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アスタキサンチンで眼精疲労を改善。 富山医科薬科大学眼科学教室
富山医科薬科大学では和漢薬診療科を設け、 和漢薬の研究にも力を注いでいることで知られている。 白内障術後眼内炎の抑制やブドウ膜炎の治療に関する基礎的臨床研究に従事する同大学眼科学教室の長木康典助教授もまた眼病治療に和漢薬を応用できないかとかねてから考えていた。 そうした折に地元の企業からアスタキサンチンの紹介があり、 研究を始めることになった。 その臨床研究内容について以下、 報告していく。
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毛様体筋の調節力向上など、眼精疲労への有効性。 |
眼精疲労はテクノストレス眼病とも呼ばれ、 パソコンやテレビ、 ゲームなど目を使う用具なしでは生活できにくい現代人の多くが悩まされている疾患である。
デスクワーク従事者にとって非常に身近である眼精疲労だが、 ぶれ、 二重視力に始まり、 慢性化、 深刻化するとうつ病の発因になることもある。
眼精疲労に関しては、 厚生労働省も 「VDT作業のための労働衛生上の指針」 として、 1時間作業したら10分の休憩、 作業時間は1日5時間以内などとしているが、 この数字を守ることはほぼ不可能である職種も多い、 しかし、 VDT作業を長時間かつ長期間続けていると目の調節力は確実に衰える。 コンピュータ画面をじっと見ていると毛様態筋が同じ位置で止まっているので筋肉疲労が起こりやすくなり、 かつこれを長期間続けていると慢性疲労化するからだ。
長木医師は、 自身の研究所でVDT症候群患者にアスタキサンチン (以下AST:富士化学工業(株)製) 内服による眼精疲労の回復効果について研究を行なった。 方法は、 (1)非VDT作業者、 (2)AST摂取群――AST5mg/日、 4週間経口摂取、 (3)プラセボ摂取群の各グループ13名 (平均年齢は47.6才) に分類し、 ●調節力 (D)、 ●中心フリッカー検査 (CFF)、 ●パターン視覚誘発電位検査 (PVEP) の3つを調べるというものだ (結果は表1)。 表にあるとおり、 内服前後でB群の調節力が0.5D向上した。 これは人間の能力で約20%の改善を示し、 「老眼鏡を使っていた人で使う必要がなくなる人も出てくるくらいの効果」 だという。 効果が生じた理由に関しては、 「CFFおよびPVEPに変化が見られないので、 ASTは網膜から大脳の視中枢に作用をもたらすものではない。 となると毛様体筋の部分に直接ASTが作用して調節力を改善するのではないか」 と考察している。
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加齢性黄班変性症の予防効果への期待。 |
"加齢性黄班変性症"という眼疾患が日本でも急増しているという。 これは加齢によって網膜下の脈絡膜に新生血管が生じ、 これが破綻することによって著しい視力低下をきたす病気であり、 アメリカでは糖尿病による網膜症を抜いて、 後天性失明原因の最上位になっている病気だ。 同氏は 「生活習慣病の欧米化にともない、 日本でも最近、 非常に増えてきています。 10年前はほとんど見なかった症例ですが、 毎日、 報告が寄せられているくらい増えています」 と話す。 この病気はまだ有効な治療法は確立されていないが、 両目とも失明する頻度が高い病気であり、 眼科医にとっても患者の応対に非常に注意を要する、 まさに"難病"だ。
現在、 予防法を模索している段階であるが、 傾向としては喫煙者、 高血圧患者が罹患しやすいというところがわかっているという。 また、 キサンチンとゼアキサンチンの内服によって発症率が25%減少するというデータが報告されている。 アスタキサンチンもまた加齢性黄班変性症に予防効果があるということで特許申請をしている最中とのこと。 同氏の進めている研究では片眼が失明している患者にアスタキサンチンを内服してもらい、 反対側の眼の発症が減少しているかの検討を始めている。 現在25例くらいだが、 内服と非内服で比較検討を行なっている。 経過観察期間はまだ1年ほどであるが、 現時点でいえば、 反対側の眼の発症はないという。 結論を得るには、 症例数もさらに5〜10倍は必要であり、 観察期間も5〜10年は要するとしているが、 もし有効であるならば、 ASTの摂取により、 両目失明という事態は避けられることになる。 「そのための予防薬となることを期待して患者さんに飲んでもらっています」 と語る。
同氏はさらにASTの内服により、 眼内の血流量 (網膜血流) の改善効果があるかをレチナフローメーター (ハイデルベルグ社製) を用いて解析中である。 「この結果によって、 ASTの調節力改善の要因解明のみならず、 血流障害の代表疾患である糖尿病性網膜症や緑内障の予防効果についても解明できる可能性がある」 としている。
プロフィール
長木 康典 (ながき・やすのり) 富山医科薬科大学医学部卒業。 あさひ総合病院医局、 富山医科薬科大学医学部眼科学助手を経て、 2001年に同医学部講師、 2002年に同医学部眼科学教室助教授となる。 日本眼薬理学会評価議員。 |
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(Medical Nutrition 71号より)
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