先端医学に立脚した「東洋内科」 水島クリニック
長野県の東部、佐久市。新幹線が開通し、東京からわずか80分となった。その街で、効くものは何でも取り入れ、なおかつ「体に優しい医療」を実践するのが水嶋クリニックだ。さまざまな選択肢を求めて、がんや難治性疾患の患者が全国から集まる。千曲川のそばにたたずむ同クリニックを訪ねた。
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「健康食品による免疫力向上が大切」と疾病別にキノコを使い分け |
水嶋丈雄院長は開業4年目。学生時代より鍼灸、漢方薬に興味をもち、なるべく薬を使わないで治す医療を心がけてきた。「へき地医療に興味がありましたから、薬や設備のないところでも治療ができる方法を探していたのです」。
現在、フォローしているがん患者は50〜60人。治療は(1)免疫力の向上(2)活性酸素除去――の2方向のアプローチがメインだ。がんと診断された時点、または初診時に免疫能のチェックを行い、そのプロフィールに基づいて治療方針を決定する。また手術、化学療法、放射線治療を行う際にはベースとしてキノコ健康食品を摂っておくと、免疫力の低下をカバーできる。血管新生抑制作用を持つサメ軟骨や熊の胆を組み合わせることもある。
ともあれ、「継続が大切。健康食品などで免疫を上げる治療を続けることが、体にとって必要なのです」と水嶋院長は力説する。
猪苓や茯苓など漢方薬にキノコが含まれることもあり、キノコとβ−グルカンには以前から関心があったという。アガリクス・ブラゼイ、メシマコブ、ハタケシメジなどで、これらをがんの種類により使い分ける。
「ハタケシメジは乳がん、前立腺がんといったホルモン依存性のがんに特に効果的との印象です。配糖体であり、吸収に優れていることも利点。メシマコブと霊芝は抗ウイルス作用が考えられ、肝細胞がんなどウイルスの関与が疑われるがんが適応です。一方、消化管腫瘍の患者では、アガリクス・ブラゼイのように善玉菌を含んでいるものを用います。なぜなら、消化管腫瘍の患者では、悪玉菌であるウェルシュ菌が優位な場合が多いからです」。
普段の食生活にキノコを積極的に取り入れるのはもちろんだが、有効成分を効率よく摂取するとなると、やはり健康食品を活用したい。例えばハタケシメジは、なかなか手に入りにくいキノコだが、熱水抽出エキスをカプセルにすることで、毎日一定量のβ−グルカンを摂取することが可能というわけだ。
ハタケシメジの場合、標準的な使用量は1日9カプセル、毎食後3回分服。症例によっては1日6カプセルや12カプセルもある。2週間から1ヵ月で体調がよくなり、なんとなく体がしっかりしてくるとの反応が多い。3ヵ月程度摂取を続けると、ヘルパーT細胞のバランス、すなわちTh1/Th2の比がTh1優位になってくる。またインターロイキン18の上昇も見られる。
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著効例は考察、報告を。これは医師に課せられている役割。 |
水嶋院長は著効例を提示した。「ある50歳の女性は、乳がんが肋膜と骨に転移し、右肺の3分の2にわたって胸水が貯留していました。余命3ヵ月と宣告され、最後の手段を求めて2001年6月に当院を受診したのです。腫瘍マーカーCA15-3は370U/ml(正常30以下)。すぐにハタケシメジを開始したところ、みるみるうちに胸水が減少。半年後には胸水は半分になり、CA15-3は230U/mlにまで低下しました。今年6月には胸水は完全に消退し主治医は頭をひねっているとのことです」。
また、糖尿病の62歳女性のケースでは、生活習慣の改善に同意しない患者がハタケシメジの摂取を希望したため、単独で使用したところ、ヘモグロビンA1cが8.0%から6.1%へと減少した。
「この患者さんの場合、交感神経が過緊張にあったと考えられます。そのため、リンパ球の機能が低下し、インスリンの分泌が低下するという悪循環に陥っていたのでしょう。β−グルカンは副交感神経を優位にするので、間接的にインスリン分泌を促進したのです」。

むろん、すべて健康食品でうまくいくわけではない。「大切なのは、どのくらいの症例に使用して、何例に聞いたか、どの症状に効いたのか、効かなかったのはなぜなのかをしっかり考察して、論文として残していくこと。著効例を経験したら、その理由についてきっちりと把握し、それらを集めて、しかるべきところで報告すること――この流れを意識することが、医師に課せられているのではないでしょうか」。
水嶋院長は大学卒業後、米国流の全科ローテート方式で、内科や外科はもとより、産婦人科や皮膚科の診療技術も体得した。さらに、中国への留学経験もあり、中医の資格を有している。その経験を踏まえてこう語る。
「現代医学の先端を知っているからこそ、補完代替医療(CAM)が有効に適用できる。CAMに固執するあまり、病勢を制御できなかったり、がんを見逃すなどあってはならないことです。最先端の手法で患者さんの状態を把握し、その上で、漢方薬や食養生を提供するのが本来の統合医療だと思います」。
プロフィール
水嶋丈雄(みずしま たけお) 昭和30年生まれ。昭和56年、大阪医大卒業。長野県厚生連佐久総合病院を経て開業。日本東洋医学会会員。 |
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(Medical Nutrition41号より)
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