健食・アロマ・ホメオパシー…、「自然療法外来」スタート
 東京女子医大付属成人医学センター

東京女子医大附属成人医学センター(東京都渋谷区)では、この4月「自然療法外来」をスタートさせた。現在、川嶋朗・同大腎臓病総合医療センター講師と斑目健夫医師(同大東洋医学研究所)が、週1回ずつ外来に当たっている。さまざまな自然療法の相談に乗るほか、西洋医学的治療のセカンドオピニオンやカウンセリングにも応じるという。「日本の医師には認識が低いが、統合医療は世界の流れ」とする川嶋医師を訪ねた。


 抗酸化能、免疫力の向上など全人的治療が可能 

「例えば、がんにならないようにしたい。あるいは少々血糖値が気になるが、現時点では薬を使いたくない。そのような人の『生活習慣の改善以外に何か方法はありませんか』という問いには、西洋医学的な対処方法では限界がありますね」。川嶋医師はこう切り出した。

その問いかけに答えるのが、さまざまな補完代替医療(CAM)である。抗酸化能を期待する、免疫力を向上させる――川嶋医師は早くから全人的な治療ができるCAMの可能性に注目し、日本代替・相補・伝統医療連合会議(JACT)などで中心的な役割を果たしてきた。

「北海道大学に入学して早速、東洋医学研究会を作った身ですから。昨年、学会で北海道を訪れる機会がありましたが、研究会は現在もアクティブで感激しました」。

週2回の外来は自由診療で行われ、一人の患者に30分は時間をかける。そのため、予約制で1日5組。これまでに訪れた患者は、がんやアトピー性皮膚炎はもとより、うつ病、摂食障害、慢性疲労症候群とさまざまだ。

同外来には温熱治療器、マイナスイオン発生器(写真)が備えられているほか、鍼灸、アロマテラピー、漢方薬や健康食品の相談にも対応する。診察机の中にはホメオパシーのレメディも用意してあるという。リンパ球療法やゲルソン療法など、その場で実施不可能なものについては、統合医療を行う他の施設に紹介する。


 健康食品に過剰な期待を抱きがちな患者に対し、EBMの観点から考える 

健康食品は、同外来で販売することはないが、患者の状態によって摂取をアドバイスすることもある。水溶性キトサン、霊芝、ビタミン、ミネラル、EPA、乳酸菌、玄米、イチョウ葉、キャッツクローなどだ。がん患者を例にとると、抗酸化的な働きを期待するものと、免疫を向上させるものを併用して転移の抑制を図る。がんそのものをたたくより、自己防衛力の強化を主眼とするのである。

選択の基準については、「大学病院の医師として、健康食品はデータのしっかりしたものでないと、使いません」と断言する。また、メーカーを指定せず、一般的銘柄のみで紹介する方針だ。「大学人としては、当然そういった対応になります。質の違いは、患者さん自身が吟味する目をもつようになって欲しいですね」と川嶋医師は指摘する。

ややもすると、患者は健康食品に過剰な期待を抱きがちだ。そんなとき、川嶋医師は「3割バッターでいいじゃないですか。野球ならそれでも一流選手ですから」と話しているという。

3割という数字は、EBMの観点からすると低い評価になりそうな気がする。ましてや、健康食品の試験でプラセボをかませた比較試験を行うのは、倫理的に問題とする見方もある。データの蓄積が最終的にメタアナリシスとして検討されるわけだが、健康食品でそこまで進んでいるものは極めて少ない。

その点、川嶋医師は「質の悪いメタアナリシスよりは、ランクは低いが、精巧にデザインされた観察研究を行う方が妥当なエビデンスになる可能性があります。研究によって導き出された上位のエビデンスがない場合には、個人の経験的観察による下位のエビデンスがベストエビデンスといえるのではないでしょうか。もちろん、クロスオーバー法で検討できるならそれに越したことありませんが」と考えている。


 統合医療の大きなうねりの中で、学内に「オルタナティブメディシン研究会」を発足 

海外では、統合医療は大きなうねりとなっている。川嶋医師によると、アメリカの医学校125 校のうち75校(60%)でCAMに対する講義が始まっていて、その中にはハーバード、スタンフォードなどの一流校も含まれる。イギリスを始めとする欧州諸国でもCAMについての教育がなされており、ドイツでは、国家試験にまで取り入れられている。

「日本にもCAMが広がる兆しは出つつありますが、臨床の場ではなかなか認識されていません。CAMの治療を受けたくても、相談する場所、相談する医師すら見つけるのが困難でしょう。この外来が、そのような場所になればと思います」。

女子医大では、98年12月から学内に「オルタナティブメディシン研究会」を発足させ、CAM の情報提供、研究報告、講演会などを定期的に行ってきた。川嶋医師、斑目医師ともに同会のメンバーで、将来は担当医、外来日を増やす計画もある。

またCAM以外でも、西洋医学的治療のセカンドオピニオンや心の悩み、健康維持の方法、虚弱体質、未病状態、さらには老化現象の軽減(抗加齢医学)にも取り組む考えだ。


プロフィール
川嶋 朗(かわしま あきら)
昭和32年生まれ。昭和58年北海道大学医学部卒業、東京女子医大第4内科(腎臓病総合医療センター)入局。平成13年1月より現職。

(Medical Nutrition39号より)


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