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セレン等の投与で腸管浸漏症候群を改善 栄養医学研究所所長 佐藤章夫
1996年のAmerican-Journal-of Nephrologyで、アレルギー性疾患、リウマチ、喘息などの自己免疫疾患をはじめ、老化、乾せん、慢性疲労、自閉症にいたる現在医学では原因不明、難治とされている疾患の原因が、腸管絨毛部に形成されているバリアが破壊されることによっておこることが報告されています。米国では、8年ほど前にLeaky-Gut-Syndrome(LSG:腸管浸漏症候群)と言う呼称が生まれ、腸管バリアの破壊に起因する上記の疾患や日本でもISD(Inflammatory-bowel-Disease)またはIIP(Increased-Intestinal-Permeability)と呼ばれている疾患を総称したものがLSGと呼ばれるようになりました。
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腸微絨毛表皮膜の破壊により化学物質等の塊が血液中に流れ込む |
LSGの原因として次のようなことが考えられます。
1.胃酸分泌能力低下 2.抗生物質が胃腸器官系の細菌、寄生虫、カンジタ、真菌類の異常繁殖を促すため。 3.アルコール類、カフェインなどの刺激物 4.食物と飲料(細菌によって腐敗、汚染された食物や地下水。着色剤、防腐剤、酸化防止剤など、 食品添加物として使用されている化学合成物の混入した食物や飲料水) 5.酸素欠乏 6.非ステロイド系抗炎症薬(イブプロフェン、インドメタシン等) 7.プレドニゾンのような処方コルチコステロイド 8.精製炭水化物食品(クッキー、ケーキ、清涼飲料、漂白パン) 9.避妊用ホルモン(ピル) 10.製炭水化物食品に混入しているカビ
菌分子量が小さい物質は、腸絨毛細胞から正常に吸収することができます。通常、腸絨毛細胞から正常に吸収される物質の分子の大きさは500ダルトン(炭素原子1個の質量が12ダルトン)で、この大きさまでは腸微絨毛表皮膜を通過することができます。これらの原因によって腸微絨毛表皮膜が破壊されると、この10倍の5000ダルトンもの食物や化学物質の塊が血液中に流れ込み、抗体反応など免疫応答を引き起こします。
結果として、腸から血液までミネラルを輸送するのに必要とされる胃腸器官系に存在する様々な輸送蛋白質がLGSによる炎症によって損傷するため、ミネラル吸収障害が引き起こされ、ミネラル不足に陥ることになります。例えば、LGSによるマグネシウム不足(赤血球マグネシウム不足)によって、食品やサプリメントで十分なマグネシウムを摂取しているにもかかわらず、結果として、筋肉痙攣のような症状が発生します。マグネシウムを血液から細胞へ運ぶ輸送蛋白質が損傷した場合、マグネシウム欠乏症という最悪の結果になります。同様に、亜鉛の吸収障害による亜鉛不足は、毛髪損失やハゲを引き起こします。銅不足は、高コレステロール及び骨関節炎を招きます。
カルシウム、ホウ素、ケイ素及びマンガンの吸収障害は、骨形成にとって重大な問題を引き起こします。LGSを判定するためには、簡単な問診によって可能性を探ることからはじめ、尿中の糖代謝を検査することで確定されます。LGSと判定された場合の治療のファーストチョイスは、やはり食生活の見直しから始まり、胃酸分泌能力が低下している場合には塩酸ベタインまたはゲンチアナ、ヒスチジンを投与します。LGSを改善するために、セレニウム、ビタミンC、E、オメガ3脂肪酸を大量投与します。また、LGSによってビタミン、ミネラルの摂取障害が起きているためにビタミンB12、亜鉛、カルシウム、マンガンの投与が同時に行われます。
(Medical Nutrition 30号より)
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