全身温熱療法でがん治療に効果
 ルーククリニック 竹内 晃院長

ルーククリニック(東京都中野区、TEL/03-5345-7281)では、全身温熱療法(WBH)によりがんの治療にあたっている。この10年間で症例は800例を超え、末期がん患者が社会復帰した例もある。竹内晃院長に症例を提示してもらった。


【症例】
肺がん(IV期) (71歳女性)
【経過】
99年10月に肺小細胞がんと診断され、すでに左頚部と鎖骨上部のリンパ節に転移していた。しかし、患者は治療を望まず、自宅にて静養していた。その後左鼠径部痛が増強し、歩行困難となったため、12月14日、WBHを希望して当院を受診した。
 
初診時、左肺門部に一塊となった腫瘤と、肝臓、腹腔内リンパ節、腸骨に転移が認められた。特に肝転移巣は5ヵ所に及び、大きいもので8〜9cmに達していた。
 
翌年1月17日より2月7日までWBHを1クール行った(1回/週×4回)。2週に1回の化学療法を併用した。1回に使用したのはシスプラチン20mg、イフォスファミド1g、マイトマイシン2mgである。
 
WBH終了2週後、CTにて左肺門部〜縦隔の腫瘍と多発性肝転移の著明な縮小(図2)を確認した。また、3回目の治療が終了する頃より、鼠径部の疼痛が軽減。トイレまでの歩行程度は可能になり本人は満足している。腫瘍マーカー(SCC、NSE、SYFRA、ProGRP)も開始時に比べて低下した。
【考察】
ルカ病院と当院では、10年前より遠赤外線によるWBHに取り組んでいる。適応となるのは16〜80歳の全身状態のある程度良好な患者で、週1回の施行を4週連続し、1クールとしている。我々の経験では、がんが縮小する例は10〜15%で、特に効果があるのは、骨、肝臓へ転移したがんである。術後の再発予防に組み込むのが最もよい。転移した場合でも、本症例のように著明に反応するケースもある。
 

ヒメマツタケの免疫賦活作用による抗腫瘍効果は様々な試験でも認られており、抗がん剤と併用して、効果を示す例も少なくない。肝機能を改善するメカニズムはまだ明らかではないが、マウスを用いて肝障害の抑制作用を調べた試験が行われている。この試験では、四塩化炭素誘発肝障害に対するヒメマツタケ熱水抽出エキス(ABWE)の効果を検討。Wistar系雄性ダイコクネズミを、オリーブ油投与群、四塩化炭素投与群、ABWE―オリーブ油投与群、ABWE―四塩化炭素投与群の4群に分け、GOTとGPT、肝TG量を測定した。ABWE―四塩化炭素投与群では四塩化炭素投与群に比べて、24時間後および48時間後の肝TG量は有意に低かった。このような試験結果から、肝障害に対するヒメマツタケの改善効果が示唆されている。

WBHの作用機序として、がん細胞のアポトーシス誘導と正常細胞の機能強化がある。さらに前者についてはP53遺伝子の活性化と乳酸蓄積の2つのルートが考えられる。当院でのWBHは、体温を0.01度刻みで管理し、42度まで上昇させる。副作用として、疲労感、病変部の刺激痛、発熱があるが、いずれも対症的な処置で回復する。

WBHのメリットの一つに、化学療法との併用が可能で、しかも少量ですむことがある。通常シスプラチンは1患者につき150mg/回程度を必要とするだろうが、WBHと併用すると20mgで効果が得られる。そして、用量が少ないと副作用も少なく、本症例においても吐き気、白血球減少、脱毛といった副作用はみられなかった。           (談)

(Medical Nutrition 34号より)


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