抗加齢をコンセプトに科学的根拠を踏まえた頭髪医療を。
 城西クリニック 小林一広院長

女性の抗加齢医療と言えばシワやシミの改善から更年期治療まで医療ニーズは多岐にわたるが、 男性の場合はED治療もしくは男性型脱毛症などの頭髪医療に絞られる。 ただ頭髪医療に関しては、 ニーズが高いにもかかわらず、 皮膚科や形成外科という診療科目の一部として扱われているに過ぎない。 こうした中、 東京・新宿で開業する医療法人社団ウェルエイジング城西クリニック (小林一広院長) では、 発毛医療から植毛医療、 メンタルヘルスケアまで、 髪の悩みを抱える男性はもちろん、女性に対しても総合的な頭髪医療を提供している。


 心のケアを重視。髪の悩みを精神的にフォロー。

脱毛症と言っても、 その発症原因や治療法は個々のケースによって異なる。 男性ホルモンの影響を受ける男性型脱毛症や、 自己免疫異常によって起こるとされる円形脱毛症、 心因性による抜毛症、 女性の更年期による脱毛など様々だ。 こうした個人の症状に対して、 皮膚科・形成外科・精神神経科を中心に、 内科・婦人科を含めた専門医が最新技術を駆使して治療にあたるのが城西クリニック。 院長の小林医師は、 もともと精神科医とあって、 心のケアを重視している。

「"なぜ精神科医が頭髪医療を行っているのか"とよく聞かれます。 実は髪の毛が多い少ないと感じるのは本人の主観によるところが大きいのです。 こちらから見れば決して少なくないと思っていても本人にすれば大きな悩みと感じるのです。 ですから精神的不安を取り除くためにも精神科的なアプローチは欠かせません」 (小林院長)。

また、 現代のようなストレス社会にあっては、 心因性の脱毛症が増える傾向にあることも、 精神的フォローの重要性を浮き彫りにしている。

治療に際しては、 様々な角度から検査を行う。 その一つは、 男性ホルモンのアンドロゲンレセプター遺伝子のDNAを調べる 「遺伝子検査」 だ。 脱毛症の原因には遺伝的素因や男性ホルモン、 ストレス、 老化などが影響するが、 中でも男性ホルモンは男性型脱毛症の発症に大きく関与しており、 それを調べる手段として遺伝子検査を実施している。 遺伝子検査を行うことで、 オーダーメイドの治療方針を立てることができ、 患者に適した薬剤を選定することができる。 このほか、 副腎皮質ホルモンの尿中代謝物、 17-KS-S、 17-OHCSを測定して、 ストレス応答の状態を計る 「ストレスバロメーター」 や、 体内のミネラルバランスを測定する 「毛髪ミネラル分析」も必要に応じて行う。


 月間1700人が通院。2割弱が女性。 

治療法には大きく分けて、 皮膚科領域の発毛医療と、 形成外科領域の植毛医療の二つがある。

発毛医療では、 まず薬剤投与の適否や接触性皮膚炎などの合併症がないかを診断したうえで、 検査結果に問題がない場合には、 症状別に経口薬 (フィナステリド) と外用薬 (ミノキシジル) を処方し、 月に1回通院してもらう。 フィナステリドは、 脱毛の原因とされるDHT (ジヒドロテストステロン) の産生を抑制し、 脱毛のプロセスを逆行させる働きがある。 ミノキシジルは市販のリアップよりも高濃度の薬を使用している。

「食事や睡眠など生活習慣に気をつけたうえで、 これらの医薬品を服用すれば6か月から8か月で発毛の兆候が見られます」 と小林院長。 発毛医療には、 月間にして約1700人が訪れており、 この2割弱が女性だという。

内科的な治療を施しても効果が現れない場合の選択肢として薦めているのが植毛医療だ。 自毛を植え替えるこの治療法は、 男性ホルモンの影響を受けにくい後頭部の皮膚を毛根ごと採取し、 切り取った組織を髪1〜3本単位に株分けし、 薄くなった部位に移植するというもの。 後頭部の毛包はほかの部位に移植しても男性型脱毛症にならないため、 成長し続け通常のヘアサイクルを繰り返すという。

アンチエイジングの観点から頭髪医療に取り組む小林院長は、 現状と課題について、 「頭髪医療については、 日本は欧米に比べてかなり遅れをとっています。 医療が手をこまねいていた分、 怪しげな業者にひっかかるケースが後を絶ちません。 抗加齢医療が求められている今こそ、 科学的根拠に基づいた頭髪医療を確立しなければなりません」 と話す。


城西クリニック
プロフィール
小林 一広 (こばやし・かずひろ)
北里大学医学部卒業。 北里大学病院精神神経科、 埼玉県立精神保健総合センター等を経て医療法人社団城西クリニック開設。 NPO法人アンチエイジングネットワーク理事。 精神科医として心身両面からの頭髪医療に力を注ぐ。

(Medical Nutrition 67号より)


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