意外!? 歯科治療に栄養療法を導入 生活習慣病を食改善、栄養療法で直したり、予防する非薬物治療に関心が高まる中、歯科領域の生活習慣病である「歯周病」や、現代病と呼ばれる「咬合病」に対して、ニュートリション・セラピーで臨床的にアプローチを行っている歯科医院がある。歯科治療に栄養療法を取り入れているのは、神奈川県川崎市の平沼歯科クリニック(平沼一良院長)。平沼院長は、「内科系の慢性疾患も歯科疾患もその多くは間違った食生活からくる“食源病”と言える」と指摘する。
「先端技術を駆使した高度な歯科治療も、ニュートリション・セラピーにより全身の状態を整えるバックアップがあってこそ活きてくるわけで、究極の歯科治療は、ファイナル・レストレーション(高度歯科治療)とファイナル・ヒーリング(全身治癒療法)を組み合わせたものと言えます)(平沼院長)。 同クリニックでの歯周病治療は、次のようなステップを踏んで行われる。まず食生活のパターンや嗜好傾向などを問診し、次に生化学的・栄養学的見地からの血液検査を行う。さらに顔色や肌、爪の色、リンパの腫れ具合などを観察し、栄養分析や血液検査を加味して治療計画を立てる。その上で、口腔内の治療と平行して全身の栄養指導を行う。 栄養学的コントロールの意義について平沼院長は、「治療を促進する意味でも骨増生を促進させる意味でも重要です。歯がぐらぐらするという揺れが治った以後でもメンテナンス上きわめて大切です」と指摘する。 ただ、患者個々にどの栄養素(ビタミン・ミネラル)が有効であるかを判断するのは容易でなく、診断・治療に際しては「食」に対する臨床経験が問われてくる。そこで平沼院長が、食養経験が浅くても確実に、しかもスピーディに診察できる方法を研究したところ、位相差顕微鏡による生血「ライフブラッド」を使った画像分析法に行きついた。これは手指先から採血し、染色なしにそのまま生きた血液を観察する方法で、栄養指導に重要な糖分過多、尿酸代謝以上(痛風傾向)脂肪、コレステロール過多、貧血傾向など、かなりの要素がチェックできるという。 これまでの臨床経過観察によると、「歯周病に対しては易歯周病傾向と思われる画像分析の結果が一定の傾向を示すことがわかりました。咬合不全症においても不定愁訴が出やすい状態と思われる血液画像の傾向を掴むことができました」(平沼院長)という。つまり、栄養状態と歯科疾患の相関関係を見ることで、歯科治療を効果的に行おうというのである。
「ビタミン、ミネラルなどの微量栄養素は現実的にはサプリメントで補わなければ、食事だけでは賄えない状況になっています。しかし、その一方で咀嚼機能の重要性を考えると普段の食事でしっかり噛むことが大事になってきます。極端に言えば食べ物を丸ノミするのと、ゆっくり100回噛んで時間をかけて咀嚼したものでは、栄養効率はまったく違ってきます」(平沼院長) 歯科医療では、咀嚼能力が低下すると発がん物質を弱毒化する決め手となる唾液中のペルオキシダーゼが食物と混ざり合わず、食物中の発癌物質を弱毒化する事が、できなくなるというのが定説となっている。したがって平沼院長も、「ニュートリションの基本は、あくまで食事にあります。歯肉の衰えは全身の衰えの始まりです。命の元となる食べ物をしっかり選び、良く噛んで食べることが大事であり、そのうえでサプリメントを上手に活用すれば歯周病で歯科のお世話になることはなくなります」と食生活の重要性を指摘する。
(Medical Nutrition 6号より) |
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