「医食同源」をモットーにがん患者を支援
 とまつ内科・胃腸科クリニック

さいたま市のJR浦和駅前にある「とまつ内科・胃腸科クリニック」の戸松成院長は、がんと内視鏡のプロフェッショナル。しかし、がんが進行して『がんとの共存』を余儀なくされた患者に対しては、食事療法を軸とした非侵襲的医療をおこなっている。「医食同源」をモットーにし、医師側ががん患者を支援する医療をめざす同クリニック院長の戸松成医師に話を聞いた。


 食事療法を積極的に取り入れる

「具体的には、免疫機能を高める野菜や果物を積極的に摂取し、肉や乳製品などの免疫機能を低下させるものはなるべくひかえるようにアドバイスしています。また、きのこ類にも免疫機能を高める作用があり、1日1回摂取することが望ましいと思います。穀物では、白米の代わりに玄米を摂取するのがよいですね」―。戸松医師によると、免疫機能を高めることはがんの進行抑制に大変重要であり、食事療法を通じて、免疫機能を高める素材を無理なく摂取できるという。

「例えば末期がんなどの患者に対して、その患者を見捨ててしまうのではなく、疾病治癒への望みを与えることが医師としての大切な役割だと思います。そういう意味から私は、どちらかというと医師側が患者さんに対して一方的に指導するのではなく、医師側が患者を支援していくという姿勢で診療に取り組んでいます」と自身の診療ポリシーを示す。

 健康食品も積極的に活用

戸松医師は、がん患者に対して健康食品の積極的な摂取をアドバイスしている医師のひとりでもある。
「以前、私ががん専門病院を訪れた時、多くのがん患者が、手術の有無にかかわらず、きのこやプロポリス類の健康食品を摂取していた。このときに私は、摂取している患者が摂取しない患者よりも抗がん剤の副作用が軽いとの印象を受けた。その後、私はきのこ類の研究をしている医師にそのことをたずねたり、代替医療の研究会での講演を聴いたりした結果、食事療法の一環として健康食品の摂取を積極的に患者にアドバイスしていこうと考えた」と、そのいきさつを説明する。

戸松医師は、健康食品摂取のメリットとして「健康食品は医薬品と違い、自然食物をベースに作られているため、副作用の心配がない点が大きい」と話す。また、摂取も経口なので、『医食同源』の理にかなっているという。具体的にはアガリクスやプロポリス、それにキノコ製剤のAHCCなど動物実験の基礎的データや臨床データが確立しているものを勧めている。実際に健康食品を摂取した患者さんや家族からは「腫瘍の増大が止まった」「ほかの医師から宣告されていた余命年数よりも長く生きられた」などの反響もあったという。戸松医師は、健康食品の投与に関して、「医師個人の経験に基づいておこなっている」と指導の難しさを話し、健康食品の摂取については客観的なデータにもとづく指導が必要とも強調する。

その一方で、戸松医師は現在の健康食品の状況は手放しで喜べるものではなく、問題点もたくさんあるともいう。
特に「健康食品の臨床データが、業者の営業本位の立場で作成され、発表されているものが多い点が気にかかる。有効な症例のみを取り挙げて、ネガティブなデータはスポイルしてしまっているように思われる。しかも、このような発表を学会や研究会で発表しているというのも問題だ」と指摘、健康食品に対する医療関係者の信頼度をあげるためにも、有効な症例とともにネガティブな症例もすべてさらけ出す方がよいとアドバイスする。

また戸松医師は、「健康食品自体の価格がどの会社の製品も一定して高いのも問題である。『わらにもすがる』思いで買い求めるがん患者とその家族の心情にもっと配慮がほしい」と注文をつける。

 健康食品への頼りすぎに警鐘

その一方で、患者側が健康食品へ頼り過ぎる現状へも警告を発している。
戸松医師は「当クリニックに来院される患者さんのなかには、がんの進行が軽く、手術をすれば治る場合でも、手術をしたくないがために健康食品に頼る人がいる」点を指摘。あくまでもがん治療のメインは西洋医学であって、手術をすれば治る見込みがある場合には、医師として当然手術を勧めるなど、西洋医学と食事療法の良いとこどりでケース・バイ・ケースに両者を利用することの利点を強調した。

 患者は「治療」と「生活の質」に対する自分のスタンスをもつこと

最後に戸松医師は、特にがん患者の場合は治療と生活の質に対する自分のスタンスを持つようになることが非常に大切だと語る。その意味で、1人の医師に頼らないセカンドオピニオンを勧めている。「昔と違って現在では、いわゆる末期がんでも家庭生活に支障をきたさない人もでてきています。私は医師として、患者がホスピスよりも家庭生活の中で治療することが最も理想的だと思っています。それを援助する意味で健康食品は非常に都合がよいものだと考えています」と健康食品の有用性を述べ、「今後は在宅医療にも積極的に取り入れていきたい」と語っている。

プロフィール
戸松 成(とまつ・せい)
1948年生まれ。72年、福島県立医科大学卒業。83年、東京女子医科大学消化器病センター内科医局長。93年、同大学助教授。日本胆道学会評議員、日本消化器内視鏡学会国際協力委員、日本内科学会認定医・専門医試験委員、国際協力事業団(JICA)顧問医を歴任。
現在、日本消化器内視鏡学会社団評議員、(財)国際研修協力機構(JITCO)顧問医、(財)保健同人社ヘルシーダイヤル相談医を務める。

(Medical Nutrition 33号より)


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