歯の健康に特定保険食品の活用を 医薬情報研究所 エス・アイ・シー 医薬情報部門責任者 堀 美智子 公園前薬局 青木 吉次
今回は、薬剤の副作用である唾液分泌の低下がもたらす歯への影響や、歯を丈夫にするための食品について解説。
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虫歯の原因になりにくく、丈夫にする食品 |
特定保健用食品として勧められる虫歯の原因になりにくい食品や、歯を丈夫で健康にする食品としては表のようなものがある。
カゼインホスホペプチド―非結晶リン酸カルシウム複合体(CPP-ACP)は、虫歯が作り出す酸によって溶け出たカルシウムやリン酸を補い、脱灰したエナメル質をもとに戻そうとする再石灰化を促進する。このカゼインホスホペプチド―非結晶リン酸カルシウム複合体は、牛乳から作られた成分なので、パッケージには「牛乳由来成分」と表示されている。このことからその摂取については牛乳アレルギーのある人は注意が必要となる。
牛乳アレルギーには乳糖不耐症と、牛乳蛋白にアレルギーを持つ場合の2種類あるが、この場合問題となるのは、牛乳蛋白に対してアレルギーのある人だ。牛乳蛋白カゼインは医薬品や食品にも使われており、タンニン酸アルブミン(カゼインを含む)などでは牛乳アレルギーの人は投与禁忌になっている。
また、蛋白加水分解物としてカゼインが添加された食肉加工品(ハムやソーセージ)などでは、摂取後に喘息の症状が悪化した事例も報告されていることから、牛乳蛋白カゼインを含む食品の利用については、牛乳アレルギーの患者は注意することが大切である。
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唾液分泌の低下が虫歯の原因に |
ところで、昔からメジャートランキライザーなどの抗精神病薬を服用している精神疾患患者では、う触が多くみられる傾向が知られていた。これは、歯口清掃が充分ではないのだろうと考えられていたが、現在は、服用している薬剤の副作用である唾液分泌の抑制が大きな原因とされている。
虫歯は、砂糖などを摂取すると歯垢中に生息する細菌(虫歯菌)がこれを分解して酸に変え、歯垢のpHを低下させ、そのpHが臨界pH(約5.5)以下になり、歯の表面を覆うエナメル質が溶け出す(脱灰)ことがきっかけとされている。唾液の分泌は、酸性に傾いた口腔内をアルカリ性に戻し、溶け出たミネラルをエナメル質に補って再石灰化させるのに役立つことから、唾液分泌の抑制により虫歯が起こりやすくなると考えられている。唾液分泌を抑制する薬剤は、医療用の添付文書に口渇として記載され、全医薬品の約2割に記載がなされている。この副作用を有する薬剤として抗精神病薬や三環系抗うつ薬、抗ヒスタミン薬、モルヒネなどがよく知られている。
これらの薬物の唾液分泌の抑制機序は、唾液分泌促進に働きかける副交感神経の働きを抑えることによるとされている。実際唾液分泌抑制を引き起こすとされている薬剤は、抗コリン作用を有するものであり、副作用の発現頻度は、決して低いものではない。
しかし、唾液分泌の減少による、口腔内衛生の低下は、虫歯の原因となるだけでなく、口内炎、舌炎、口腔内感染症等も問題となる。特に高齢者では、誤嚥性肺炎の原因ともなるとされている。
口腔内衛生の管理は、とても重要である。歯磨きや、お茶(カテキン)やボビドンヨード等を使用してのうがい、また、口腔内の保湿を保つために、霧吹き等で口の中に水を吹きつけたりといった対応も大切である。
さらに、ガムやあめをなめることが可能な人に対しては、こららが唾液腺を刺激して、唾液分泌を促進させる効果が期待出来る。この時、ガムやあめとして、特に勧められるのが、表にしたような歯の健康のために勧められる特定保健用食品である。特保のガムやあめを使用して、唾液分泌させるなど、賢く特保を活用してもらいたい。
(Medical Nutrition 32号より)
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