高脂血症 医薬情報研究所 エス・アイ・シー 医薬情報部門責任者 堀 美智子
生活者はもちろん医療関係者でも判断しづらい「健康食品と薬品の相互作用」。今回は、高血圧をテーマに、ACE阻害薬服用者のカリウム摂取に際しての相互作用などにについて解説。
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血圧低下のための減塩と、食品からのカリウムの積極的摂取 |
健康日本21では、血圧低下のための目標として、成人1日あたりの食塩摂取量の減少を挙げており、目標値を10g未満としている。一方、カリウム摂取量については、増加を目標として、成人の1日摂取量を3.5g以上としている。
これらの目標値は、現在の国民栄養調査結果と、インターソルト研究報告などから、ナトリウムは100mmol摂取低下あたり最大血圧を平均3mmHg低下させると予測されること。また、カリウムは15mmolの摂取増加あたり最大血圧を1mmHg低下させ、最高血圧を1mmHg低下させるごとに脳卒中死亡率を3.2%低下させることが疫学調査結果より予測されることから設定されたものである。すなわち、減塩と、食品からのカリウムの積極的摂取が勧められている。
カリウムは、果物や野菜に多く含まれるが、水煮などの調理過程で失われる率も多いことから、野菜スープや生食できる果物は、良いカリウム補給源となる。表1に主な果物のカリウム含有量を示しておく。ところで、わが国最初の厚生省認定特殊栄養食品は「減塩しょうゆ」であった。この減塩しょうゆも平成8年5月の栄養改善法の一部改正で、「病者用食品」の範疇に入り、低ナトリウム食品など減塩調味料として許可されており、食塩制限を指示されている高血圧の方などに利用されている。減塩しょうゆとしては、塩化ナトリウムの量が通常の約半分にあたる9%ほどに抑えられている。一方、病者用食品ではないが減塩塩に関しては、塩化ナトリウムが50%ほどに抑えられ、その分塩化カリウムを多く含むものとなっている。
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ACE阻害薬服用者はカリウム摂取に注意 |
カリウムは、体内で血液、筋肉、細胞膜中にと広く分布しているが、同じ一価の陽イオンであるナトリウムと分布が異なり、カリウムは細胞外で低く、細胞内で高い。他方、ナトリウムは逆に細胞外で高く細胞内で低い。この両者の不均衡が、生命維持に関係する信号の伝達をはじめとして、細胞内外の水の輸送、タンパク質の合成などの重要な生理機能と結びついている。
食物中に存在するカリウムは、そのほとんどが小腸から約30分で吸収され、主に腎臓から排泄される。ホメオスタシス機構による恒常性により、血清カリウム値は3.7〜4.8Eq/lと一定に維持されている。しかし、腎排泄能の低下や服用している医薬品の影響などで高カリウム血症を引き起こす可能性がある。わが国の例ではないが、70歳の狭心症女性が、カリウムが含まれていると知らずに、カリウム94mmol/l(0.4g/100l相当)を含むスープを摂取して、高カリウム血症(血清カリウム9.1mEq/l)を発症した例や、体重7.56kgの8カ月幼児、体重4.36kgの生後27日の乳児に、親がカリウムを含むMorton's Solt Substitutcをそれぞれ72mEq/teaspoon、1/4〜1/2teaspoon摂取させたところ、致命的に近い高カリウム血症となった報告例がある。
血清カリウム濃度は、5.5mEq/l以上になると心筋の興奮伝達速度が抑制され、8mEq/l以上になると心房停止から伝導遅延で各種不整脈が発現し、ついに心停止に至るとされる。医薬品の中には、血清カリウム値を上昇させたり、高カリウム血症を発症するリスクのある薬剤(表2参照)があるので、これらの医薬品を服用している患者に対しては、積極的なカリウムの摂取は勧められない。
前述したように、血圧が高い人は、カリウムを含む食品を積極的に摂取することが望ましいわけであるが、高血圧の治療薬として、ACE阻害薬やカリウム保持性利尿剤を使用中の患者や、腎機能障害のある患者などでは、カリウムの摂取に対して注意が必要になる。
表2のような薬を使用している人では、医薬品の影響に加えて、キウイフルーツを一度に何個も食べたり、いちごを10粒〜20粒と食べてしまうと、血清カリウム値が上昇し、高カリウム血症を引き起こす可能性がある。さらにカリウムを多く含む減塩塩などに対しても注意が必要である。
(Medical Nutrition 29号より)
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