西洋医学と補完代替医療の統合型クリニックを目指して。
 朱クリニック

 朱院長が同クリニックを立ち上げたのは5年前。 西洋医学でカバーできない医療を自分の医療に取り入れたいという想いが開院の一つのきっかけだった。 以下、 紹介する。


 医療の引き出しを増やすことの重要性。

それまで救命救急センターで勤務にあたってきた同氏は保険で縛られる西洋医学だけに頼ることに疑念を抱いていた。 急性疾患の治療において優れた面をもつ西洋医学だが、 得意領域を外れ、 慢性疾患、 アレルギー、 自己免疫疾患、 血管疾患、 がんなどになると完全治癒率はとたんに低下し、 患者ケアも心もとない。 そこで同氏が目指したのが統合医療型クリニック。 韓国籍をもつ同氏は、 幼少のころから漢方、 気孔などの民間療法に慣れ親しんできたということもあり、 西洋医学偏重の流れには異を唱える。

「西洋医学の難点について言えば、 慢性疾患に対しては薬によるコントロールでだらだらと続きがちですよね。 降圧剤やステロイドを投与するにしても、 それで高血圧やアトピーが完治するわけではない。 いわばゴールが見えない治療を患者さんに強いるわけです。 だからこそ西洋医学を学んできた医師が補完代替医療をあらためて見直す必要があると思います。 東洋医学も長年の歴史をもっているし、 鍼灸にしてもそうだし、 アロマにしても大きな可能性を秘めています。 私から見れば、 セラピーも立派なメディカルです。 大事なのはこれらを受け入れて、 組み合わせ方を考えることで医療の引き出しを増やしていくことです。 私の場合、 保険を使わなくてはいけない患者さんにどう統合医療を提供していくかをテーマにしています。 だから必要だと思った患者さんには統合医療をトライアルで10分やっていただくようにします。 もちろん混合診療の点があるので、 施術料はいただきません。 でもこの10分治療を西洋医学の治療に加えていくことで従来西洋医学だけだった患者さんにいい効果をもたらすケースが多く、 もしくは西洋医学を使う必要がなく、 代替医療だけでいいという患者さんも出てきます。 また、 自由診療に切り替える場合には、 相場の半額でやります。 多くの方により気軽に受けていただきたいですからね」 (朱院長)。

実際に降圧剤を使っていた高血圧患者が体調不良を訴えて同院に来訪したケースでは、 カウンセリングの結果、 身内の不幸が続き、 精神的に不安な状況であったことが要因で引き起こされた一過性の高血圧であることがわかった。 そこで降圧剤の使用を止め、 鎮静効果のある漢方薬や軽い安定剤を服用させたところ、 すっかりよくなったという。

また、 子供の難治性喘息患者に対しては、 母親に理学療法の胸郭拡張マッサージの方法を指導し、 塗布油の精油と漢方薬を処方し、 自宅での療法を促した。 その結果、 子供は半年たつうちにほとんど薬がいらなくなったという。


 看護師も重要なセラピスト。 

同クリニックの大きな特長の一つに看護師がより深く診療にタッチするというものがある。 アロマや薬草を使った温熱療法では看護師がその施術を行なう。

「普通、 患者さんを診る立場にあるのはドクターだけじゃないですか。 看護師さんの現場での仕事といえば、 入院している人のケアであったり、 外来だと血液を採取したり、 検査の説明をしたりで、 どちらかといえば事務的な仕事が多いですよね。 でも、 たとえばアロマを看護師が学び、 マッサージなどの施術を行なえれば患者さんとのコミュニケーションが密になり、 そこで貴重な情報も入手できるでしょうし、 治療への参画意識もより強くなるわけです。

実際にアロマのトリートメントに興味をもつ看護師さんは多いですし、 看護師さんが医療機関にはたらきかけてアロマを病院に導入するというケースも出てきていますよ。 杏林大の小児科病棟が障害児に対して、 紀南病院の産婦人科では妊産婦にアロマセラピーをやっていますが、 これは看護師が所属長や院長に了承を得て導入した例です。 そういう意味では看護師が医療に関われる余地がまだまだあるということです」 (朱院長)。


 アロマセラピーとの深い関わり。 

朱院長はクリニック運営のかたわらで、 日本アロマセラピー学会の執行理事という役職をもつ。 また、 同医院でアロマ施術を行なう小山めぐみ看護師 (右写真) はアメリカで5年間アロマセラピーの臨床に携わり、 IFA主任講師の資格を取得したキャリアを持ち、 日本アロマセラピー学会看護研究会の会長でもある。

日本アロマセラピー学会は創立して7年になるが、 始めは会員がいない、 お金がないという同好会的な雰囲気だったので、 積極的援助をする取扱い業者の精油を専ら用いていたが、 さまざまな精油メーカーがあり、 さまざまな国からの素材があるということを知るにつけ、 評価認定を客観的に行なう機関の必要性を感じたという。

そこで同氏は学会内で 『精油制度委員会』 を立ち上げた。 各社の精油成分分析資料を出してもらい、 それを検討・調査をして質のチェックをして評価・認定を行なっていくというものだ。

また、 同氏は来春、 都内に 『オリエンタル・アロマセラピー・カレッジ』 という、 IFA認定のアロマの学校を創設する。 1年半ほど前から、 看護協会内の有志を募り、 小山氏が年間プログラムを立て、 講師を勤めるなど下準備を進めていた。

「現在、 IFA認定校は日本に10ほどありますが、 医療従事者向けのものはありません。 海外を見回してもメディカルアロマを切り口に展開しているところはない。 だから世界一の学校にもなれるわけです」 (朱院長)。

医療現場への導入が着実に進むアロマセラピー。 今後業界内に広がっていくであろうニーズを見込んでの開校となる。


プロフィール
 朱 永真 (しゅ えいしん)
昭和59年日本大学医学部卒、 同大医学部第一外科入局。 平成3年日大板橋病院救急センター勤務を経て、 平成11年朱クリニックを開院。医学博士・日本大学医学部兼任講師

(Medical Nutrition 69号より)


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