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自閉症患者にキレート療法が有効 栄養医学研究所所長 佐藤章夫
キレート(Chelation)療法は、体内から有害ミネラルや老廃物を取り除く方法の一種で、Chelationの「Chele」は、ギリシャ語で「爪でつかむ」という意味です。
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爪、毛髪、尿などで分析が可能 |
爪、毛髪、尿に存在する水銀は、血液中の値を反映するだけでなく、長期間体内に蓄積されたものが反映されます。しかし、水銀に暴露してから2−3ヶ月の短い期間は、血液中の水銀が検査可能ですが、水銀が除去されない限り水銀は速やかに酵素の硫化水素や肝臓、腎臓、胃腸、および脳内のたんぱく質と強力に結合するため、血液中に存在する期間、すなわち血液検査で測定可能な時間は短いと言うことです。従って、水銀暴露後にある程度の期間が過ぎた後には、爪、毛髪、尿で分析が可能となるでしょう。
体内に蓄積された水銀は、キレート剤を使用することで容易に体外除去が可能です。日本では血液の抗凝固剤として知られているEDTA(ethylenediamine tetra-acetic acid)ですが、米国でキレーション療法と言えばこのEDTAを用いた心臓疾患の治療がポピュラーです。
水銀中毒性の自閉症治療で用いられているキレート剤は静脈注射によるDMPS(ジメルカプトプロパノールスルフォン酸)、および経口投与によるDMSA(ジメルカプトール琥珀酸)という物質を用います。これらのキレート剤は、非常に強力に水銀を尿中に排泄させる作用を持っています。タホマクリニックにおける自閉症患者の治療、水銀中毒による慢性疲労症候群(CFS)、および栄養素吸収障害の患者に対しては、このDMPSを用いています。
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自閉症女児へのキレーション療法 |
昨年末にタホマクリニックへ紹介し、Dr.ライトによってキレーション療法を受けた4歳の自閉症女児の場合、爪と毛髪分析によって許容範囲の12倍もの水銀が体内に蓄積していました。治療2日目にDMPSによるイニシャルキレーションを行った結果、翌日の尿検査で、水銀濃度は3.5ppmに上昇しています。この女児には、必須ミネラルのほか、水銀排泄作用のあるリポ酸、およびクロレラ、吸収障害による欠乏が疑われていたビタミンB12、および葉酸があわせて処方されています。
しかし、DMPSおよびDMPAによるキレーション療法が全ての自閉症患者や水銀中毒症状を持つ患者に効果があるわけではなく、鉄欠乏症状、重症の吸収障害、腎臓機能障害、狭心症を基礎疾患としてもつ患者へは適用されていません。
現在、米国では、DMPSおよびDMPAによるキレーション療法のほか、動脈硬化を軽減し、バイパス手術の代わりとなり心臓発作、脳梗塞を予防、老眼の治療などが代表的なものです。狭心症のキレーション療法を例にとると、1回3時間半から5時間、マグネシウム、ピリドキシン(ビタミンB6)、亜鉛の点滴を、週1〜3回のペースで行います。
Dr.ライトは「冠動脈バイハス手術や冠動脈PTCAによる心筋梗塞の治療にかかる高額な治療費と、患者本人とその家族にかかる負担を考えた場合、EDTAやビタミンB6、マグネシウムを用いたキレーション療法は、コストは10分の1、QOLは100倍向上する」と話しています。
(Medical Nutrition 32号より)
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