高脂血症 医薬情報研究所 エス・アイ・シー 医薬情報部門責任者 堀 美智子
ハーブサプリメントのセントジョーンズワートと処方薬の相互作用例が判明して以来、医療現場では健康食品の摂取状況に配慮する動きが出ている。日本医科大学病院や神戸朝日病院が行った調査によると、外来・入院を問わず、医師・薬剤師に黙って健康食品を摂取している実態が浮かび上がった。これまでは、医薬品の適正使用のために、薬物間の相互作用がチェックされていたが、今後は食薬間にも注意を払い必要が出てきた。医薬情報研究所エス・アイ・シーの医薬情報部門責任者、堀美智子氏に医薬品と食品の飲み合わせについて、併用したら危険なケース、併用した方が良いケースなどを解説してもらう。
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脂溶性ビタミンやβ-カロチンの吸収を抑制する植物ステロールエステル |
従来より、脂質代謝異常は、動脈硬化を進展させる重大なリスクとされ、血清資質低下のために、生活指導・運動指導・食事療法、薬物療法などが進めれてきた。 高脂血症の食生活を見直す中で、特定保健用食品の利用も、積極的にすすめられるところである。現在、約30品目の特定保健用食品が、「コレステロールが高めの方の食生活に役立つ」として販売されている。 これらの食品に含まれる成分は、大豆たんぱく質、低分子化アルギン酸ナトリウム、キトサン、グロピン蛋白分解物、サイリウム種皮、リン脂質結合大豆ペプチド、植物ステロールエステル、ジアシルグリセロールなどである。
作用としては、キトサン、サイリウム種皮、植物ステロールエステルなどの様に、繊維成分として消化管内でコレステロール吸収を抑えるものや、大豆たんぱく質などの様にコレステロール取り込みレセプター数の増加や、抗酸化作用について検討されている成分もある。 消化管内で、これらの繊維成分は食品中のコレステロールを包み込んで体外へ排出するように働くとされることから、コレステロールだけではなく脂溶性ビタミン(ADEK)、β-カロチンなどの吸収も抑制されると考えられる。
現在では、植物性ステロールエステル成分を含む食品については、β-カロチンの吸収を抑制することがるので、果物・野菜類と共に摂取するよう注意表示がなされているが、同様の作用機序を有する特定保健用食品についても、脂溶性ビタミンなどの吸収不良に注意する必要がある。 また、医療用医薬品であるジギタリス(強心配糖体)製剤は、ゴボウ、レンコン、山菜など、植物繊維が多く含まれる食事とともに摂取すると、普段より吸収が阻害され、効果が減弱する可能性があることが知られている。
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陰イオン交換樹脂製剤と繊維成分の併用は注意 |
ジギタリス製剤を服用している疾患患者では、高コレステロール血症などの合併症を有する率も高いと思われることから、これら特定保健用食品を併用さっる可能性も考慮した患者対応が必要である。 また、医療用高コレステロール血症治療薬の中でも陰イオン交換樹脂製剤(コレスチラミン、コレスチミドは、体内で吸収されず、消化管内で胆汁産や外因性コレステロールを吸着して、糞便中への排泄を促すとされる。この働きは前述した特定保健用食品が、消化管内でコレステロールを包み込んで体外排出させるという作用と類似することから、陰イオン交換樹脂製剤を服用している患者については、これら特定保健用食品の併用はすすめられない。 もちろん前述したように陰イオン交換樹脂製剤を長期に服用している患者では、脂溶性ビタミンに対する同様の注意が必要となる。
ところで、高齢者の脳血肝障害、冠動脈疾患、動脈硬化症を示した患者では、ホモシステイン高値を示す報告が多い。高ホモシステイン血症がどのようなメカニズムで脳血管や冠動脈に障害を与えるのが詳細は明らかではないが、血管内皮細胞障害によると考えられている。ホモシステインは、葉酸、ビタミンB12ると分解が妨げられることから、これらB群の摂取を心がけることが大切となる。もちろん前述した繊維成分や陰イオン交換樹脂製剤は、葉酸等の吸収に影響を与えるものあることから、補給が必要となる場合もある。
(Medical Nutrition 28号より)
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