|
プロカリンパッチ療法で多発性硬化症が改善 栄養医学研究所所長 佐藤彰夫
今回は、栄養療法と現代西洋医学の治療アクセスの違いを知ることができる一つの例を紹介します。この患者は私の友人で、7年前に不治の病とされる「多発性硬化症(MS)」と診断され、名だたるMSの専門医を歩き回りましたが、無論MSの進行を抑えることができませんでした。このため家族も諦め、MSと永く付き合っていくことを考えはじめました。
 |
原点は「自然治癒力」による改善 |
米国のタホマクリニック(院長=ジョナサン・ライト博士)でMSの症状緩和のための画期的な栄養治療を行っていることを私が知ったのは、平成12年9月に米国でDr.ライトに会った時でした。早速この患者の家族に栄養治療のことを話し、一縷の望みを持ち、平成12年12月に私も同行のうえ渡米し、タホマクリニックのDr.ギルソンに全てを託すことになりました。
MSは、多面的症状と原因を伴う病気で、その症状改善のためには、パズルのピースを埋めていくような作業が必要となります。一般に医師は、MSと診断された患者の皆さんが持つ色々な症状とうまく付き合っていく方法を探し出し、生きていくための機能を回復させるような治療を試みていました。
タホマクリニックにおけるMS治療の原点は、栄養素を用いて人間が本来持っている「自然治癒力」を回復、増強させ、MSの多面的症状の改善を行うものです。ここであえて「改善」という言葉を使うのは、今だにその原因に未知の部分が多いMSの完全治癒はまだまだ困難な部分があるからです。
 |
栄養療法の実力の一端を垣間見た |
治療初日、2日目は、患者が摂取している食事環境の背景調査を行い、BTA(唾液・尿を用いて行う体内環境分析)検査、BEST(経絡を利用して各臓器の状態を分析)検査、尿と便による毒素金属検査、胃酸の分泌検査、アミノ酸検査などを実施して、体内環境を詳細に分析します。
MS患者の多くがそうであるように、この患者も胃酸の分泌が悪く、消化吸収機能が十分に機能していませんでした。3日目にスタートした治療では、食物の消化吸収機能を回復させるために必要なビタミンB12、葉酸、ビタミンB群のa(静脈注射)が点滴によって行われました。4日目以降7日目まで、この点滴に加えて、プロカリン(ヒスタミン様物質)のパッチによる経皮投与、検査で正常値の30倍量が分析された水銀を体外排泄させるためのキレート療法が行われました。
最初の変化は4日目の夜でした。過去5年間、尿カテーテル装置によって、自らの意思で排尿ができなかったこの患者が、ホテルのベッドで強い尿意を催しトイレに行くことを要求するようになりました。
そして、タホマクリニックでの治療最終日に、私をはじめ同行した家族を驚愕させることが起こりました。伏臥状態で決して持ち上げることのできなかった足が、患者自らの意思で15センチほど持ち上げられるようになったのです。これは奇跡ではなく、いわば西洋現在医学の盲点を切り口とする栄養療法の実力の一端です。この患者は帰国後もプロカリンパッチ療法を継続しており、現在は両手両足でブリッジができるほどまで改善されています。
(Medical Nutrition 26号より)
|