予防医療に基づいた「美のかかりつけ医」を目指す ノエル銀座クリニック
抗加齢医学や非侵襲的な美容医療に関心が高まるなか、美しく健やかに年を重ねるためのクリニックが昨年11月28日に開業した。東京・銀座の並木通りにあるノエル銀座クリニック(院長=石井曉彦)だ。医師を始め、栄養士、エステティシャンなど各分野の専門家が連携し、「予防医療に基づいた、健康と美を保つ快適な生活」を主眼に「美のかかりつけ医」を目指す。
 |
医師がサプリメントをプロデュース |
皮膚科専門医である石井暁彦院長は、皮膚疾患を治療する技術はもちろん、「治った後、それ以上に美しい肌を作る」方策にも興味があるという。「『回復』というより『快復』でしょうか。それは、私自身がアトピー性皮膚炎(AD)を患っていたことも大きいと思います。男性であっても、きれいな肌に対するコンプレックスがありました。ましてや思春期ですからね」。
自身の経験もあり、石井院長はADの患者に対して「かゆくても我慢して」という指導はしていない。炎症を速やかに制御し、皮膚の再生を促すことに意を注ぐ。それとともに、皮膚のバリア機能低下への対処法を指導する。
その手段の一つに、ヒアルロン酸とハマメリスエキス入り化粧品「ヒアロマリス」シリーズがある。石井院長らが開発した「ドクタープロデュース」製品だ。診療現場で「どのサプリメント、化粧品を選んだらよいか」との質問をよく受けることから、石井院長らのグループは、メーカーと協力してサプリメントや化粧品を開発している。
「ヒアルロン酸の水分保持能力に着目し、術後や処置後に使っていました。すると、『肌がしっとりするようになったから、これからも使いつづけたい』という声が上がってきたので、市販に至りました。ドクタープロデュースの製品だと、市販後も患者さんの声を踏まえて改良できるのがメリットです」。
ADとならんで皮膚科領域でよくみる疾患・にきびには、ビタミンC外用液のイオン導入療法を行う。これにより、毛穴に詰まった皮脂や膿をイオンの力で排出し、皮脂腺にビタミンCを作用させることが可能になった。
「ビタミンCの皮脂の過剰分泌抑制作用、抗菌作用が十分に発揮されます。より根本的なアプローチとして、きわめて合理的な方法です」。効果もよく、多くの場合、一回の処置で終了する(写真)。
 |
健康に美しく年を重ねる |
同クリニックの母体は、医療法人社団宗仁会。同会は、東京・江戸川区内の数箇所にクリニックを展開し、内科、小児科、皮膚科、耳鼻科などの専門医を一堂に集めた効率の良い地域医療を提供している。
そのような地道な活動とともに、同会では「高齢化社会を迎え、人々は健康であることはもちろん、美しく年を重ねたいと思っている。そのサポートには医療と美容の連携が必要」と、2000 年に「さくら医療美容総合センター」を開設した。従来型のメディカルエステとは一線を画し、あくまで医療に基づいた「健やかな美」に関するサービスを提供する施設だ。同クリニックは、そのコンセプトを受け継ぎ、さらにかかりつけ医としての利便性を目指した。
さて、美容医療で切り離せないのがダイエットだが、同クリニックのダイエット外来はこうだ。まず、2週間分の食事内容を書き出してもらい、医師と栄養士がアドバイスする。その上で、日常生活で続けられることを、患者さんと相談して見つけ出していく。
「ポイントは、トータルな食事量をどう抑えるか。そしていかにそれを続けるか」と石井院長。ダイエット対策のツールとしては、低カロリ−ドリンクやスープをはじめ、脂肪吸収抑制剤(オルリスタット)、食欲抑制剤(シブトラミン)、酵母食品などがある。これらにより、リバウンドなく健康的に体重を落とし、それを維持することが可能になったとする。
 |
医療と美容のコラボレーション |
患者の状態によっては、さくら医療美容総合センターとも連携しながら、メディカル痩身マシーン(エンダモロジー)、腸内洗浄、脂肪吸引、耳ツボ刺激、ボディマッサージなどの施術を行う。同クリニックには、鍼灸師、エステティシャン、メイクアップアーチストも勤務しており、これらのプロフェッショナルとの共同作業(コラボレーション)が、「美のかかりつけ医」としての幅を広げている。
石井院長はこう語る。「皮膚科専門医としての仕事のほかに美容医療も手がけるようになって、エステ関連企業やサプリメントメーカーなど、外の世界と付き合うようになりました。保険診療だけだったら、それはなかったと思います。一人でいろいろなことを手がけるのも一法ですが、それぞれのプロに任せ『1+1=5』になる方が、患者さんの満足度は高いでしょう」。
保険診療や補完代替医療といった治療法のレベルを超え、医療職種の「統合」がここに実現した。
プロフィール
石井暁彦(いしい あきひこ 昭和38年生まれ。平成元年、東邦大学医学部卒業、同大第二皮膚科入局。横浜東邦病院、東京警察病院などを経て現職。日本皮膚科学会認定専門医。日本美容外科医師会監事。 |
|
(Medical Nutrition 34号より)
|