がん患者に対するリンパ球療法の著効例。
瀬田クリニック後藤重則 院長

瀬田クリニック(東京都世田谷区)では、がん患者に対して活性化自己リンパ球療法を行っている。後藤重則院長に著効例2例を提示してもらった。



【症例1】 胃がんiv期(79歳男性)
経過:昨年3月に大学病院を受診。胃がんのiv期で、すでに肝臓に転移していた。膵臓への浸潤もあり、手術不能、余命は半年程度と告げられた。化学療法を1回だけ受けたが効果に疑問を抱き、同年7月2日、当院を受診する。CTにて肝臓に大きな転移巣がある。
7月16日よりリンパ球療法を開始。2週間に1度の施行とし、10月2日まで6回の治療を行った。その時点ではCTにて肝臓の転移巣は変化がなかったが、食欲がでて、体力も改善が見られるようになった。その後は月1回に頻度を減らして治療を継続。11回目の治療を終了し、今年2月23日に撮影したCTでは、転移巣は痕跡程度に縮小していた。
7月の胃の内視鏡所見では、生検した範囲ではがんが見つからなかった。

【症例2】 胃がんII期(66歳女性)
経過:平成9年に地元のがんセンターで手術した。術後無治療で過ごしていたが、昨年秋に再発。癌性腹膜炎、水腎症、腹壁と卵巣には転移がんによる腫瘤を形成。膀胱へ転移したがんは粘膜面へも浸潤していた。余命半年以内で、積極的治療法はないとのことであった。
今年2月、当院へ駆け込む。相当進行した状況であることを鑑み、自己リンパ球療法と樹状細胞ワクチンの併用を適用した。膀胱内の腫瘍を内視鏡的に切除し、樹状細胞ワクチンの抗原として使用した。3月13日より治療開始。2週間毎にリンパ球注入とワクチン接種を行う。
すると、約2ヵ月後より腹水が減少し、6月には消失した。頻繁に行っていた腹水穿刺の必要がなくなったのをはじめ、すべての腫瘍が縮小した。全身状態も改善し、8月には海外旅行に行ってきたとのことである。隔週の治療を現在も継続しており、良好な経過をたどっている。
考察:当院での活性化自己リンパ球療法の成績は、6ヵ月以上の「長期不変」を含めた奏効率で、単独が26%、通常療法との併用で28%である。
リンパ球療法の効果は2カ月後から現われ、QOLの改善が得られる。2週間に1回の治療を6 回繰り返して1クールとするが、何らかの効果があった症例では、4週に1回に、さらに2年目からは2〜3ヵ月おきに減らして継続する場合が多い。
 提示したのは末期がんに対して劇的に奏効した例である。なぜ本治療が適合したのかは不明だが、このような例に共通するのは、強力な抗がん剤治療を受けていないことである。初回手術後に本治療を開始することで、再発の防止とQOL改善に役立つと思われる。(談)

(Medical Nutrition44号より)


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