ACE阻害薬服用時にはカリウムを含む特保や果物の摂取に注意
 エス・アイ・シー 堀 美智子/公園前薬局 青木 吉次

カリウムは血圧を下げる働きがあることがわかっているが、過剰摂取や高カリウム血症について注意が必要な人がいる。血清カリウムを上昇させる可能性のある医薬品の中にはACE阻害薬など高血圧の治療に用いられる薬が含まれており、これらを長期服用されている方はカリウムを多く含む果物などの摂取には充分注意されたい。


 血圧低下に効果のあるカリウムも、高血圧治療薬を服用の際には注意を

カリウムは野菜や海草、果物に多く含まれる成分で、平成9年国民栄養調査では、摂取量の基準値は2.5gでした。ところで、体内に吸収されたカリウムは、ナトリウムの尿中排泄を促進することにより、血圧を下げることがわかっています。わが国を含めた世界32カ国52集団の1万人あまりを調査したINTERSALT研究からの疫学データによると、カリウムの摂取15mmol (約0.6g)増加により最大血圧は1mmHg低下と予測されています。高血圧を是正できれば、脳卒中や虚血性心疾患を含む循環器系疾患のリスクが低下することが期待されます。国内の疫学データによると、日本での平均最高血圧が1mmHg低下すると、脳卒中による死亡率は男性4.3%、女性2.2%、全体で3.2%低下すると予測されています。

そこで、健康日本21では、成人1日あたりの平均カリウム摂取量を現在より1g増やして、1日3.5gにすることにより、最大血圧は1.7mmHg低下すると予測し、カリウムの摂取をおおいに勧めています。

以上のことから、カリウム摂取のメリットが強調されることは大切ですが、過剰摂取や高カリウム血症について注意が必要な人がいます。例えば、腎機能障害で、カリウムの排泄が抑制される人。また、医薬品には、血清カリウム値を上昇させる可能性のあるものが知られています(表1参照)。表1にあるような薬剤を服用している人は、薬剤の作用により血中のカリウム値が上昇する可能性が予測されます。そこで、以前から、これらの薬剤を服用中の患者に対しては、果物など、カリウムを多く含む食物の摂りすぎに注意するようにと説明されています。

 ACE阻害薬、カリウムを含む特定保健用食品の服用・摂取に注意を

ところで、問題なのは、表1にある血清カリウムを上昇させる可能性のある医薬品の中にはACE 阻害薬、アンジオテンシン拮抗薬(これらの薬は、体内のレニン−アンジオテンシン系を抑制し、血管拡張作用、アルドステロンの抑制、腎尿細管でのナトリウム・水再吸収抑制作用等により、血圧を低下させる)という高血圧の治療に用いられる薬が含まれていることです。ここにあげた医薬品は、高血圧治療薬としては比較的使用頻度が高いものです。高血圧治療薬は、長期間服用することになる医薬品ですから、様々な日常的な注意と高カリウム血症についての注意が必要です。


さらに、血圧が高めの人に紹介される特定保健用食品にもカリウムが含まれているものがあります(表2参照)。ペプチド系の特定保健用食品は、医療用医薬品のACE阻害薬に類似した作用メカニズムである点から、ペプチドとカリウムを多く含むものについては、さらに食品からのカリウム摂取を積極的に行うことは避けたほうが良く、注意が必要となるかもしれません。カリウムの摂取を勧める時には、同時に服用することになる医薬品や、特定保健用食品などの利用状況について必ず確認することが大切です。


(Medical Nutrition 35号より)


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