ほんとうの美容は健康から――気・血・水の理論を皮膚科疾患に導入
 よしき皮膚科クリニック銀座

銀座松坂屋のほど近い場所にある「よしき皮膚科クリニック銀座」では、ニキビやアトピーなど種々の難治性皮膚疾患の治療に際して、漢方医学の『気・血・水の理論』を取り入れた診療を行っている。場所柄、クリニックに通院する患者は約9割が近隣の職場で働く女性で、25歳から35 歳ぐらいまでの年令層が多い。『ほんとうの美しさは内面から』をコンセプトに患者の内面ケアに力を注ぐ、院長の吉木伸子医師に診療の様子を伺った。


 皮膚疾患の治癒と同時に体調も健やかに

「私のクリニックは美容皮膚科のため、ニキビやアトピーの患者さんが大半を占めます。これに対して西洋医学では、抗生物質やステロイドが治療の中心となっているのが現状です。これらを使うと、一時的には症状がよくなりますが、根本的な治療にはならず、長期に使用すると副作用の問題が生じてきます」----。吉木院長は皮膚科診療への漢方医学採用の理由をこう語る。漢方医学の採用についての患者からの評判は良く、皮膚疾患の治癒と同時に体調等の改善がみられたとの報告を数多く受けたという。

「気・血・水の理論を利用すると、体全体のバランスのひずみによって、病気に結びついていくことが理論づけしやすいため、患者も日々の生活を見直そうと前向きになってくれます。また、漢方医学自体は科学が発達する以前から存在していたため、内容も西洋医学に比べて日常生活に身近なものが多く、患者も理解しやすいです」と診療に気・血・水の理論を利用する長所を吉木院長はこう説明する。患者も体のひずみに対しては十分に気をつけるようになり、未病を防ぐ事にもつながるという。

「西洋医学でも東洋医学でも、それぞれの得意分野というものは存在します。その得意分野を生かした治療を行っていくことが大事なのではないでしょうか」。吉木院長は、西洋医学・漢方医学それぞれの利点を生かした医療を提供していきたい考えだ。


 漢方を志すきっかけは医学生時代に母親に飲まされた漢方薬 

漢方医学では、全体のバランスが取れることで治癒力も上がるという発想から、自然の力を利用して体内各箇所の特性を生かす方法で症状を改善していく。なかでも、気・血・水のバランスにひずみが生じることで体の不調を考えていく『気・血・水の理論』は漢方医学の中核をなす考え方だ。「気虚(ききょ)」、「気滞(きたい)」、「血虚(けっきょ)」、「血(おけつ)」、「水毒(すいどく)」の5種類あるひずみの状態を、バランスの取れた状態に戻すことで疾病を予防していく。

吉木院長は、医学生時代に起きたある出来事をきっかけに漢方に強い興味を持つようになったという。「その時は、かぜによる消化器症状で3日間全く食べることができませんでした。かぜ薬を飲んでもなかなか治らず、それこそ脱水症状を起こしてしまいそうになりました。その当時、私は下宿に住んでいましたが、母親が漢方を取り入れた皮膚科を開業していたこともあり、母に漢方薬を飲まされたら、不思議なことに消化器症状が15分ほどで治ってしまったのです」と話す。その後、漢方について研究し、現在では、自身が漢方を診療に積極的に取り入れることにつながったという。


 健康なくして美容はあり得ない、患者さんには身内のようにアドバイス 

吉木院長は、自身のクリニックの患者層で一番多い25歳から35歳ぐらいの年齢層の女性が「健康よりも美容」優先の意識が強い点に警告を発している。

「美容についての考え方は1人1人違っています。しかし、不規則な生活を送っていて肌がきれいになることは決してありません。嗜好やライフスタイルを変えることは難しいと思います。しかし、女性は美容のためにも、自身の日常生活をもっとみつめ直して欲しいですね」と吉木院長は主張する。同時に、女性のなかには自身の健康に対して他力本願の人が多いのも気になる点だとも話す。雑誌などで人気の商品が掲載されると、すぐに殺到する点などは、その最たる例だと吉木院長は指摘する。

長期的な視野に立ち、できるだけ患者に副作用が少ない医療を提供していくことが吉木院長のモットー。その意味で、診療に際しては、患者さん1人1人を身内のように考えてアドバイスしているという。特に同クリニックの患者のほとんどがOLで、多くの人はやがて主婦になっていくことを考えると、その重要性はなおさらだと語る。吉木院長のスタンスは、女性のアンチエイジングを考えるうえで、今後大きなポイントとなってきそうだ。

プロフィール
吉木伸子(よしき・伸子)
1993年、横浜市立大学医学部卒業。同年慶應義塾大学医学部皮膚科勤務。浦和市民病院、大宮レーザークリニックを経て、98年に銀座に「よしき皮膚科クリニック銀座」を開設。その間に、米国オハイオ州クリーブランドクリニックで3回の美容皮膚研修を行う。

(Medical Nutrition37号より)


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