
江川理事長 |

後藤院長 |
免疫医療で“がん”と戦う 瀬田クリニック 江川滉二理事長 後藤重則院長
免疫学を駆使した最前線の治療と、患者の心をもケアする医療――この両者が共存しているのが、日本免疫治療学研究会・瀬田クリニック(東京都世田谷区)だ。基礎、臨床の医師が共同でがんの研究と治療に携わっている。手術でも抗がん剤でもない治療を求めて患者は全国から集まってくる。「病気を診て、病人も診る」2人の専門医を訪ねた。
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活性化自己リンパ球療法とは |
東京・世田谷の住宅街。国道246号線から一歩入ったところに瀬田クリニックはある。訪れる患者のほとんどはがん患者だ。同クリニックは現在、大学病院やがんセンターで研究目的に行われている「活性化自己リンパ球療法」を用いてがんの治療にあたっている。
活性化自己リンパ球療法は、養子免疫療法とも呼ばれる。患者の血液からリンパ球を分離し、Tリンパ球を活性化、培養して数千倍に増殖させた上で再び体内に戻す。そのTリンパ球の作用によって、がん細胞と戦う仕組みだ。この治療は15年ほど前にアメリカで始まったものだが、当時は有効率がそれほどには上がらず、評価は高くはなかった。しかし、かつてはインターロイキン-2(IL-2)のみによる活性化であったが、基礎免疫学の進歩によりさまざまな薬剤が使えるようになり、培養法が改良された。現在同クリニックではIL-2のほかに、CD3抗体、B7分子などによる活性化を行っている。
健康食品や医薬品でも免疫賦活作用を持つものはあるが、それらは患者の体内において直接、間接に免疫機構を賦活する。一方、自己リンパ球療法は、体の外で免疫細胞を強力に活性化し、その状態で体内に移入するのが特徴。体外だからこそ、強い免疫活性剤で処理できるメリットがある。Tリンパ球の中では、主にキラーT細胞を活性化している。培養は院内の無菌室で行われ、細胞が数千倍になるまで2週間かかる。
同クリニックは完全予約制で、自由診療。すべてのがんが対象となるが、多いのは肺がん、胃がん、乳がん、大腸がんで、これは日本人に多いがんの頻度と変わらない。手術不能、あるいは再発した患者が、マスコミの評判や主治医の紹介で全国から集まってくる。特に再発例で病状の進行した人が多いという。もっとも「最適応は、初回手術後の再発防止に使うこと。患者の免疫力がまだ活発なうちの方がよい」と江川理事長は指摘する。
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患者の3/4が健食を利用 |
「患者個人個人にオーダーメイドの治療を行う」ことを心がけている同クリニックでは、免疫療法と並行して栄養面や心理面からのサポートを行っている。食事指導は看護婦主体で行う。
健康食品については、「知識不足からか、5種類や6種類など、むやみに数を増やしている人がいる」と後藤院長。効果を確認しながら使うこと、またアガリクス・ブラゼイと霊芝といった組み合わせなど、成分の重複するものがあり、その場合は整理していくようアドバイスする。
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時間をかけてじっくり説明 |
「免疫にはメンタルな面が関与するので、精神的なケアにも配慮している」と2人の医師は声を揃える。診察室の奥にはゆったりとしたリビングがあり、そこで患者や家族の悩みにじっくりつきあうという。
ひとりの患者にかける時間は約1時間。そこで病気のこと、治療のことを納得いくまで説明する。クリニックとは思えない佇まいのエントランスや待合室、そして両医師の温厚な語り口も患者の心を癒すのに一役買っている。
がんは現在、手術や放射線、抗がん剤を組み合せた治療が一般に行われている。しかし、進行がんの多くがそれらの治療に抵抗するばかりでなく、多くの患者が抗がん剤や放射線療法の副作用に苦しめられている。同クリニックは、患者の免疫力を高めることで自然治癒力を引き出し、治療している。その上で栄養面、メンタルな角度からもサポートすることは、「病人を診る医療」の実践と言えよう。
プロフィール
江川滉二理事長(えがわ・こうじ) 昭和38年、東京大学医学部医学科卒業。昭和44〜46年、米国ベイラー医科大学研究員。米国テキサス大学理学部研究員。昭和59年、東京大学医科学研究所教授。平成9年、東京大学名誉教授。 後藤重則院長(ごとう・しげのり) 昭和56年、新潟大学医学部卒業。昭和60年、県立がんセンター新潟病院。平成3年、帝京大学生物工学研究センター講師、帝京大学医学部講師。 ●瀬田クリニック 東京都世田谷区瀬田4-20-18 TEL:03-3708-0086 |
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(Medical Nutrition 14号より)
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