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栄養療法とチーム医療 栄養医学研究所所長 佐藤章夫
1970年代の半ば頃から米国の医療現場で唱えられはじめた言葉に「WSYR:Who is Specialist you respect」という言葉がある。これを端的に表現すると「餅は餅屋」となる。すなわち、患者の一番身近でケアをする看護婦、臨床検査のデータを最高の制度管理体制で扱う検査技師、処方された薬剤を適切にかつ効果的に調合する薬剤師など、患者にとって最善最良の治療とケアを施すチームは、患者を治すという同じ目的を持ったスペシャリストの集団であり、医師を頂点とする集団ではないという。
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臨床検査技師、臨床栄養士、看護婦の各スペシャリストの視点を活かす治療 |
米国で栄養療法を実践する医師も、これから栄養療法を実践したいと願って大学でNDを取得しようとしている学生もまた、このWSYRという考え方は同じです。以前にこのコラムでも書いたように、最近では米国の各州が急速にND(自然療法医師)の講座を持つ大学を設置し、資格を認定しはじめています。ここで、私が米国で臨床栄養士の勉強を行い、実習を行ったサンディエゴのクリニックの事例を紹介して説明します。
一般的に米国では予約で診療を行う施設が多く、栄養療法施設でも同様に予約診療が基本であり、1人あたりの診察は平均で30分をかけて行われます。NDは患者の持つ疾患を再度詳細に、また西洋現代医学とは異なる切り口からのアプローチを行うために、臨床検査技師、臨床栄養士、看護婦を同席させたうえで患者の初診にあたります。これは、各分野のスペシャリストを同席させることによって、限られた時間を有効に使い、問題意識や治療にあたってのポイントの共通認識を持つと言う目的があるのと同時に、各スペシャリストの視点から患者の治療とケアをデザインすること、これから受診しようとする栄養療法に関する患者の不安を取り除き、安心して受診できるような配慮がされます。無論、患者もこの時に不明な点や疑問は解決されることになります。
この初診の最後に、NDが全スタッフの指針やアドバイスをまとめ、患者とともにこれから進める治療方法、方針の決定、共有、保険のカバーの有無を説明し、翌日以降の診療予約を行って初診が終了します。翌日以降の診療では、血液、尿、だ液などの生化学検査、爪や毛髪を用いたミネラル・アミノ酸検査、体内の微弱電流、ペーハーなど体内環境検査が進められるのと平行して治療が進みます。
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患者のストレスなどにも対応できるチーム医療 |
これにともなって、臨床栄養士はNDと相談のうえ、患者に処方する栄養素と食事指導プログラムの骨子をデザインします。一見、患者にとってスタッフが入れ替わり立ち代わりに対応するために煩雑になるように思えますが、初診時に患者を中心とした、今後栄養療法にあたる全スタッフによるミーティングが行われているため、患者も安心して進捗を確認しながら治療を受けられます。
栄養療法は、西洋現代医学とは異なり人間が本来持つ自然治癒を基本として、各細胞が必要とする栄養から治療にアプローチするために、患者にとっても理解し易い治療といえますが、栄養療法にあたる各スペシャリストスタッフが、患者を中心として治療に関わることで、ストレス、精神的な苦痛など、栄養療法だけでは治療できない部分に対応することが可能となり、患者の治療に相乗効果を加えることにもなります。
(Medical Nutrition 35号より)
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