植松神経内科クリニック 植松大輔 院長

イチョウ葉が脳血流を改善

 植松神経内科クリニック(埼玉県さいたま市)の植松大輔院長は、勤務医の頃からイチョウ葉エキスを診療に取り入れ、「効果が高く、副作用が少ない」と評価する。脳梗塞後遺症に対する効果を聞いた。



【症例(1)】
多発性脳梗塞(79歳女性)

【経過】
平成元年12月、脳血栓初回発作にて右片麻痺が出現。平成3年8月よりときどき回転性のめまいを自覚していた。その後徐々に物忘れなどの自覚症状が出現し、受診した。イチョウ葉エキスを240mg/日、4週間投与。臨床症状および局所脳血流が増加した。

【症例(2)】
脳梗塞(55歳女性)

【経過】
右側後頭領域の脳梗塞。平成8年3月に非回転性のめまいが出現した。平成10年初めころより物忘れや抑うつ状態を認めるようになった。また、最近ではときどき頭痛を自覚するようになった。症例(1)と同様にイチョウ葉エキスを1日240mg、4週間投与したところ、めまいや物忘れ、抑うつ状態に改善が見られ、局所脳血流も増加していた。
【考察】
本症例を含めて、脳梗塞後遺症患者10例にイチョウ葉エキスを用いた検討では、4週間の使用で平均7%の局所脳血流の改善を見た(『脳卒中』Vol.22 p313、2000)。また、高血圧や糖尿病があり、相対的動脈硬化度が23.5%と高値である症例(平均65歳)に、イチョウ葉エキスを240mg/日、50日間投与した検討では、相対的動脈硬化度が8.1%に改善された。イチョウ葉エキスは脳血流を改善するだけではなく、末梢動脈の伸展性を改善することにより、あらゆる種類の血管障害の予防に有用であることが考えられる。
当院で使用しているのは、成分がフラボノイド24%、テルペノイド6%に規定された標準化エキス(独シュワーベ社)である。
同社のイチョウ葉エキスは独、仏をはじめ世界各国で脳循環代謝改善薬および末梢血行障害の治療薬として認可されている。薬理作用としてフリーラジカルの消去、血小板の異常な活性化防止、血管拡張、脳代謝・神経伝達の促進がある。これらの作用が相俟って、脳細胞、血管壁の保護と血栓形成の予防に役立つと考えられる。
適応となるのは、脳卒中後遺症(めまい、頭痛など)、アルツハイマー病の初期、末梢循環障害が中心で、通常240mg/日を朝夕に分服させている。めまいが重症の例や急性循環不全症状が見られる症例では、480mg/日から開始することもある。個人差はあるが、数週間で効果が見られ、なかには別人のように明るい表情で再来する人もいる。
さて、脳循環代謝改善薬の市場動向をみると、世界レベルではイチョウ葉エキスは常にトップを争う位置にある。日本でこの領域の薬剤が市場から姿を消しつつあることを考えると、世界的に汎用されているイチョウ葉エキスを患者に紹介するのは、専門医としてごく当たり前と言える。ただし、医療で用いる以上、単にイチョウ葉という名前がついた製品を勧めれば逆に混乱を招くだろうし、医薬品としての信頼を傷つけることにもなりかねない。品質が保証されているのは絶対条件であり、医学的証拠に基づいた、成分が標準化された製品を使う必要がある。(談)

(Medical Nutrition40号より)


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