高分子コラーゲンの抗腫瘍効果に期待 ─異物としての認識で、がん細胞を抑制─ 榎木医院
美容素材として人気の高いコラーゲン。 人体の60兆個ある細胞の間質に存在して細胞同士をつなぎとめる役割を果たすほか止血作用などが知られている。 しかし美容効果以外にも、 コラーゲンの持つ新たな機能性として免疫強化作用があることが分かり、 近年注目されている。 がんに対するコラーゲン研究の第一人者である、 榎木医院の榎木義祐院長 にコラーゲンのもつ抗腫瘍メカニズムを聞いた。
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1日10gの摂取で効果を体感。 |
榎木院長がコラーゲンの抗腫瘍効果の研究を始めたのは今から40年程前、 細菌内毒素の研究を大学院で研究していたのがきっかけだ。 腫瘍抑制効果が知られる細菌内毒素だが、 毒性を下げてしまうと腫瘍抑制効果も低下してしまう。 そこで、 榎木院長は細菌内毒素に含まれるタンパク質に着目。 同様に熱に強い性質を持つタンパク質を探していたところ、 コラーゲンにたどり着いた。
さっそく、 榎木院長はブタやウシなどから抽出した14種類のゼラチン (熱変性コラーゲン) を用いて、 エーリッヒがんの細胞をハツカネズミに移植して移植率を観察した結果、 ブタ由来のゼラチンの移植阻止率が有意に高かったことを突き止めた。
後日、 榎木院長は下咽頭がんを患い、 声が出なくなった。 1988年のことだ。 前出の自身の研究結果に基づき、 1ヵ月の放射線治療後からブタ由来のコラーゲン粉末を1日10g、 3 年間摂取しつづけたところ、 がん細胞は再発しなかった。
そこで、 榎木院長は自身の研究や体験に基づき、 医院に通う患者にブタ由来のコラーゲン粉末を指導するようになった。 がん以外にも関節痛やシミ・シワ・肌のツヤの改善、 なかには 「髪が黒く太くなり、 量も増えてきた」 といった感想が寄せられてきた。
「これらのことは、 私自身、 患者さんに教えられたことでした。 私も予期していなかっただけに驚いています。 体内のコラーゲンがターンオーバーすることで、 体全体が若返るように感じるからなのでしょう」。
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高分子が異物として認識。 |
榎木院長によると、 抗腫瘍効果が一番期待できるのはブタ由来のコラーゲンで、 このことは自身の研究でも確認しているという。
「私が研究時代に行った実験でも、 ブタ由来のゼラチンに高い腫瘍移植阻止能があることを確認しています。 コラーゲンは由来する動物の種類によってアミノ酸のつながり方が少し違うので、 当然、 効果にも違いはあります」 ――しかし、 実験では、 同種同系のコラーゲンはがん細胞に対して全く効果がなかった。 「人間と豚との近くも遠くもない距離が、 ちょうど良いようです」。
なかでも、 榎木院長は高分子のコラーゲンを推奨する。 消化されずに体内に取り込まれた一部の高分子のコラーゲンが異物として認識され、 その拒絶反応ががん細胞の移植を抑制させるためではないかと指摘する。
「よく誤解されることですが、 口から摂取したコラーゲンがそのまま体内のコラーゲンと入れ替わるのではありません。 確かに、 摂取したコラーゲンは体内で消化されると、 ゼラチンからアミノ酸の一種・プロリンに分解・吸収されますが、 一部は完全に消化されずに高分子のまま吸収されます。 これを生体は異物と認識して、 その拒絶反応が高まって、 結果的にはがん細胞の移植も拒絶されると考えられます。 従って、 最初から低分子化してあるペプチド状のコラーゲンでは異物として認識されないのです」。
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がん免疫と移植免疫は表裏一体。 |
大学で研究していた自分を振り返り、 自らを 「ネズミ医者」 と称する榎木院長。 『がん免疫と移植免疫を混同してはならない』 という医学史上の教訓を理解したうえで、 なお、 これら2つは表裏一体の関係にあるのではないかと強調する。
「研究畑から入ったのですが、 移植免疫を研究していたことが逆に効を奏したといえましょう」。
プロフィール
榎木 義祐 (えのき・よしすけ) 1932年生まれ。 大阪医科大学大学院卒業後、 1975年から同地にて開業する。 日本アレルギー学会評議員・専門医。 医学博士。 |
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(Medical Nutrition 75号より)
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