腸から始まる一歩先の統合医療
 銀座サンエスペロ大森クリニック

湯の町・大分県別府市で、がんやアレルギー疾患への統合医療を実践していた大森隆史医師は4 月、東京にその拠点を移した。これからの舞台は「銀座サンエスペロ大森クリニック」。エスペラント語で「健康」と「希望」を現すという。改めて意気込みを語ってもらった。


 腸洗浄が消化吸収の壁を越える

大森院長は、九州大学の工学部を卒業後、石油会社の技術職や予備校講師を経て医師になった経歴の持ち主。医療に携わって、こう感じたという――「人間が生きるということは、酸素を吸って炭酸ガスを吐き出して、食物を口から出してお尻から出す、むしろシンプルな行為の繰り返し。複雑な状態の患者さんでも、この原点を忘れないようにしたい」。

別府時代から、統合医療の本場・カリフォルニアやメキシコに視察、研修に出かけることが多かった。その経験もあり、これまで行ってきた統合医療をステップアップさせる意味で東京に移転することになった。

治療の中心となるのは腸洗浄(コロンクレンジング)だ。これは専用の装置(写真)を用いて温水で腸内を洗浄し、大腸の蠕動運動を回復させるもの。3、4日で良好な便通が得られるので、その後は1ヵ月〜1ヵ月半に1回を目安に続けるとよい。初診時に高度な便秘を訴える症例では1〜2週間ごとに繰り返す。

腸洗浄の必要性を大森院長はこう説明する。「どんなに良い食事をしていても、優れたサプリメントを摂取していても、消化吸収機構が不十分であれば効果を発揮できないだろうし、アレルギー反応の引き金になることも考えられます」。

腸の粘膜に滞留便がこびりつき、それで悪玉菌が増殖する。そのような状況では腸が弛緩し、蠕動運動が起こりにくい。十分な消化機能が発現できないわけだ。同院では、あらゆる病気に腸の問題があると考え、腸をケアすることで疾病の治療、予防に役立てるのである。その上で、乳酸菌製剤を継続的に摂取して腸内環境を整える。善玉菌の「エサ」となり、善玉菌を優位にするのに一役買うオリゴ糖を併用することも重要である。ちなみに他の統合医療施設では、コーヒー浣腸や断食が行われているが、基本となる考えは同じだ。ただ、それぞれのやり方があるので、習熟にコツがいる場合がある。この腸洗浄が、がん、アレルギー、生活習慣病を問わず、土台となるアプローチである。

「消化器、肝臓、ホルモンなどのトータルな活性化が期待できます。乳酸菌製剤のみを摂取していれば大丈夫と思っている人がいますが、そのような方に腸洗浄を行なうと明らかな効果があり、驚かれますよ」。


 免疫能増強、血管新生抑制、がん細胞の直接攻撃が、がんの統合医療3本柱 

その上に組み立てていく治療にはどのようなものがあるか。がんの場合なら(1)免疫能増強(2)血管新生抑制(3)がん細胞の直接攻撃――の3点からアプローチする。(1)に対してはAHCC、アラビノキシラン、メシマコブ、(2)にはサメ軟骨エキス、サメ抽出脂質、(3)には朝鮮人参に含まれる成分を用いている。特に血管新生抑制作用に関しては、サメ脂質のように優れたものが出てきたと評価する。サメ脂質は1日15カプセルが目安。アラビノキシランを1日2〜3包、サメ脂質と組み合わせて使うと、がん患者の食欲、気力が出てくる。腎臓がんの肺転移が休眠状態に入ったり、急激にマーカーが下がり始めた例も経験しているという。

一般に天然成分には、がんを促進する物質と抑制する物質が混在していると考えられる。そのため、摂取上の注意として大森院長は、「たとえ免疫を高める物質でも、飲みすぎると炎症を惹起するかも知れず、たくさん摂ればよいというものではない」とアドバイスする。単独で量を高めすぎては逆効果になる。適正な量を飲むことが、効果と経済性につながるのだ。


 「基本に返る」という方針でアンチエイジングにも力を入れる 

がんの統合医療と同様に、力を入れているものに抗加齢医学(アンチエイジング)がある。とは言っても、特殊なホルモン療法や秘蔵のサプリメントではない。

「『基本に返る』方針です。例えば最近、アルツハイマー病、がん、それにうつ病に対してホモシステインが注目されていますね。その観点から考えれば、解決するのに特効薬はいりません。ビタミンB群で血中ホモシステインの濃度を下げればよいのですから。ビタミンは予防医療に適した成分といえるでしょう。同様に、アミノ酸もローコスト・ハイパフォーマンスの医療です。患者のニーズにマッチし、安全で持続的に使える。コスト面でも有利と、日本の医療環境に合ったアンチエイジングといえます」。

開業して3ヵ月の患者動向は、美容が6割、がんが3割、残りが生活習慣病。銀座という土地柄、美容を職業とする人が多いのが特徴だ。

「にきびにしても、皮膚だけを診るのではなく、消化器、卵巣機能、ホルモンなどをトータルに捉えます。治療方針を話すと驚く患者さんもいますが、そうしないと、結局は再発を繰り返すことになります。皮膚に出ている病変は『内臓疾患の未病』と言えましょう。特に30代の女性では、未病として皮膚病変が出ている方が多いのではないですか」と指摘する大森院長。「皮膚は内臓の鏡」という原点に返る姿勢がうかがえる。


プロフィール
大森 隆史(おおもり たかし)
昭和29年生まれ。昭和54年九州大学工学部大学院終了。平成元年同大医学部卒業。福岡徳洲会病院、大分医大などを経て平成9年、「大森内科・アレルギーくりにっく」を開設。今年4月より現職。

(Medical Nutrition40号より)


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