骨粗鬆症で注意したいカルシウム摂取の仕方
 医薬情報研究所 エス・アイ・シー
 医薬情報部門責任者  堀 美智子
 公園前薬局 青木 吉次

骨粗鬆症を気にする人が、その予防や治療効果の向上を期待して利用する特定保健用食品や、いわゆるダイエタリーサプリメントについては、骨粗鬆症の治療が行われている患者さんの場合には服用のタイミングなど注意が必要。食事との関連でカルシウム含有のサプリメント摂取法を探ってみた。


 ビスホスノネート系製剤服用の患者さんが注意したいカルシウム摂取法 

体内には、骨形成を行う骨芽細胞と、その逆の働きをする破骨細胞があって、両者の働きはバランスがとれていると健康といえます。しかし、加齢や閉経などに伴うホルモンの変化や、ねたきりなどの運動不足状態、また、ダイエットなどによるカルシウム不足、酒、タバコ、コーヒーの多飲、副腎皮質ステロイド剤のような医薬品の副作用などさまざまな影響で、骨の破壊、骨吸収が進みすぎたり、骨形成が抑えられたりすると、骨密度が減少し骨粗鬆症になるとされています。

現在、骨粗鬆症の患者は、800万人〜1000万人と推定され、そのうち実際に治療を受けている人は1/5くらいであろうと推測されています。そのため、検査を受け、骨粗鬆症と診断された場合には、治療を積極的に行うよう啓発して行く事が大切です。その他に骨粗鬆症の発症リスクを少しでも減らすための情報提供が望まれます。

ところで、骨粗鬆症を気にする人が、その予防や治療効果の向上を期待して利用する特定保健用食品や、いわゆるダイエタリーサプリメントについては、骨粗の治療が行われている患者さんの場合には注意が必要となります。

ビスホスホネート系製剤は、骨からカルシウムが溶け出すのを防ぎ、骨量を増やす働きがあります。血清中のカルシウムが低くなると、骨を破壊して血中のカルシウム値を上げたりするのですが、この薬によって、骨吸収が抑制され、一時的に血清カルシウム値が低下することが予測されます。そこで、ビスホスホネート系製剤を服用している患者さんには、食事などから十分なカルシウムを摂取していただくことが必要であり、カルシウム不足が疑われれば、カルシウムを補給しなければなりません。

やっかいなのは、ビスホスホネート系製剤は、カルシウムとキレートを作り、吸収が抑制されてしまうため、牛乳や、カルシウム、マグネシウムを多く含むミネラルウォーターでの服用を避け、食事についても、薬の服用後30分は控えることが重要となります。そのため、ビスホスホネート系製剤の服用中は、カルシウム摂取を、少なくとも30分ずらして行うことがポイントとなります。


 ビタミンD3製剤、ビタミンK2製剤の摂取で注意したいこと 

一方、ビタミンD3製剤は、腸管からのカルシウムの吸収を促進させて、血中カルシウム値を上昇させる作用があります。そのためカルシウムを含む特定保健用食品などとの積極的な併用では、高カルシウム血症を起こす可能性があります。カルシトリオール製剤(活性型ビタミンD3)では、高カルシウム血症の副作用として、投与開始初期に多いとの報告があることから、飲み始めには、特に注意が必要といえます。

次に、ビタミンK2製剤は、骨基質蛋白質であるオステオカルシンのグルタミン酸残基のγ-ガルボキシル化を促進します。γ-カルボキシル化オステオカルシンが細胞外へ分泌されると、リン酸カルシウムと結合能力を発揮し、骨の石灰化を促す骨形成作用と、また骨を破壊する破骨細胞の分化誘導を抑制する骨吸収抑制作用を併せもっています。このビタミンK2は脂溶性であるため、吸収には胆汁酸が必要となることから、空腹時の服用では吸収が低下します。脂肪分とともに服用すると吸収されやすくなるので、食事が摂り難いときには、バターを使ったクッキーや、牛乳とともに服用するといった説明も必要でしょう。

このように、カルシウム含有のサプリメントを、時間をずらして服用することが望ましい薬剤や、カルシウムを積極的には摂取しないほうがよい場合などがあり、注意が必要です。


(Medical Nutrition39号より)


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