サプリメント・健康食品 消費者・医療従事者からの信頼獲得に向け、メーカーは集結し、 品質基準の明確化を。 金町中央病院
2001年、 「わが国におけるがんの代替療法に関する研究」 が厚労省の助成金枠を受けスタートした。 これは医療者向けのがん代替医療で使われる健康食品、 伝統医療、 心理療法などのガイドライン作成を目的とする。 2002年、 佐々木淳医師 (写真) は研究班に加わるとともに同年、 NPO法人代替医療研究機構を立ち上げ、 健康食品の正当性の評価・臨床試験デザイン等を行っている。 同氏に健康食品の可能性、 混合診療問題等の見解を聞いた。
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診療のかたわら健食を検証。 |
佐々木氏は消化器内科の臨床医として診療に従事するかたわら、 アガリクス、 プロポリスなどがん代替療法の主役として使われている食品におけるEBMの文献検索、 細胞、 動物、 ヒト臨床など試験に関わってきた。
「結論としてがん治療に使われる健康食品の有効性を示すデータは細胞・動物実験レベルでは見られるがヒト臨床にはないことがわかりました。 これでは倫理性確保が難しく患者への積極登用は難しいというのが現実です。 私は健康食品の検証をライフワークとしていますが、 それはあくまで医師としてのスタンスを保ちながらです。 実際に患者に勧める健康食品は国内外でエビデンスがあって品質の基準が明確であるものが基本としています。 CoQ10やカルニチンは医薬品からのスイッチだし、 イチョウ葉やグルコサミンは海外では医薬品として通用しているので病院で出してもいいかなと判断しています。 不定愁訴や関節痛や頭痛、 筋肉痛などの疼痛治療に際して用いるケースが多く、 月に5000円以上かかるものは患者の要望を聞きながら慎重に対応しています」 と語る。
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今後の業界のあり方について。 |
健康食品はいろいろな成分が含有されており漢方と似ている。 ただ漢方が歴史を経て今があるのに対して、 健康食品のほとんどはまだ実績・経験に乏しい。
「私自身正直言って初めは業界の人たちは金儲け主義の人たちが群がって強い販売力で成り立っている業界と思っていました。 でも、 ここ数年で社会的責任の大きい企業が参入し品質管理等の考え方が業界内に浸透してきたことでそういったイメージも変わってきています。 私が健康食品の臨床試験を始めたころは病院の上司から白い目で見られたりもしましたが、 今はこうした話は大学でもごく普通にできます。 サプリメントという考え方が市民権を得てきたと思うし、 医療関係者の見る目も着実に変わってきているというのが実感です。 今後、 業界のイメージをより向上させていくためには業界内で自浄能力を発揮し、 アガリクスのバイブル商法ではないですが、 行政にマークされる前に内部で排除できるようなシステムを構築すべきだと思います。 同業者が互いに敵意むき出しで足を引っ張りあうのではなく同じテーブルについて智恵を寄せ合っていかないと公的機関に叩かれていくたびに業界が小さくなっていってしまいます。 アガリクスやプロポリスなど市場規模が大きい健康食品はCoQ10協会のように素材単位で品質管理をするようなしくみを今後作っていくべきだと思いますね」 (佐々木氏)
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今後注目される臨床試験のデザイン。 |
医者として病院で診療している限り医療保険に縛られる。 保険診療では治療の中身も方針もガイドラインで決まっているからだ。
「サプリメントは病気でない人にアプローチできるのが強みですね。 予防にしても美容にしても医者として患者に関わっていくためのオプションとして考えるとサプリメントは非常におもしろいし、 自由度の高いアイテムです。 ここにエビデンスが加わってくればますます興味がわいてきますね。 今後のエビデンス動向としてはアガリクスやフコイダンなどがん免疫療法素材の腸内細菌叢のバランス状況を検証していく臨床デザインとそのデータ結果に期待しています。 食物繊維系や乳酸菌系の臨床試験のノウハウをそのまま応用できますからデータも比較的取りやすいですしね。 でも高価な健食で整腸作用ではあまりメリット感がないから市場で訴求するためには新しい機能性が要求されることになるでしょうね」。
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患者の行き先〜病院と薬局。 |
医薬品が不得意な領域である不定愁訴や予防医学ではサプリメントは有効アイテムであるが、 患者に勧めるとなるとハードルが高い。 売る側の医師は免罪符がないことの不安は大きい。 薬だったら製薬会社に言えばいいが、 これができないのはつらいというのが大方の見解である。
「病院としては5000円のサプリメントを売る苦労をするくらいだったら、 レーザー治療など自分たちにしかできないサービスを勧めた方が営業効率ははるかに高いのは事実です。 不定愁訴や予防医学など代替医療が得意とする領域において今後、 カギになってくるのはむしろ薬局、 薬店だと思いますね。 OTCは現在落ち込んではいますが、 厚労省にしてみれば単純な病気は薬局に行き自費で薬を買って治してほしいと考えるはずだから、 いずれはここを支援してくると思います。 OTCはまだ高いし同じ風邪をひいても保険がきく病院に価格競争力はありますが、 診療報酬の改定でいくら以下は自費だということになってくると今後、 かぜ、 胃痛、 胸焼けなどのプライマリーケアで医者がやってきたことに薬局薬店がより絡みやすくなります。 さらに薬局のカウンセリング環境が整備され、 自由にOTC・サプリ・健食を使いこなしてユーザーの要求に応えられる薬剤師が増えていけば健康管理という部分で薬局のシェア占有率が高まっていくことになります。 病院と薬局のサービス競争は今後注目すべきテーマです。 そうなると医療機関はアンチエイジング医療、 美容医療などの混合診療をオプションに加えてサービスの幅で勝負していくことが要求されることになるでしょう」 と語る。
佐々木氏のこうした言葉は、 国が"小さな政府"を打ち出し、 郵政・医療事業など採算事業が民間へ委託される動きが強まっている今、 たんなる予測にとどまらない説得性がある。
プロフィール
佐々木 淳 (ささき・じゅん) 1973年生まれ。 筑波大学医学部卒業。 現在、 金町中央病院で内科全般を担当。 東大医学部大学院医学系研究科博士課程、 NPO法人代替医療研究機構代表理事、 (株)メディカルインフォマティクス医学部長。 専門は消化器内科。 |
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(Medical Nutrition 80号より)
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