がん免疫ドックを導入 早期発見と予防医療の指標に
 小倉病院 足立幸博医師

東京・世田谷区の高級住宅街にある小倉病院(病床数106床)は、高度の医療を24時間体制で提供する二次救急病院。救急外来は区内でも2番目に多く、病診連携では地域の拠点となっている。外科部長の足立幸博医師は、食事指導に力を入れるなど、外科医としては異色の存在だ。免疫ドックの必要性について「予防医療の一つの指標になり、食事療法の効果を判断する目安にもなる」と話す。


 がんは家系の食傾向も関与

足立医師は、外科手術でがん患者を執刀する機会が多いが、術後に必ずと言っていいほど家族から尋ねられるのが「何を食べればいいのですか」といった食事に関する質問だ。

「何を食べればと言われても、そんなことは大学では教えてくれませんからね……。しかし食べ物の西洋化で大腸がんや乳がんが増えていることは事実ですから独学で栄養学を勉強するようになりました」(足立医師)。今では動物性の脂肪を控え、緑黄色野菜を十分にとるなど、基本的なことを指導している。これまでの事例では、飲料水ひとつとっても水道水からミネラルウォーターに替えただけで、患者の体調が改善されたケースがあったという。

「例えば家系的にがんが多い場合、発症因子は遺伝的なものかもしれませんが食生活が似通っているという点も無視できません。辛い物が好きだという嗜好も遺伝的なものかもしれません。家系の食傾向も少なからず関与しているのではないでしょうか。がんは生活習慣病ですから食生活を見直すことが発症予防につながりますし、術後の再発防止という意味でも重要なポイントになります」(足立医師)。

 発症の危険性を探る検査を

がん免疫ドックを導入したのも、がんの早期発見に加えて、予防策として患者にあった健康食品を選び、その効果を確認したいという狙いがある。

導入するがん免疫ドックは、横浜コンフォート病院の宇野克明医師が開発した「イムノドック」。同システムのがんスクリーニング・メカニズムは、免疫担当細胞検査やサイトカイン検査などを実施して、その結果を受診者個人に備わる「がんに対する免疫予備能」として評価を行い、多変量解析の手法による判別と、多項目のがん関連抗原検査を併用することで、従来にないがん発現に対する早期チェックと経過観察が可能になる。

がん発病に関与する免疫の状態を詳しく調べることで、がんの兆候が現れていないか、がんになりやすい体質なのか、が判定できるので、画像診断ではわからない“危険性”を把握することが可能になるという。

「一般健診では、発病したがんを探すことはできますが、がんになりそうだという可能性を探ることはできません。危ないという評価はできないのです。保険適用薬には風邪の予防薬がないのと同じで、今の医療には予防のための医療手段と点数評価がないんです」(足立医師)。一次予防の重要性が叫ばれていても、制度が追いついていない現状では、患者の理解と費用負担が欠かせない。

イムノドックの目的は、がんの早期発見だけでない。腫瘍マーカーが正常だとしても、免疫活性がさがっていると風邪をひきやすい状態になるので、検査データは抵抗力の指標にもなる。

「例えばアガリクスなどを飲んだ場合に抵抗力がついたのかどうかは医師も本人もわかりませんが、この検査ならその確認が可能になります」(足立医師)。

検査後に欠かせないのが、検査値に基づくフォローアップ体制だ。一般に食事指導は管理栄養士の役割と見られがちだが、足立医師は「基本的なことは医師も知っておく必要がある」と話す。

プロフィール
足立幸博(あだち ゆきひろ)
昭和33年生まれ。長野県出身。昭和59年、聖マリアンナ医科大学卒業。同年、付属病院第一外科入局。62年、聖マリアンナ医大東横病院勤務。平成3年、聖マリアンナ医大横浜市西部病院外科医長。8年、聖マリアンナ医大東横病院外科医長。13年1月、和乃会小倉病院外科部長。日本外科学会、日本癌治療学会等に所属。
 
●医療法人社団和乃会・小倉病院
 東京都世田谷区中町4-2-5
 TEL:03-3703-1611

(Medical Nutrition 23号より)


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