取についてのデータがある人を対象とした。観察期間は平均6年。
その結果、この間に痴呆を発症した人は197人、内訳はアルツハイマー病146人、血管性が29 人、その他が22人であった。飲酒の量によって(1)週1杯未満(2)週に1杯以上だが1日量は1杯未満(3)1日1〜3杯(4)1日4杯以上(5)非飲酒――の5つのカテゴリーで危険率を解析した。
すると、(3)群が非飲酒群に比べて痴呆のリスクを有意に減少させていた。この傾向はアルツハイマー、血管性、その他の型いずれにおいても認められた。アルコールの種類については差が見られなかった。
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ワインは体に良い。さてビールは? |
イタリアのDi Castelnuovo氏らは、循環器疾患のリスク低減に及ぼすワインとビールの違いを調べ、Circulation(105巻2836ページ、2002)に発表した。ワイン、ビールともに消費量と循環器疾患のリスクの負の相関が明らかになった。
約20万人を対象とした13件の研究を解析したところ、ワインを飲む人は、飲まない人に比べて循環器疾患のリスクが32%減少していた。
ただし、摂取量とリスクの間には「J型カーブ」が存在し、1日150mlが境。それ以上量を増やしてもリスクが減り続けることはない。
一方、ビールについては、15件・合計約20万人の研究で、中等量の摂取がリスクを22%減少させた。しかし、ワインのように消費量とリスクの有意な関連は見出せなかった。
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人それぞれの「百薬」。 |
コメント:ワインに含まれるポリフェノールがさまざまな機能を有するのは、すでに周知のことである。では、ワイン以外の酒ではいけないのだろうか。今般イタリアの研究者がそれを統括し、ワインの方がややリスク低減数値は大きいとの結論に達した。
これを受けて、同誌のエディトリアルでは、次のような説が展開されている――「嗜好する年齢層を考えた場合、ビールはワインよりも若年であると考えられる。すると、ビールを飲む人はもともと年齢が若く、10年観察しても何の疾病も発症しない確率が高いと思われる。その反面、ワインの愛好者には高年齢層が多い。そのような集団だから、ワインの恩恵をより享受できたのだ」。
もうひとつ、Ruitenberg氏は結果を性別に解析しているが、いずれも男性の方がアルコール摂取によるリスク低減が大きいことが判明した。
7月に発表された日本の動脈硬化診療ガイドラインで、個人個人のリスクに応じた数値設定が改定されたのは記憶に新しい。日常診療でアルコール摂取についてアドバイスする際も、個人のリスクに応じてエビデンスを活用してみよう。
(Medical Nutrition43号より)
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