|
アイ鮫の肝油 赤血球変形態に改善が見られ、ドロドロ血液がサラサラ状態に
有効成分を特定して抽出する医薬品と違って、健康食品の中には複数の有効成分を有するハーブなどの天然由来のものが多い。食経験のない一部の素材については有害事象が報告されているが、ほとんどの素材については、安全面は問題ないとされている。医療現場で注目を集める健康食品にスポットをあて、学術動向、研究開発動向を紹介する。
 |
抗腫瘍活性作用があるスクアラミンなどの天然有効成分を多く含むアイ鮫の肝油 |
「これだけの疾患に有効とされるデータがあると、こちらとしては逆に使いにくい面がある」。都内のある臨床医は、アイ鮫の生肝油を使った臨床文献に目を通しながら溜息交じりにこう話す。
深海鮫の中でも水深1000メートルに生息するアイ鮫の肝油には、スクアラミン、スクアレン、オメガ3脂肪酸、R-27(胆汁アルコール)など天然有効成分が多く含まれている。これらの複合作用により、免疫活性作用や抗酸化作用が強いことから、欧米では様々な疾患に対し、臨床応用が進められている。しかし、全方位で何にでも有効とされる健康食品は、一症例一剤を基本とする日本の医療界にはなかなか理解されにくい面がある。
「アイ鮫肝油中のスクアラミンに抗腫瘍活性作用があることは、欧米ではすでに認められていること」と語るのは西新宿プラザクリニックの出村博医師。薬学博士の久郷晴彦氏も、「ハーバード大学の研究チームが、スクアラミンにがん細胞の新生血管阻害作用があることを突き止めたことが欧米で注目されるきっかけとなった」と説明する。
この研究報告は93年2月15日付のニューヨークタイムズに掲載された。記事では、「深海鮫の肝臓成分には抗生物質の中でも最強のものと同等の力があり、しかも現在使用されている抗生物質に耐性を持ち始めた感染症にも効果的と推察される」という動物実験結果が紹介されている。この続報は日本にも紹介され、98年11月22日にNHKスペシャル「海・知られざる世界」で放映され、国内の医学界でも注目を浴びた。
 |
動物実験により安全性の高さも確認 |
動物実験では、アイ鮫の肝油が使用された。現在はテキサス州のサンアントニオ癌研究センターで臨床試験が行われている。担当医のゲイル・エックハルト医師は、「まだテストの途上であり、発言には慎重にならざるを得ない」と前置きしながらも、「スクアラミンには副作用がほとんどない。少なくとも従来の抗がん剤のような激しい嘔吐や下痢、脱毛、白血球の減少といった症状は見られない。非常に良い兆候だ」と話している。
安全性については、帝三製薬が行った試験でも確認された。試験では、ラットに経口投与と腹腔内投与を行い、4日間の経過をみた。その結果、経口及び腹腔内へ、通常量の500〜1000倍という大量投与でも顕著な異状は認められず、急性毒性としての安全性は高いことが確認された。
特定疾患への有効性については、欧米から様々な症例が報告されているが、統計だった臨床データはない。医学的に解明されているのは、東洋医学でいうの改善、つまりドロドロの血をサラサラにする作用があることだ。
独立行政法人食品総合研究所の菊池佑二上席研究官が開発した毛細血管モデル装置MC−FANを用いて血液レオロジーを計測すると、「アイ鮫肝油の摂取前に比べ摂取後は、赤血球変形能(活性能)の明らかな改善が見られる」(東京女子医科大学成人医学センター)という。MC−FAN開発者の菊池氏は、「この装置は毛細血管を通過する際の血液の流動性を血液通過時間によって定量化し、さらにモデルを通過する血液の状況を画像で確認できるので、血液がサラサラ状態なのか、ドロドロ状態なのかが一目でわかる。血液に対する健康食品の効果も一目瞭然」と説明する。
 |
天然成分100%の生肝油が市販され、米国代替医療の現場でも使用 |
現在、米国代替医療の現場で多く使用されているのは、アイ鮫肝油の中でも、冷圧法といわれる特殊抽出法で搾った生肝油だ。製造元は日本企業のアクアヘルスジャパン(TEL092-738-1311)。同社は、九州・五島列島近海での鮫漁水域の独占契約を獲得し、水産庁の指導のもと、1ポイントでのアイ鮫の最適資源リサイクル量である年間300トンを60ポイントで捕獲している。
製造工程は、まず低温下でアイ鮫の肝臓を粉砕、冷却遠心分離し、個体・液体成分を分離、油状液体成分のみを採取、その後、不純物を除くためにメッシュろ過する。そして酸化を防ぐために低温下の真空釜で生肝油中の酸素を脱気、肝油を窒素ガス処理して不快臭と水分をとばす。こうして天然成分100%の新鮮な生肝油を耐熱・耐湿のソフトカプセルに充填したものがサプリメントとして市販されている。
(Medical Nutrition35号より)
|