アルツハイマーの頻度低下にビタミンC、Eが注目。
 高輪メディカルクリニック院長
      医学博士 久保 明


 ホモシステインの上昇はアルツハイマー病の危険因子

米国のSeshadri氏らは、ホモシステインの血中濃度の上昇が、アルツハイマー病の強い危険因子であるとの研究結果を発表した(New England Journal of Medicine346巻p476、2002年)。1092人(男性425人・女性667人、平均76歳)を対象に行われ、ホモシステインの血中濃度を測定する一方、認知機能の検査を2年に1回実施して平均8年間追跡した。

その結果、追跡期間中に111人が痴呆と診断され、そのうち83人がアルツハイマー病であった。研究では、血中ホモシステイン濃度が上位4分の1に入る群と、それ以外の群に分けて痴呆症になるリスクを検討した。すると、年数が経過するにつれ、アルツハイマー病を発症する頻度が、ホモシステイン高値群で上昇することがわかった。


 葉酸でホモシステインを下げると血管機能が改善

香港のWoo氏らは、葉酸サプリメントを10mg/日、1年間にわたって摂取すると、血管内皮機能が改善され、動脈硬化を予防する可能性が示唆されるとした。American Journal of Medicine (112巻p535、2002年)に掲載された。血中ホモシステイン濃度が高い健康な成人29人に対して、1日10mgの葉酸を1年間摂取させたところ、血中葉酸濃度は有意に上昇し、ホモシステインレベルは9μmol/Lから7.9μmol/Lへ有意に減少した。Flow−mediated dilation(薬剤によらない血管拡張)も顕著に改善したが、ニトログリセリンによる拡張には変化がなかった。


 ビタミンC、Eでアルツハイマーの頻度が低下

オランダのEngelhart氏らは、ビタミンCとビタミンEの摂取がアルツハイマー病のリスクを低下させるとJAMA(287巻p3223、2002年)に報告した。これはオランダの住民で、痴呆のない5395人を対象にした前向きコホート研究。平均6年の観察期間の後、197人が痴呆を発症し、そのうち146人はアルツハイマー病であった。年齢、性別、抗酸化サプリメントの使用、アルコール摂取、喫煙、BMIなどを補正して検討したところ、ビタミンCとEの高用量摂取で、アルツハイマー病のリスクが18%低下した。とりわけ喫煙者では、顕著であった。


 コメント

アミノ酸の一種、ホモシスティンは心筋梗塞など冠動脈疾患発症の危険因子としてはよく知られていた。今回の報告は、アルツハイマー病との関連を明らかにした点で興味深い。アルツハイマー病の治療薬は、現在塩酸ドネペジルのみが一般臨床で用いられているが、治療率は高くない。今回の3編からは、ホモシステインを下げる葉酸や、抗酸化物質としてのビタミンC、Eなどもアルツハイマーの治療戦略の一端となる可能性が示唆される。これらの成分を食材からとるか、サプリメントとして摂取するかの優劣は、今後注目すべき課題である。

(Medical Nutrition41号より)


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