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英国の研究者から抗酸化ビタミンの効果を疑う報告。 高輪メディカルクリニック院長 医学博士 久保 明
英国の研究者からショッキングな報告。抗酸化ビタミンの効果を否定するものだが、これをもって抗酸化ビタミンは価値がないと結論づけるのは早計。こうしたネガティブデータから何を学び、日常の診療にどう落しこんでいくかかが大切なのではないか。
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ハイリスク群への抗酸化ビタミンはメリットなし |
循環器疾患や糖尿病の患者に抗酸化ビタミンを投与しても、がんや循環器疾患の罹患と死亡を減らせなかった。英国のHeart Protection Study Collaborative GroupがLancet(360巻23ページ、2002年)に発表した。
心疾患、閉塞性動脈疾患、糖尿病のいずれかを有する2万536人(40〜80歳)をランダムに2群に分け、それぞれに抗酸化ビタミン(1日ビタミンE600mg+ビタミンC250mg+β−カロチン20mg)かプラセボを5年間摂取させた。その結果、「血管障害による死亡」「血管障害以外を原因とする死亡」「全ての死亡」のどの分類でも有意差が生じなかった。そのほか心筋梗塞や脳卒中、がんの発生等についても有意な差はなかった。
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冠動脈疾患への抗酸化ビタミンに疑問符 |
米国のBrown氏らは、冠動脈疾患でHDLコレステロール低値の患者では抗酸化ビタミンは効果がないとの報告を、New England Journal of Medicine(345巻1583ページ、2001年)に発表した。
160名の患者を以下の4つのグループに分けて3年間追跡した――(1)シンバスタチン+ナイアシン(2)抗酸化ビタミン(3)シンバスタチン+ナイアシン+抗酸化ビタミン(4)プラセボ。その結果、心血管系イベント(死亡、心筋梗塞、脳卒中、血行再建)の発生率は(1)3%(2)21%(3)14%(4)24%であり、抗酸化ビタミンがシンバスタチンより劣るばかりでなく、薬剤の効果を打ち消している可能性が示唆された。
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抗酸化ビタミンを用いると、何も起こらない人の割合が下がる。 |
コメント:昨年のBrown氏らに引き続いて、8月にはまたもショッキングな報告が、今度は英国の研究者から上がってきた。いずれも抗酸化ビタミンの効果を否定するものだが、これらをもって抗酸化ビタミンは価値がないと結論づけるのは早計ではないか。なぜなら、両者とも様々な背景をもった患者をひとくくりで議論しているからである。その中ではサプリメントが必要な人とそうでない人が混ざっていて、効果が見えにくくなっている可能性がある。
例えば、食事からの摂取が十分な群と不十分な群、抗酸化ビタミンの血中濃度が高い群と低い群、さらには組織中濃度の高低で分けて検討すれば、違った結果が得られたかもしれない。そうすることで、どのような患者にどのサプリメントをどれだけ推奨するのが望ましいのか、より個人対応の栄養指導に近づく。今回はあえてネガティブデータを紹介したが、それらから何を学び、日常診療に落とし込んでいくかが求められている。
(Medical Nutrition42号より)
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