自然栽培アガリクスを用いた統合医療
 東京衛生病院健康医学科 水上 治 部長

東京衛生病院の水上治医師は、がんの3大療法と並行して各種サプリメントや栄養療法を取り入れている。なかでもアガリクス・ブラゼイやメシマコブなどキノコサプリメントの臨床経験は豊富だ。アガリクスについては、自然露地栽培品に魅力を感じると言う。代表的な症例を提示してもらった。


【症例】
症例 食道ガンI期
【経過】
昨年春に他院で食道がんと診断された。他臓器への転移はない。手術を勧められたが、患者はこれを避けたいとし、化学療法、放射線療法を施行。その傍ら、機能性食品の摂取を希望し相談を受けたので、露地栽培アガリクスの原末1回1.5gを1日3回、食後に摂取するよう勧めた。
 
摂取開始から半年後に腫瘍は消失。標準治療でも予後不良とされる食道がんでの好結果に、主治医も驚いたと言う。現在も服用を続けているが、再発はない。化学療法や放射線療法の副作用も見られず、高いQOLが維持されている。食事も可能である。
 
【考察】
がんの治療にあたり、手術、化学療法、放射線療法の3大療法に加えて、各種のサプリメントを用いた免疫療法的アプローチを行っている。サプリメントのラインナップには、キノコ類、プロポリス、乳酸菌関連物質などがあり、これらを患者の体力、嗜好、コストを考慮しながら治療を進める。もちろん、決して3大療法をないがしろにするものではなく、西洋医学的治療の仕上げ、または治療終了後の再発予防が主眼である。
 

そのなかで、症例数が多く、確かな手ごたえを感じているのが露地栽培アガリクスの原末である。これはブラジル・サンパウロ市郊外で栽培されたアガリクス・ブラゼイを用いて、低温特殊製法で得られた粉状の製品。ハウス栽培のアガリクスと比べると、大きさはもとより色、ツヤが大きく異なり、自然の恵みを最大限に受け止めていると言えよう。例えば、露地栽培アガリクスはポリフェノール酸化酵素(ポリフェノールを作る物質)の活性が高いとされており(東京薬科大学・宿前利郎名誉教授)、それらの機能成分の総合的な働きが免疫力を向上させると考えられる。

当科ではこの原末製品をすでに50数例に使用したが、継続している症例も多い。用量は1回1.5g、1日3回食後の投与。2〜3ヵ月の継続で何らかの改善が見られる。

さて、近年がん治療の評価に際して、「long NC(長期不変)」という判定基準が提唱されている。がん細胞は増殖を続けるものなので、長期(おおむね6ヵ月以上)にわたり病勢が停止している場合には、その治療に一定の効果があったとする見方である。言わば、「がん細胞を休眠状態に追い込んだ」ということか。その意味で、生体の自然治癒力を押し上げる免疫療法は、がんとの共存を図る上で見逃せないアプローチであり、当科でサプリメントなどを取り入れる理由もそこにある。

加えて、化学療法や放射線療法の副作用が頻度・程度ともに減少する。サプリメントを併用することで、副作用を恐れずに抗がん剤を使いこなすことができるわけで、まさに両者のよいところをとった統合医療と言える。

(Medical Nutrition 35号より)


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