医の本道は“病気にさせないこと”ウミヘビ油針、プラセンタなどを切り札に 東京・中目黒の羽根田診療所は、厚生労働省が研究を認めた“油針療法”を実践する全国で唯一の医療機関だ。ウミヘビのオイル成分をツボに注入する“油針療法”を柱に、プラセンタ療法や内痔核硬化療法などの自然医学療法を組み合わせる同診療所の取り組みについて、(財)羽根田天然物化学研究会の横山博美会長に聞いた。
羽根田診療所では、動植物など天然物に含まれる疾病予防や治療に貢献する物質の研究や情報収集とその公開――などを目的とする厚生労働省所轄の(財)羽根田天然物化学研究会の附属診療所として開設された。 天然物の臨床応用と研究成果の実践普及を担っており、国内で唯一、“油針療法”を行っている。診療所の理念について研究会の横山博美会長は「天然物を活用した自然医学療法をテーマに、“切った張った”をせず、せいぜい使っても注射ぐらいで治す、それでいて患者の負担も少ない医療を心掛けています。病気を治す力の50%は、患者の治癒力です。我々医師は、患者の治ろうとする力を導く努力することが大切です」と話す。 最大の研究テーマである“油針療法”には、琉球王朝の宮廷料理に不老長寿の食材として供され、精力増強の民間薬として沖縄地方に伝えられてきたエラブウミヘビ(学名ラチカウダ・セミファシアタ)の脂質成分(リポイド)が利用される。油針療法は、このウミヘビの内臓から抽出した治療用エキスを注射器でツボに注入する「穴位針治療法(ツボ打ち)」で、一部では大正時代から70年間実践されてきた。
エキスの主成分はDHA、EPA、プロスタグランディンといった脂肪酸。ツボや患部に薬効成分が直接注入されるため、薬理効果と同時に針治療の刺激が得られ、血流改善効果や鎮痛効果、強壮効果などの効果が持続するという特長がある。油針療法の受診者は年間400〜500人。「効果は、痛みを取り除くだけでなく、全身を元気にします。男女の更年期症状、さらにはイライラして眠れないといった症状などの改善も見られます」と横山会長。これまでの臨床評価から、ギックリ腰やムチ打ち症を含む肩こり、腰痛、背中、頸などの痛みなど関節とその周辺の痛み、坐骨神経痛などの神経痛、さらには自律神経の異常に対する効果を確認し、厚労省に報告している。 油針療法の治療費は、自費で1回当たり5000〜1万円。肩だけなら3000円程度だ。油針療法は同診療所だけでしか受けられないため、全国から患者が訪れるが、遠方の患者で頻繁に来院できない場合は、ウミヘビエキスの健康食品「ラチカゴールド」で治療を補うこともある。
またヒト胎盤エキス製剤を用いたプラセンタ療法やビタミン療法も、同診療所ではツボに注入する穴位針治療法を採用している。プラセンタ穴位針は、主に乳がんや子宮がんなどの女性ホルモンのバランス調整に、ビタミン穴位針は末梢神経障害(ビタミンB12)をはじめ、美肌作用(B2、B6)、美白作用(C)などと各種ビタミンに応じた治療を行っている。 アップルポリフェノールを含有したタブレットやスキンケア製品も、アトピー性皮膚炎など皮膚障害の改善に、切り札となる。特に、アップルポリフェノールに海洋深層水を加えたオリジナル処方の全身用ゲルは、慢性透析患者の皮膚のかさつきや痒みに対し、66.6%の臨床的な有効率を示している。健康食品については、「高脂血症の治療薬といえば、通常メバロチンを選びますが、診療所のテーマに沿って安心して使える天然物となると田七人参を選択します。田七は、高脂血症や貧血の患者に好評です」と横山会長。 “おしっこが近い”といった前立腺肥大症の訴えには、ヤマイモをよく食べるように勧めたり、ノコギリヤシエキス、カボチャオイルのサプリメントを勧めることがある。医新会前立腺センターの理事長でもある横山会長は、男性の更年期障害という観点から、問診と血液検査による男性更年期ドックを開設しており、前立腺肥大症の予防と早期発見に力を入れている。前立腺センターの最新機器を用いた前立腺肥大症に対する温熱療法では、すでに4500症例の実績がある。 21世紀医療のあるべき姿は、予防と早期発見です。この考え方の根底には“無理やり治す医療”ではなく、“患者の治る力を引き出す医療”というのがあります。もちろん病気を見つけることは大事ですが、病気にならないようにすることが我々医師の本道です」と話す横山会長。その言葉には、各種治療法を駆使しながら、様々な症例に対応してきたという自信が漲っている。
(Medical Nutrition 30号より) |
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