フィットネスクラブと連携して運動療法を実践
 関西医科大学健康科学センター 木村 穣 医師

1996年度の高血圧に続き、2000年度から糖尿病高脂血症に対する運動療法指導管理科が認められた。関西医大健康科学センターでは、所在地沿線のフィットネスクラブとの連携で、「京阪神メディカルフィットネスネットワーク(KMFN)」を展開し、運動療法による治療の効率化やその他慢性疾患の悪化防止、予防を行っている。健康科学センターの木村穣医師に聞いた。


 運動療法ネットワークを構築

生活習慣病に対し、適切な指導のもとに行われる運動療法は、強力な治療手段となる。関西医大健康科学センターでは、フィットネスクラブと連携し、運動療法を積極的に取り入れた全国でも例を見ないネットワークを展開。関西医大がある京阪本線沿線のフィットネスクラブ16施設では、「京阪メディカルフィットネスネットワーク」として、医師の指導に基づく運動療法を実施している。

同センターの木村穣医師は、99年4月に関西医大付属病院に健康科学センターを開設し、運動療法のシステム化を進めてきた。しかし、センターの設備及びマンパワーだけでは患者の増加に対応できないことから、外部の運動施設と連携するKMFNの構想が生まれた。

患者がフィットネスクラブなどの運動施設で運動療法を実践するには、まず運動処方せんを理解して適切な指導ができ、医師に患者の状況を報告できるトレーナーの存在が欠かせない。センターでは、健康運動指導士やこれに準じる資格を持つトレーナーを対象に、運動療法に関する教育を行い、月1回のミーティングに参加することなどを条件に契約トレーナーとして認めている。 KMLFはトレーナー個人との契約によって成立しており、運動処方箋に沿った運動療法を行うほか、トレーナーが所属している施設利用者に対し、健康科学センターを直接紹介する権限が与えられている。

 情報共有で広がる、治療のバリエーション

「医療期間以外で運動療法を成功させる鍵は、“情報の共有”です」。

木村医師は患者の同意をもとに、運動強度のほかに年齢や病名、血圧、血糖値、薬物治療の状況などの患者のデータをトレーナーと共有している。統一書式で患者ごとのファイルを作り、ミーティング時のディスカッションや治療方針の決定に役立てている。

運動療法を継続させるかという点も医師を悩ませてきたが、医師と患者の間に情報を共有するトレーナーを介することで状況は変わった。「単に運動処方せんをもらって、施設を黙々と運動をしていたのでは、すぐに飽きてしまいます。ファイルで血糖値を意識するだけでも患者のモチベーションが高まり、継続性は上がります。患者が実際にやっているかどうかもチェックできます。継続してはじめて科学的にも効果が期待できます。継続させることが重要です」とする。

 安全性は医師の責任で

全国には運動療法の指定運動施設が120ヶ所ある。しかし、トレーナーの多くは競技を目的としたフィットネスの知識はあっても、健康維持や治療目的の運動知識は乏しい。フィットネス機器も健康人を基準に、適正な血圧や脈拍数を算出するため、病人に運動負荷をかけ過ぎてしまうことがある。事故発生リスクの増加など病人の受け容れに消極的であるのも無理はない。「安全性の確認や効果の評価などを医師が責任を持つということが、施設側にとって重要なことです」と語る木村医師の言葉には自信が読みとれる。

プロフィール
木村 穣(きむら ゆたか)
1981年、関西医科大学卒業。1998年、関西医科大学第2内科心臓血管病センター講師。循環器専門医。日本心臓リハビリテーション学会評議委員。健康スポーツ医。臨床運動療法研究会(幹事・事務局長)。

(Medical Nutrition 25号より)


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