スポーツと医療の接点を。 生活習慣病にユニークな指導。 天本病院
食事と運動が生活習慣病の予防と治療に重要だとは分かっていても、「忙しい日常診療では十分な指導ができない」という向きは多いだろう。また、アドバイスをしても患者が実行するとは限らない。そんな中、天本病院(東京都多摩市)の青野治朗院長は、スポーツクラブとの連携や企業による支援プログラムの活用で効果を上げている。
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週1回はクラブ詰め。トレーニングメニュー決定にも医師が参加。 |
学生時代はラグビー部だったという青野院長。「スポーツを通して健康づくりができないか」ということは、かねてからのテーマであった。取り組みが動き始めたのは三年前、スポーツクラブ「NAS」の永山店でメディカルフィットネスコースを開始したことだ。同コースに入会する全員が「メディカルスポーツドック」を受診するというシステムで、トレーニングメニュー決定にも医師が参加するという仕組みを立ち上げた。
そのコンセプトは別のクラブに引き継がれ、今年6月からはスポーツプレックス・ジャパンが運営するクラブで、同様のシステム「メディフィットコース」をサポートしている。
スポーツプレックスはスポーツクラブとクリニックの融合をテーマとした会社で、荻窪(東京)とたまプラーザ(神奈川)ではクリニックを併設したフィットネスクラブを展開している。スポーツプレックスでも、入会に際しては、新規会員全員に医師が面接することになっている。そこでリスクのふるいわけをし、運動処方せんを組んでリスク管理をするわけである。
現在青野院長は毎週金曜日、昼1時から夜10時までクラブに詰めており、さまざまな相談を持ちかけられることも多いとのこと。
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均一なサービス提供へ、FAX利用の支援システム。 |
青野院長がスポーツクラブに出向くことに加え、同院では一般外来での生活習慣病指導に、企業と連携した支援プログラムを活用している。オムロンヘルスケア(株)の「健康パートナー」だ。オムロンでは、希望者にインターネット上で健康チェックをするシステムを展開していたが、そのノウハウを生かし、FAXを使って医療機関での指導のサポートを可能にした。
青野院長はこのシステムを、「最新の情報に基づいて作られているので、これに沿って行えば、均一なサービスが提供できる。生活習慣病指導の質が高まることになる」と評価する。
「健康パートナー」の仕組みはこうだ。インフォームドコンセントを兼ねた利用申込書に患者がサインし、同社のサポートセンターにFAXする。次回来院時に、患者は待ち時間を利用して生活習慣に関する質問票に回答。患者から得られたデータを盛り込んで、センターに送る。すると、センターでデータを解析。指導内容をつけ、FAXでフィードバックされる。これをもとに生活習慣指導をするわけだ。1クールは6回で、毎回違った指導が受けられる。
アドバイスシートには「1日9000歩以上歩く」「お菓子を制限し量を決めて食べる」などの行動目標が提示され、その達成率や、体重・血圧の推移がグラフで表示される。「軽い重さから段階的に負荷を増やしていく『パワー・リハビリテーション』と同じ原理。実際にやってみると、"はまる"患者さんが出てきます」と青野院長。
2回目以降の指導は、患者がアドバイスの実践状況をシートに記録して来院→医師はFAXで送信→さらなるアドバイスシートと実践評価シートが送られてくる――という流れで、これを6回繰り返す。生活習慣病指導管理料の算定時に必要となる「生活習慣病に関する療養計画書」作成も支援される。
「生活習慣病を持っているということは、それまでの生活に何か問題点があるということです。その修正には、素質がある・目標が適正・実行できる――この3つがそろえばよいのです。達成率75%くらいになりそうな目標設定がポイント。そうすれば、達成したという喜びが得られます」。
このシステムは、患者1人につき8000円のライセンス料がオムロンヘルスケアから医療機関に課金されるが、これは生活習慣病指導管理料の算定でほぼペイできる計算だ。ほかに医療機関は入会金5万円、年会費5万円を同社に支払う。
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会社を作り、予防医療普及のための関連プログラムを開発・提供。 |
健康増進法も制定され、疾病予防意識が高まる中、慢性疾患に対しても詳しい生活指導を求める患者が出てきている。しかし、医療現場とすれば、スタッフ不足、時間不足から、十分な指導ができないのが現状ではないか。
同院では、スポーツクラブの現場での指導と、企業の支援システムの利用という2つのユニークな方法を採用し、効果を上げている。そして、青野院長はその経験から「スポーツクラブにおける、医師が介在した指導ノウハウを普及させるためには、しっかりとした組織作りが必要」と考え、友人と株式会社フォルツァエーを4月に設立した。予防医療普及のための関連プログラムを開発・提供する会社である。スポーツプレックスへのノウハウ提供も、フォルツァエーが契約する形となっている。今後は対企業のみならず、自治体や医療機関へもノウハウを提供するビジネスを展開していく考えだ。
プロフィール
青野治朗(あおの・じろう) 昭和38年生まれ。平成3年聖マリアンナ医大医学部卒業、同大第二内科入局。平成11年天本病院勤務。平成14年に同院長就任。東京都多摩市医師会理事。 |
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(Medical Nutrition 54号)
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