医療ニーズの多様化と統合医療の必要性。
 医療法人社団 永徳会 皿沼クリニック

足立区皿沼不動のそばにある皿沼クリニック。 内科、 小児科、 皮膚科、 リハビリテーション科の他、 在宅診療にも注力しており、 往診、 訪問介護、 訪問リハビリ等を行なっている。 同クリニックが目指すのが西洋医学と東洋医学の融合。 院長の藤田亨氏 (写真) は、 漢方・鍼灸・健康食品などのアイテムを用意して、 多様化する患者の医療ニーズに応えている。 同氏に運営方針や統合医療の展開事例を聞いた。


 東洋医学や健康食品を積極導入、統合医療を実践。

慶応大学卒業以来、 白血病や悪性リンパ腫などの血液内科に関する疾患を専門にしてきた藤田氏が、 クリニックを開業したのが7年前のことだ。 以来、 患者の医療ニーズに応えるために東洋医学や健康食品を診療に積極導入してきた。

「西洋医学一辺倒の医師の診療になじめない患者さんはここへ来ると安心すると言っていただけます。 そういう意味で私たちは西洋医学と東洋医学のいいところ取りをしていきたいと考えています。

たとえば、 整形外科に行くと湿布と痛み止めを出されるだけ、 接骨院に通ってもよくならないという腰痛持ちの患者さんに対しては、 まずレントゲン撮影を行い、 保険診療を基本とした治療をしていきます。 マッサージやカイロプラクティックの手技が必要な場合は当院に常駐している柔道整復師や鍼灸師が行ないます。

また、 健康食品も積極導入していますが、 関節炎にはグルコサミン、 免疫疾患には鹿角霊芝、 解毒排出を促すために中国パセリといった具合に用いています。 そして、 これらを単に出すのではなく林原さんのトレハロースコーティング技術を使って仕上げたものをお出ししています。 甘くてポリポリ食べられるので、 お菓子みたいだと好評ですね」。


 安い価格設定で、自費による特殊治療メニュー。 

藤田氏は業界をにぎわしている混合診療問題に関しては次のように言及する。

「現在の保険内治療で患者の医療ニーズに全て応えられるかと言われれば、 ノーだと言わざるを得ません。 そのうえ、 医療機器の使用が保険の範疇から外されるなど、 あれはダメ、 これはダメと、 適用範囲が削減傾向にあるわけですから、 保険診療と医療ニーズの乖離はますます加速していくことになります。 それでも保険外の治療を要望してくる患者さんに対して、 『それはできないんですよ』 と医療の現場サイドが回答していては、 患者さんの悩みは一向に解決せず、 不満ばかりがたまります。 かといって株式資本の導入などで医療にビジネス色が出てくると、 非採算部門の切り捨てが行なわれるなど悪い面が出てくる可能性も高いわけです。 ですから、 混合診療を実現するには経済・倫理のバランスよく制度化する必要性があると考えます。 そうした点もふまえ、 私のところでは、 "皿沼クリニックの特殊治療"と名付け、 自費診療をメニューに加えて、 しかも他の医療機関よりも安く受けられるように価格を設定しています」。

ちなみに、 同クリニックの特殊治療メニューとしては、 「ガンの在宅診療」、 「QOL改善を目的とした麻薬による鎮痛療法」、 「プラチナフォトン繊維を用いた除痛療法」 など。 また皮膚科診療では肌のしみ、 しわに有効とされる、 「レチノイン酸と高級ワセリンを配合した軟膏の使用」 や疥癬治療の特効薬であり農薬製剤である 「γ−BHC軟膏の使用」 などが挙げられる。 また、 リハビリ診療では 「カイロプラティック」、 「鍼灸」 などが特殊メニューとして挙げられる。


 患者の欲するところを見極めることと患者への共感が大事。 

「人の欲求というのは実はそれほど多くなく、 ある程度限定できてしまうものです。 ことに医師に対する患者さんの要望に関して言えば――痛みやかゆみをとってほしい/眠れるようにしてほしい/ご飯を食べられるようにしてほしい/セックスができるようにしてほしい――といった基本的欲求に集約でき、 これらの充足の度合いがそのまま患者さんの満足度に直結します。 だから患者さんの話を聞きながら、 どの欲求をどの程度満たしてあげられれば喜んでいただけるかということはたえず考えるようにしています。

それと大事なのは患者さんに共感することです。 心にわだかまっていることを話す、 話を親身になって聞いてもらう、 というだけで精神的に癒される部分はかなり大きいと思います。 また、 眠れないからといってすぐに睡眠薬を処方するということはしません。 患者さんの生活環境をヒアリングしてみると枕が原因だったりもするわけです。 ですから生活習慣の改善で症状が改善できると判断すれば、 生活指導中心の診療に切り替えます。 また、 自分のキャパシティを超えると判断したらすぐに他の医療機関を紹介します。 入院ベッドの確保や許可申請書類の作成などの際には迅速さ、 確実さ、 手順のよさを心がけ、 患者さんが病院のたらい回しになってしまうような状況は作らないようにしています」。

その他、 藤田氏はインターネットで問診する 「ウエブ診療室」 やメールマガジン 「診療マル秘裏話」 などのコーナーを設けて情報発信を行なっており、 そこでは肩のこらない医療情報が閲覧できる。


プロフィール
 藤田 亨 (ふじた・とおる)
慶応義塾大学医学部卒業。 慶応義塾大学病院内科血液研究室、 東京歯科大市川総合病院、 ソニー(株)医務室勤務を経て平成10年3月皿沼クリニックを開設。 平成14年2月医療法人社団永徳会設立、 理事長就任。

(Medical Nutrition 76号より)


BACKSITE TOPPAGE TOP