「おなかの調子を整える食品」とα―グルコシダーゼ阻害剤の併用に注意
 医薬情報研究所 エス・アイ・シー
 医薬情報部門責任者  堀 美智子

血糖値が気になり始めた方の食品として知られているL−アラビノース、グァバ葉ポリフェノール、小麦アルブミン、豆鼓エキス、難消化性デキストリン。糖尿病をターゲットにした場合は、これらの食品の使用にあたっては、医療関係者に相談することが予測されるが、糖尿病の患者への使用にあたって注意を忘れがちなのが「おなかの調子を整える食品」とα-グルコシダーゼ阻害剤の併用である。


 血糖値が気になり始めた方の食品の摂取で注意したいこと。 

血糖値の表血糖値が気になり始めた方の食品としては、表に示すように、L−アラビノース、グァバ葉ポリフェノール、小麦アルブミン、豆鼓エキス、難消化性デキストリンがあります。この中で、L−アラビノース、グァバ葉ポリフェノール、豆鼓エキスは、糖を分解して、吸収される単糖にする酵素の働きを抑えることで、糖質の吸収を遅らせることが知られています。この作用を有する物質は、医療用のα−グルコシダーゼ阻害薬として、使用されており副作用として、腹部膨満感や腸閉塞様症状が知られています。

そこでこれらの食品を、過剰に摂取した場合には、同様の注意が必要となります。すなわち、未消化の糖質が腸内で発酵し、ガスを発生することで、腹部の膨満感が出現したり、また腹部の開腹手術の既往のある患者の場合、腸内の癒着から腸閉塞様症状を引き起こす可能性が心配されます。

また、小麦アルブミンや、難消化性デキストリンは、その作用の詳細は不明であるが、糖の吸収を遅らせることが知られています。

ところで、最近、糖尿病の治療薬として、食後の過血糖の抑制を目的とした、超即効型の血糖降下剤や、インスリン製剤が使用されています。そこで注意したいのは、食後の過血糖を抑制するこれらの薬と、食後の糖の吸収を抑えるこれらの食品との併用による、低血糖の発現です。そして、もし低血糖が発生した場合には、その対応としてブドウ糖の補給が必要となります。

このような血糖値が気になり始めた方の食品として、明らかに糖尿病の人をターゲットにした食品については、すでに糖尿病の治療を受けている人は、これらの食品の使用にあたっては、医療関係者に相談することが予測されます。もちろん薬剤師としても注意を払っていると思われます。


 消化器系への副作用など、糖尿病患者が気をつけたいフラクトオリゴ糖の摂取。 

しかし、糖尿病の患者への使用にあたってつい注意を忘れがちなのが、おなかの調子を整える食品とされている、オリゴ糖や食物繊維です。これらオリゴ糖は、難消化性のため、大量に使用した場合、未消化の糖質により下痢が引き起こされることが知られています。そこでこれらの食品と、α−グルコシダーゼ阻害剤の併用は、未消化の糖質が増え、腹部の副作用が増加する可能性があります。

この併用に対する注意は、医療用として使用されている、オリゴ糖の一種である、ラクチュロースの添付文書には、"併用注意:α−グルコシダーゼ阻害薬(消化器系副作用の増強)"と記載され注意が喚起されています。また、さらに注意したいのは、食物繊維やオリゴ糖の中の、フラクトオリゴ糖のように、糖質摂取時の血糖値の上昇を抑制することが知られている成分を含む食品です。消化器系の副作用の増大、低血糖に対する配慮など、糖尿病患者の、これらの食品の使用は慎重に検討されるべきであると考えます。


(Medical Nutrition41号より)


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