「混沌の妙」が機能性食品の良さ―患者に夢を与える医療をめざして。
 高橋クリニック

「病気を診るのではなく人間を診る」 をモットーとした診療を行う高橋クリニック (東京都・大田区) では、 救急医療に携わっていた経験を生かした総合診療を展開している。 診療の中心は泌尿器科だが、 「がん免疫療法」 では機能性食品を指導するなど、 診療の守備範囲の広さが話題を呼んでいる。 院長の高橋知宏氏を訪問した。


 体力を重視した「がん免疫療法」。機能性食品の指導も。

総合診療を行える医師になりたい――。 泌尿器科や救急医療に携わってきた高橋医師が大学病院等の勤務を経て、 クリニックを開設したのが平成2年。 保険診療を軸に、 整体術やカイロプラクティックなど東洋医学を取り入れた本格的な総合医療がクリニックのセールスポイント。 東洋医学を積極的に取り入れることで、 西洋医学の隙間を埋めることができるのが大きな強みだ。

なかでも、 クリニックで症例を限定して行っているのが 「がん免疫療法」。 がんに効果が期待できる機能性食品に、 体力や抵抗力を高める漢方薬などを併用することで、 効果的にがん細胞を攻撃する。 指導している機能性食品は、 AHCCやサメ軟骨、 キチン・キトサン、 メシマコブといった抗がん作用としておなじみの素材。 AHCCに関しては 「都内でも最初に利用したクリニックではないか」 (高橋院長) と話す。

高橋院長に機能性食品を臨床応用する基準を聞いてみた。 まず、 ある程度は基礎試験も重視するが、 どちらかというとヒト試験を重視する点。 ヒトと動物とではどうしても代謝が異なってしまうからだ。

「ウサギを用いたコレステロールの動脈硬化試験は、 その最たる例といえます。 よく考えて下さい、 ウサギはもともと草食動物なので脂肪を分解する酵素は持ち合わせていないのですから、 これを被験動物として用いること自体ナンセンスなのです」 (高橋院長)。

さらに、 機能性食品の効果を3カ月のスパンで点検するのも高橋院長の指導ポイント。 3カ月間摂取を続けてみて、 効果がなければ止めるよう指導する。 機能性食品の場合、 摂取する期間と効果とは必ずしも相関関係があるとは限らない。 最大限の効果が発揮されるベストな期間というものが機能性食品にはあるためだ。 特に免疫を賦活させる機能性食品を指導する場合、 体力とのバランスを保ちながら数量や期間を決定していくことが大切になってくる。

「体力を養うためには、 常に体内の陰陽のバランスを整えることが大事になります。 最近では免疫賦活成分として注目を集めているβ−グルカンという言葉が、 がん患者さんの間で一人歩きしていますが、 免疫賦活ががんに関係あるかといえば、 まだ証拠が甘いように感じます。 免疫の中には、 アレルギー反応もあり、 体のどの部分を賦活するのかはまだ分かっていないのですから」 ――そもそも、 よりピュアな有効成分のみに着目しようとする西洋医学的発想から生まれたこのような捉え方に対し、 機能性食品にはいわば混沌としたものの中に妙があるとは高橋院長。 ピュアなものほど効果も期待できる反面、 副作用という 「諸刃の剣」 も避けられないと話す。


 機能性食品は何回も利用できる 「3割バッター」。 

現在、 高橋院長が臨床応用して比較的良い感触をつかんでいる機能性食品の一つに 「甦活 ARGO」 ((株)上薬研究所製) がある。 がんへの著効例を経験したからだ。

「73歳の子宮頚がん患者のケースがあります。 大学病院で子宮摘出術を受けた後、 がんが再発したため放射線治療を行いました。 蜂窩織炎とがん性リンパ浮腫を起こし、 クリニックに来院しました。 『甦活 ARGO』 を1日9錠、 朝昼晩3回に分けて摂取するよう指導したところ、 治療翌日には浮腫の改善が見られ、 治療8日後には浮腫がほとんど見られなくなりました」。

高橋院長によると、 がんの治療効果は、 プラセボ効果でも、 外科治療・抗癌剤治療・放射線治療、 機能性食品でも大体3割。 しかし通常、 外科手術は1回、 抗癌剤投与も1〜2回ぐらいしか行えないことを考えると、 機能性食品はいってみれば3割バッターを何回も利用できるメリットもあるわけだ。


 医師は 「健康」 という夢を売る仕事。希望を持たせることが大事。 

 高橋院長は 「健康という夢を売る仕事こそが医師の本分」 と話す。 今や日本は1億総病人時代。 健康だと言い切れる人はまずいないだろう。 たとえ、 生きていても快適な生活を過ごしている人は少ない。 そのような人達に健康という夢を与え、 希望を持たせることができるのは医師のやりがいだと高橋院長は強調する。

「夢は所詮、 現実ではないもの。 よく医師のなかにはあたかも、 自身で治療したことを必要以上に誇示する人がいますが、 何よりも生きるということは本人の力無くして出来ないのですから」 (高橋院長)。


プロフィール
 高橋 知宏 (たかはし ともひろ)
1952年生まれ。 東京都出身。 東京慈恵会医科大学卒業後、 大学病院、 県立・市立病院、 救急病院等勤務を経て1990年に高橋クリニックを開設。 日本外科学会・日本消化器外科学会認定医、 日本整形外科学会・日本内科学会会員。

(Medical Nutrition 59号より)


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