骨粗鬆症(ビタミンK2を中心に) 医薬情報研究所 エス・アイ・シー 医薬情報部門責任者 堀 美智子
骨粗鬆症の予防では、食品に含まれるビタミンK2の効果が注目されている。ビタミンK2高生産納豆菌を用いて製造された納豆もそのひとつ。ビタミンK2製剤や納豆とワルファリンとの相互作用について解説する。
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ビタミンK2が豊富な納豆 |
超高齢化を迎えた日本では、転倒による大腿骨頸部骨折が原因で、寝たきとなることがないよう、思春期・成人期からの骨粗鬆症の予防対策が進んで取り込まれている。骨粗鬆症の予防では、従来のカルシウム摂取を中心とした食事療法や、運動療法に加えて、最近では食品に含まれるビタミンK2の効果が注目され、ビタミンK2高生産納豆菌を用いて製造された納豆が、「カルシウムが骨になるのを助ける骨蛋白質(オステオカルシン)の働きを高めるよう工夫されている」として、特定保健用食品に許可されている。
この納豆(ビタミンK2を通常の納豆の1.5倍以上含む納豆)の開発は、我が国の摂取率が高い地域(東日本)では、大腿骨頸部骨折患者の発生率が少ないという調査結果が報告されたことがきっかけとなっている。また、日本人は欧米人に比べてカルシウム摂取量は少ないにもかかわらず、欧米人よりも大腿骨頸部骨折の発生率は低く、これには納豆を食べる食生活が大きく関与していることも報告されている。骨折に対する納豆の効果は、含有するビタミンK2によるとされるが、ホウレン草やキャベツに比べビタミンK2含有量が特に多いわけではない。しかし、納豆に含まれる納豆菌は腸内でさらにビタミンKを合成する。また、特定保健用食品となったものは、ビタミンK2の高産生菌を用いており、ビタミンK2の豊富な供給源とされている。
ビタミンK2は、もともと血液凝固に必須の脂溶性ビタミンとして知られているが、その後、骨形成を促進する作用があることが解明された。ビタミンK2は、グルタミン酸からカルシウム結合能力を有するガンマカルボキシングルタミン酸を作るのに必須である。このガンマカルボキシングルタミン酸を含んだ蛋白質(オステオカルシン)は骨芽細胞でつくられて骨の基礎に蓄えられるが、ビタミンK2はオステオカルシンを介して骨形成を促進し、また、骨吸収を抑制する働きもあることが明らかにされてきた。これらの働きから、ビタミンK2は現在、医療用医薬品として、骨粗鬆症、及びビタミンK欠乏による血液凝固障害=出血の治療に使用されている。
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ビタミンK2とワルファリンの相互作用 |
ところで、これらのビタミンK2製剤や納豆についての使用上の注意点として、ワルファリンとの相互作用がよく知られている。ワルファリンは、ビタミンKに拮抗して、血液凝固を阻害し、血栓形成の予防作用を示す医薬品である。ビタミンKを含む医薬品や納豆とは併用してはならず(併用禁忌)、ワルファリン服用中の患者さんへは、納豆の摂取を避けるようにとの指導が行われている。ただし、納豆については、含有するナットウキナーゼが、血栓予防に効果があるという報告があり、納豆がワルファリンの血栓形成予防作用を助けるのではないかというように、様々な情報を誤解している消費者も一部いるようだ。従って、納豆の摂取を勧めるにあたっては、ワルファリンとの相互作用を確認し、血栓症、骨粗鬆症について適切な情報を提供して、賢い利用が行われるように努めるべきである。
なお、骨粗鬆症対策として、ビタミンK2製剤や納豆以外にも、さまざまな医薬品、特定保健用食品が使用されている(表)。さらに、カルシウム強化あるいは、ビタミンDが添加されている加工乳などが食料品店で販売されている。ただし、医薬品の中には、活性型ビタミンD3製剤のように、腸管からのカルシウムの吸収を促進させて、血中のカルシウム値を上昇させるものがあり、カルシウムを含む食品等との併用では、高カルシウム血症を起こす可能性がある。一方、ビスフォスフォネートはカルシウムと結合して、相互に吸収を抑制するため、同時摂取は避ける必要がある。このように、食品と医薬品との相互作用については、注意が必要なことも多く、患者さんが摂っている食品、医薬品の両方をふまえて対応することが大切である。
(Medical Nutrition 31号より)
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