美容医療は抗加齢医療の一環。
 保険医がやりやすいのはシミ・シワの治療。

 日本抗加齢美容医療学会理事長  若松 信吾

内科医や看護師など、これまでは美容医療とは縁遠かった医療従事者が抗加齢医療を研究する中で、 美容医療の技術習得に乗り出している。その旗振り役となっているのは、東京女子医科大学付属青山女性医療研究所クリニックの若松信吾所長 (美容医療科教授)だ。 若松教授は4年前に内科医らに呼びかけ 「日本抗加齢美容医療学会」 を立ち上げ、日常診療に導入できる美容医療の臨床研究会を主宰している。一般の保険医が取り組める美容医療とは何なのか。若松教授に聞いた。


 美しくなったことの実感。美容医療の効果は一目瞭然。

「抗加齢医療」イコール「美容医療」。 米国の抗加齢医療学会 (A4M) では、 (1)年をとらない(2)死なない(3)病気にならない―の3つをテーマに掲げ、 抗加齢医療のキャンペーンを展開しているが、 利用者の人気の的は若々しい肌を維持する美容医療だ。

「抗加齢と言ってもなかなか実感できないが、 美容医療は受益者が治療を受けるクライアント本人なのでわかりやすい。 美しくなったことが実感でき、 周囲の人からも評価されるため、 効果は一目瞭然と言える。 病気を予防するのはもちろん、 美しくなれば本人の人生観も前向きになり、 ひいては国全体に活力が生まれる」 (若松教授)。

日本の美容医療の現場では、 レーザー脱毛やシミ取りに使うIPL、 メソセラピーなどが人気だ。 一般の医療機関で施行しやすいのは、 外科的治療を必要としないシミやシワの治療だろう。 美容形成や皮膚科クリニックで行っているレーザー治療は、 照射する際の出力や波長を間違えると思わぬ副作用が出てしまうが、 カメラのフラッシュを強力にした程度の光を発光させるIPLなら、 操作が簡単でトラブルも起きにくい。

「IPLは、 照射するエネルギーが低いので、 レーザーほど著効性はないが、 徐々に効果が現れるので初心者向き。 患者さんの人気も高い。 治療を受ける人、 肌の状態によっても違うが、 月に1回の治療を半年も続ければ、 シミなどの色素沈着がうすまり、 肌にはりが出て小ジワも改善できる。 手始めとして使用する治療機器としてはIPLが無難だ」 (若松教授)。

ただ、 実際の施術にあたっては、 看護師任せにしているクリニックが少なくないのが現状。 技術面で未熟なスタッフに任せ切りにしているとトラブルを発生して訴訟問題に発展しかねない。 例えば、 レーザー治療の場合、 ちょっと出力を上げすぎると瘢痕がついてしまうが、 そうかと言って瘢痕を恐れて出力を下げてしまうと効果は得られない。 この微妙なさじ加減を習得するのは容易ではない。

「まずは医師が自らの手でやらないとだめだ。 レーザーにしてもホルモン療法にしても、 医師が興味と情熱をもってやらないと長続きはしない。 私は、 美容医療は抗加齢医療の一環だと位置づけ、 患者さんにも説明して納得してもらっている。 フェイシャルにしても患者さんが満足いく結果が得られれば、 次の患者さんを紹介してもらえる」 (若松教授)。


 価格に対してどのような価値観を持つか。大事なのはコスト意識。 

400億円市場といわれる脱毛産業は、 現在エステ業界が中心を担っているが、 美容医療を行う医師が増えてくれば、 業界地図も様変わりすることは想像に難くない。 美容外科医、 形成外科医、 皮膚科医が参入する激戦分野だけに、 中途半端な取り組みで参入しようとすると足元をすくわれかねない。

「とくに大事なのはコスト意識。 保険診療をやっていると、 医師も患者もコスト感覚がうすくなってしまう。 価格に対してどのような価値観を持つかが重要だ。 例えば、 美容医療の相場で言えば、 顔のシミ取りだと30〜50万円、 シワ伸ばしの手術では200万円位はする」 (若松教授)。

最近の治療機器は、 さほどトレーニングをしなくても施術することができ、 術後から治癒までの期間 (ダウンタイム) も短縮化されてきた。 ただ、 誰でも一定の効果が得られる治療を比較的安全に行うことができる高額機器になると、 一台で1000万円前後にのぼるので、 コスト回収の見極めが重要になる。

「美容医療に導入されている機器のほとんどは米国製。 マイナーチェンジなどで半年に1度は新しい機種が登場するので、 いかに早く取り入れ広告し集客するか。 息が抜けない分野でもある。 また、 非侵襲性の高いニキビ治療やたるみ治療は人気が高いが、 その分過当競争で値引き合戦となっている事例もある。 治療法も3年周期で主流となる治療傾向が変わっていくので、 常時流行をキャッチしていく努力が必要だ」 (若松教授)。

青山女性医療研究所クリニックは、 完全自費診療。 整老療法と呼んでいる抗加齢治療には、 「フェイスリフト」 「目の上下のたるみ取り」 などの外科的治療と、 ヒアルロン酸・コラーゲン注入やビタミンCイオン導入といった非侵襲性の若返り療法がある。 抗加齢医療以外にも瘢痕、 ストレッチマーク (肉割れ) 治療なども行う。

「妊娠線や肉割れは色素が抜けて目だってしまうが、 UVB (紫外線B波) を照射して人工的に制御された日焼けを起こすと改善できる。 当クリニックでは、 産科、 婦人科、 乳腺科を設けてあり、 女性医療への総合的なアプローチを行っている点が特徴だ」 (若松教授)。

〔切らない若返り〕
▲ヒアルロン酸・コラーゲン注入
▲ボトックス注入
▲ビタミンCイオン導入
▲フォトフェイシャル治療
▲RF治療
▲ケミカルピーリング>
〔美容外科手術による若返り〕
▲フェイスリフト
▲目の上たるみ取り
▲目の下たるみ取り
〔美容外科手術の料金〕
・二重 埋没法¥147,000 
・二重 切開法¥210,000 
・フェイスリフト¥735,000〜
・目の下たるみ取り¥420,000 
・目の上たるみ取り¥420,000 


 ●クリニックの紹介 

医療スタッフは、 東京女子医科大学において美容形成外科手術を手掛けてきた医師を中心に構成。 医療研究所としてこれまで培ってきたスキンケア的アプローチから美容整形外科的手術までの総合的な研究・治療を実践している。


プロフィール
 若松 信吾 (わかまつ・しんご)
東京女子医科大学付属第2病院形成外科教授、 同大学付属田端NSKビルクリニック形成外科・美容外科教授を兼務。 美容外科学会、 美容医療協会、 Medical Beauty Forum、 脱毛医学会、 レーザー医学会理事、 日本抗加齢医学会評議員、 米国レーザー医学会正会員。

(Medical Nutrition 85号より)


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