"調節"と"再生"
「プラセンタエキス」の魅力とは―

 吉田クリニック

統合医療の現場でよく耳にするようになったプラセンタエキス。医師らによる「胎盤医療研究会」も活況で、理事を務める吉田健太郎医師は、「若手医師、それも内科、婦人科の医師が増えましたね」と語る。吉田院長に最近のトッピクスを聞いた。


 「1億総モデル化志向」のヤセ願望…若い女性の体が危ない

昨年秋、『女性の不調を解消するプラセンタ・パワー』(リヨン社)を著した吉田院長。それ以来、同院には20〜30代女性の受診が一段と増えたという。「顔がほてる、汗が吹き出す、疲れやすい、肩がこる……。聞いてみると、更年期の母親と同じ症状なのです」。

閉経前であるから、女性ホルモン減少のためとは考えられない。ではなぜだろうか。吉田院長は、食生活の変化やストレス、環境ホルモンの影響、生活リズムの乱れなどでホルモンバランスが崩れていることを挙げる。なかでも食生活の乱れは著しい。「主食を食べなかったり、スナック菓子を主食にしていたりと、きちんとした食生活ができなくなっています。長い目でみたら恐ろしいことですね。薬やサプリメントに頼る前に、そこから直していかなければなりません」。

食生活が乱れる背景には「1億総モデル志向」とでも言うべきやせ願望がある、と吉田院長は分析する。細い女性が美しいという固定観念にとらわれ、食事量の制限に走るのだ。極端なダイエットで体重が40kgに満たない例もあり、その結果、生理がなくなるほどだ。

「若い女性はこれから子供を産んで育てていく人たちです。この調子では出生率が下がり続けていくのではないかと心配になりますね。私たちを取り巻く環境は大きく分けて3つ。一つは空気、二つ目が水、そして食事です。空気は変えることができませんが、それ以外の2つは自分の努力で変えることができるはずです」。

同院ではそうした生活指導に加えて、プラセンタや漢方薬を取り入れ、効果を上げている。前者は注射薬を1回1〜2アンプル、週1〜2回施行。後者は桂枝茯苓丸などを用いることが多い。それにより、神経・内分泌・免疫のネットワークを調節し、生体のバランスを調節するのである。


 美容は内面から、その上でのプラセンタエキス 

プラセンタと言えば美容用途がポピュラーだ。美肌や美白を目的に、すでに多くの化粧品に配合されている。吉田院長も、あるモデルの女性に使ったのがきっかけで効果に気づいたという。

彼女は、「顔に出来たシミがとれないと仕事がなくなる」と切羽詰まって受診した。プラセンタエキスを連日注射したところ、回を重ねる毎にシミが薄れ、2週間後には消失してしまったのだ。その後口コミで広がっていったのは言うまでもない。

プラセンタには、線維芽細胞の活性化作用があり、コラーゲンやヒアルロン酸の産生が高まって肌の弾力性が回復する。また、抗酸化作用により、活性酸素によって皮膚が受けるダメージ、つまりシワやシミを目立たなくすることも期待できる。

ただし、と吉田院長は念を押す。「外からケアするだけでは不十分。内面からも健康にしていかないと、決して本当の美しさとは言えないでしょう」。それゆえ吉田院長は、前述のように食事や環境に十分注意すること、その上で、家庭で出来るアプローチとしてプラセンタエキスを含むサプリメントの摂取を勧めている。

 気持の沈静化など、見逃せない精神面への作用 

もう一つ、プラセンタの効果として見逃せないことがある。メンタルな部分に働きかける力だ。「初回注射時から『気持ちが落ち着いた』『熟睡できた』とする訴えを聞くことがあります。精神神経系に何らかの作用があるのでしょう。不眠、イライラ感など更年期のうつ症状やヒステリーに効果がみられます」。そのためか、患者の家族から感謝されることが増えたという。家族、会社ぐるみで受診するケースも多い。


 「機序がわからないもの」にも価値を見出すのが補完代替医療 

さて、今年4月の第1回日本再生医療学会でプラセンタが取り上げられ、一般紙でも報道されたものは、記憶に新しい。プラセンタ中の細胞を用いて再生医療に役立てようとする試みである。言われてみれば、プラセンタは細胞分裂を活発にするから、再生医療にふさわしい。しかもプラセンタには調節作用がある。これは医薬品が得意ではない分野だ。

古くから使われてきたプラセンタと、最先端の再生医療――21世紀に両者が交わったのは興味深い。では今後、現代医療のなかでプラセンタを始めとする補完代替医療を、どのように位置づけたらよいのか。吉田院長はこう語る。

「現代医療は、成分が明らかで、作用メカニズムがはっきりとしているものしか認めない傾向があります。しかしわからないものでも、実際に効果があるのなら、使ってみる価値があるのではないでしょうか。そもそも、がんにしろ、アトピー性皮膚炎にしろ、原因や病態は完全には解明されていないはずです。わからないものに、メカニズムがわかっているものだけを使っても、病気を攻略できないのは当然でしょう」。


プロフィール
吉田健太郎(よしだ  けんたろう)
昭和25年生まれ。名古屋大学文学部卒業。
教職を経て昭和56年、千葉大学医学部に再入学。平成8年より現職。近著に『プラセンタ療法と綜合医学』(たま出版)

(Medical Nutrition42号より)


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