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栄養療法のコンセプト 栄養医学研究所所長 佐藤彰夫
Nutrition Treatment――。米国など医療先進国では、薬物による対症療法に替わって、伝統的な食事や自然な栄養素を補給するホリスティックな療法への取り組みが盛んです。栄養療法の目的は、疾病の原因を探り、その原因を取り除くことにあります。米国では、90年9月にOTA(米国議会技術評価局)が栄養療法の有効性をまとめた調査レポートを発表して以来、栄養療法を実践する医師が急増しました。
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栄養で病気を治す |
「28年間、栄養療法を実践し続け、糖尿病、高血圧などの生活習慣病から、リュウマチ、多発性硬化症といった難病に至るまで、数万症例を治療してきた私から見ても、伝統的な日本食は世界的に見て優れた素材を用いた栄養バランスのとれたものです。この伝統的な食生活に回帰できれば、現代の心臓病、高血圧、糖尿病、がんのような病気に悩むことはないと思っています」。
これはワシントン州ケント市にあるタホマクリニックで栄養療法を実践し、日本でも著名なジョナサン・ライト博士のコメントです。このコメントには、栄養で病気を治すという栄養療法のコンセプトが集約されていると言えます。
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栄養療法が市民権を獲得 |
人間の細胞や組織を構成するものは、食物から摂取される栄養素です。かつて米国でもこの栄養療法に対しては、代替療法同様に懐疑的な目で見る医師や国民が多く、行政も執拗に目を光らせていた時期がありました。しかし、現在人間の体に必要な栄養素によって、人間が本来持つホメオスタシス、自然治癒力を高め生活習慣病の治療及び予防を行う栄養療法は、全米はもとよりEC諸国や豪州でも受け入れられ、市民権を獲得するに至りました。
これは、栄養療法に対する国民の理解度が深まったことに加えて、民間医療保険が適用されるようになったことが大きな要因です。患者にとって複雑な製法によって化学合成された医薬品よりも、毎日の食事から摂取する栄養素が不足することによる弊害のほうが理解しやすいということです。
また、対症療法を基本とするコンベンショナルな西洋現代医学と異なり、栄養療法では根本的な原因を追求し、根治を目的とする本態療法であることが、国民に受け入れられてきた背景であると言えます。一時は栄養療法による治療費へのカバーに対し非常に懐疑的であったHMOなどの民間医療保険組織も、被保険者や患者団体の圧力によって、治療費の一部をカバーするようになりました。
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サプリメントを処方する医師が急増 |
こうした環境変化から、サプリメントを処方する医師が近年、急速に増えてきました。「症状は原因から治療する」。これが米国で広がりつつある医療コンセプトです。ただし、栄養療法に対する悲観的な評価は依然として存在しており、医師の間には「非通常療法」などと呼称する人も少なくありません。また、栄養療法による治療費をカバーする民間医療保険組織もまだ一部であることが、国民の受診機会を拡大できない要因となっていることも事実です。
●ジョナサン・V・ライト医博の経歴 1945年生まれ。 65年、ハーバード大学で文化人類学を専攻。 69年、ミシガン大学で医学博士号を取得。 71年、グループヘルス・ホスピタル&クリニックで内科医。 73年、ワシントン州シアトル郊外のケント市に「タホマクリニック」を開設。 生化学的知見に基づいた予防栄養医学を実践、現在に至る。 健康雑誌として世界最大の発行部数を誇る「プリベンション」誌は、ライト博士を「全米の臨床栄養学の第一人者」と評している。
(Medical Nutrition 25号より)
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