体内環境を分析して栄養素を投与
 栄養医学研究所所長 佐藤章夫

大の和食党で文化人類学の教育を受けているDr.ライトは、「日本人は60年前の日本食に回帰し、不純物が混入していない水が得られれば、ビタミン・ミネラルなどのサプリメントは必要ない」と言います。この言葉は、現代人の食生活を端的に表したものです。人間の体内にある60兆もの細胞を養うためには、蛋白・脂肪のほかに、ビタミン・ミネラルが不可欠となります。現代の生活習慣病は戦後の食生活の変遷過程で生まれた副産物と言っても過言ではないでしょう。


 栄養療法における栄養素の投与とは

合理的かつ集約的な大規模農法によって栽培された野菜には、かつてのようなビタミン・ミネラルは存在しません。ファーストフード、TVディナーの先進国米国では、70年代から連邦政府主導による有機食材(オーガニックフード)への回帰運動が推進され、また医療費高騰により国民は必然的に「未病促進」「最適な健康維持」のために、人間が本来摂るべき栄養素への認識が高まってきました。一時は存在悪のように扱われてきた栄養療法が米国民に受け入れられるように至った経緯もここにあると言えます。

Dr.ライトの著作「新・栄養療法」や「栄養で病気が治る」の中でも度々登場しますが、栄養療法における栄養素投与は、唾液・毛髪・便・尿・爪などを用いた体内環境検査分析の後、通常、IV(静脈注射)がファーストチョイスとされます。高齢者、小児などIVが困難な患者に対しては、クリームなどによるTD(経皮投与)が選択されます。MS患者への治療もこのTDが選択されます。経口投与された多くのビタミン・ミネラルは、血中に至るまでに、唾液、胃酸、胆汁などの影響を経ることによって、本来投与した量の15%程しか残らないため、IV又はTDによって効率的に投与されます。

 サプリメントにもパーソナルエビデンスが求められてくる

ビタミン・ミネラルなどのサプリメントは、IVやTDによって投与された栄養素の維持・補完として処方されます。また、一部のサプリメントは、体内に過剰蓄積された水銀、銀、ヒ素などの重金属を対外に排出促進させるためのキレート剤としても使用されます。

しかし、処方されるビタミン・ミネラルは、どれでもいいと言うわけではなくその素材がどの産地で栽培され、どういう生産工程で作られたものかについても厳選されます。自然界には存在しない、化学合成された物質は、栄養療法のコンセプトには合わないだけでなく、副作用すら招くことが危惧されます。

栄養療法では、一人ひとりの患者に、血液、尿をはじめ、唾液、毛髪、便、爪などの生体材料、胃酸の分泌検査による多角的分析を行い、患者に最適なビタミン・ミネラルを処方します。その際、全ての患者に同じクロムを投与すれば良いとは限りません。耐糖性クロムでなければならない患者もいれば、ピコリネートタイプのクロムが必要な患者もいます。ビタミンAでも、ジアキサンチンを受け付けない患者もいます。

タホマクリニックには、日本で言うところの院外調剤薬局のようなディスペンサーがあり、NDやCCNが適切なカウンセリングを行い、体内環境分析を行ったうえで、サプリメントを処方します。今後、日本の医療保険制度が変革し、高齢社会における個人のQOLが重視されるようになれば、サプリメント市場にも「パーソナルエビデンス」が問われてくるでしょう。

(Medical Nutrition 28号より)


BACKSITE TOPPAGE TOP