自由診療型クリニックの差別化戦略。 スピックサロン メディカルクリニック
古都鎌倉、 鶴岡八幡宮の目と鼻の先にあるスピックサロンメディカルクリニックは 「和」 と 「美」 と 「癒し」 を基本コンセプトに据えた完全自由診療型のアンチエイジングクリニックだ。 杏林大学の臨床内科学教授として診療・研究・スタッフの指導等を行なっている柳澤厚生医師は、 ヘアサロンやエステサロンでFC展開を図るSPIC社オーナー芝田乃だい丞すけ氏との知己を得て同クリニックの設立に関与し、 現在、 監修医として週2回の外来にあたっている。 同氏の医療への取り組み、 クリニックの事業展開などを聞いた。
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医療の追求と自由診療。 |
柳澤医師は、 統合医療を実践している医師の一人。 専門である心臓臨床においても患者グループにヨガ、 魚菜食、 自律神経訓練、 瞑想などを導入して、 拡張した心臓の狭窄血管が拡張したデータを学会で発表するなどしたこともあるほどだ。 しかし、 病院でできることにも限度があり、 医療の可能性を試すためには保険にとらわれず、 より広い視野で治療に向き合いたいと考え、 同クリニックを完全自由診療型にした。
心臓臨床に例をとると、 カテーテルやバイパス手術を行なわず、 主治療が薬の服用である虚血性心疾患患者に対しては、 「EDTAを用いたキレーション療法をやってみるのも一つの選択肢」 と考えている。 実際に同クリニックをセカンドオピニオン的に利用している重症度の高い狭心症患者にEDTAを5ヶ月間試みたところ、 虚血が改善され、 "経過観察"のレベルにまで引き上げられたという。 キレーション療法は1940年代から重金属中毒患者の治療に使われてきた療法で、 米国NIHが2年前から冠状動脈疾患治療における有効性を確認するための試験を行なっている最中だが、 エビデンスの構築がまだ進んでいない。 したがって日米ともに自由診療扱いであるが、 「医学的に多少の論争があったとしてもよくなっている人がいるのだから、 そこへチャレンジしていく医者が一人くらいいてもいいというのが私のスタンス」 と語る。
柳澤氏はまた、 オリジナルサプリメントの開発も手がける。 「錠剤型のサプリメントをポンと渡されても、 飲む側にしてみれば味気がないし、 続かないもの。 開発にあたっては味と香りは重要視する。 有機食品同様、 作った人やそのプロセスが見えるようなものがいい」 と語る。 同氏デザインのサプリメントは植物由来成分のみを原料に使用した粉末タイプのお茶のシリーズで、 さっぱりと飲みやすく仕上げている。
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コミュニケーション技法としてのコーチングの導入。 |
柳澤医師はまた医療分野におけるコーチングの提唱者でもある。 コーチングとは命令や強制によるものでなく、 受け手側の自発的・内的なモチベーションを高揚させることによって目標達成を促すというコミュニケーション技法であり、 指導者教育や社員教育などで大きな成果を挙げていることで知られている。 もともと大学で看護師や救命士への現場指導を行なっており、 コーチングの医療現場への導入の必要性を実感していた柳澤氏は、 医療従事者のカウンセリング力の向上とコーチング技法に相関性を見出した。 そして、 カウンセリングの構成要素―― 「聴く」 「質問する」「親密感を深め、話しやすい環境を作る」「実現可能な目標を立てる」「目標達成のためにサポートしていく」 など――を項目立てし、 これらをブラッシュアップするノウハウやトレーニング法を体系づけ出版化した (書名: 『ナースのためのコーチング活用術』)。 現在、 各地でコーチング技術の講演活動も行なっている。
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病院にはないホスピタリティ――クリニックの診療風景。 |
初診客の場合、 ヒーリングマッサージを行ない、トレスを取ることから始める。 その際、 「リフレッシュアーチスト」 と呼ばれるスタッフが施術を行なう。 その後、 ストレスの蓄積状況を心拍変動による自律神経バランスで測定し、 そのデータに基づき、 カウンセリングを行なう。 カウンセリングには最低30分ほど時間をさき、 相手の症状に応じてサプリメントを処方したり、 血圧や体重、 グリコヘモグロビンなどの目標値設定を行ったり、 薬をやめるためのカリキュラムを提案したりする。
「最も重要なのはその人の身体をいかにハッピーにするかを丁寧かつ親身に考えてくれる場所として感じてもらうこと」。 ――病院にはないホスピタリティ――この原則が徹底されているのが同クリニックの特長だ。 施設内に入ると、 香の薫りが漂い、 茶室をイメージしたほの暗く静謐な小空間が点在しているのに気づく。 来訪者はそこに日常生活を離れた、 隠れ家的な印象を抱くだろう (写真)。 また、 お客同士が顔を合わせないようにスタッフが導線をコントロールするなど、 施設の環境からスタッフの応対まで"癒し"と"丁寧さ"への強い意識が感じられる。
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美容と医療サービスの相互連携。 |
柳澤医師は、 サロンとの連携も重視している。 SPIC社は発祥がヘアーサロンであり、 全国に60の店舗をもっている。 サロンの会員は美容と健康に対する意識の高い40〜60歳代の女性が多い。 同氏は各サロンにクリニックの予約受付やサプリメント割引などのサービスを設けることでサロンからの顧客動員も図っている。 また、 サロン用に健康と美容に特化したプログラムを開発したり、 診断システムを導入したりするなど、 クリニック支援型サロンというイメージが生まれることで信頼性が高められ、 サロン側も利用客が増えているという。 美容と医療サービスの連携による相乗効果の典型といえるだろう。 「接遇や管理システムなど研修制度を充実させて興味のあるドクターに加わってもらうという計画もある。 将来的にはFCクリニックを国内、 海外に50くらい作りたい」 (柳澤氏)
プロフィール
柳澤 厚生 (やなぎさわ・あつお) 1976年杏林大学医学部卒。 現在は杏林大学保健学部臨床内科学教室教授、 同大学保健センター所長。 医学博士。 米国心臓病学会特別正会員、 日米先端療法会議理事。 日本コーチ協会理事 (前会長)。 |
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(Medical Nutrition 72号より)
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