ホリスティック医療の実態に迫る 帯津三敬病院 帯津良一医師
「人間を丸ごと捉えるのがホリスティック医療。臓器だけを診るのではなく人と自然との係わり合い、人と人とのつながりなど、全人的、総合的に見ていく医療が求められている」。こう指摘するのは、日本ホリスティック医学協会(JHMS)会長の帯津良一医師(帯津三敬病院院長)。ギリシャ語のHolos(全体)を語源とするHolisticは、エコロジカルな社会を目指す現代人にとって最も重要なキーワードといえる。クオリティ・オブ・ライフ(QOL=生活の質)の向上を最優先させるホリスティック医療を実践するホリスティック医療を実戦する帯津三敬病院(埼玉県川越市)の診療実態を取材した。
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治療の決め手は患者自身の免疫力を引き出すこと |
「一番大切なのは心です。充実した心でいることが病状を良くする基本です。そのためにも極力、気功などの心理療法グループに参加してください。それから食事ですが、病院で出す食事は、玄米食などいろいろありますが、基本は自宅での食生活です。栄養士の指導を受けて家に帰ってからの食事に対する考え方をしっかり身に付けて行ってください」。
がん治療を専門とする帯津三敬病院には、初診のがん患者だけで年間に800人近くが訪れる。特に、担当医が帯津院長の曜日は診察予約が集中する。帯津院長は、カルテと紹介状に目をやりながら、膝詰めで対話するようにホリスティック医学の考え方や、同院の治療方針を説明する。がん治療の基本は、免疫力を高めること、そのためには精神の高揚が大事であること、食事は免疫力を高めるものをとることなど。これら一通りの指導を行った上で、手術したほうが良いのか、それとも化学療法剤や放射線療法を行うべきか、漢方や鍼灸、健康食品をどの局面で試用するのか、患者の希望を聞き入れながら治療方針を決める。「医師と患者が手のうちを見せ合って一つの結論を出して行く」(帯津院長)という手続きを踏むことにより、患者も納得し安心する。
同院の特徴は、気功や瞑想などの心理療法と健康食品の摂取により、患者自身の免疫力を引き出すことにある。
「例えばNK活性を見る場合、気功をやると必ずといっていいほど、上昇しますが、笑っただけでも活性化しますし、ラジオ体操をやることで上昇する場合もあります。一概にこれがいいとは言えません」(帯津院長)。
開業して以来、これまでにカルテを作った患者の約7割ががん患者だ。がん患者の改善例を総合的に分析してわかったことは、症状が改善するかどうかは、患者の精神状態に依るところが極めて大きいということ。前向きな人ほどNK細胞も活性しやすいが、マイナス思考の人はどんな治療を施しても良い結果が得られないという。同院では、心理療法や食事療法など、できる限りの治療を取り入れているため、ほとんどの患者は「これだけのことをやっているんだ」という自信が裏づけとなり、精神状態が安定し、がん抑制につながっているという。
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健康食品の摂取を積極的に推奨 |
同院では、健康食品、機能性食品の摂取も積極的に勧めている。
「初診時の治療相談でわかったんですが、9割以上の人が複数の健康食品を利用しています。まったく摂っていない人は、こちらがエッと思うほど少ないです」(帯津院長)。患者が使用している健康食品をチェックして利用頻度の高いもとを調べたところ、アガリクス、プロポリス、チキン・キトサン、サメ軟骨が上位に上がった。健康食品の摂取は自己判断に任せる場合がほとんどだが、同院の方で積極的に推奨するものもある。米糠由来の生理活性物質アラビノキラシランだ。開発者のM・ゴーナム医師(UCLAドリュー大学)から直接、臨床データを取り寄せ、作用機序を確認し、過去4年間にわたり実際に患者に投与したという経験から化学療法剤以上の手応えを感じている。
例えばホルモン依存症の乳がんや卵巣がん、子宮がん、男性の場合は前立腺がん、それと非ホルモン依存症の肝臓がんに対しては良い結果が出ており、その症例数と改善例は学会発表できるほどのデータだ。だが、ホリスティックな治療では心の持ち方、食事の問題など多岐にわたるため、一つの治療法についての成績を云々することは不可能である。帯津院長が注目している事例は、アラビノキシランと漢方薬を併用投与した乳がん患者、卵巣がん患者が、転移・再発してもがんが進行しなくなったケースがある。「初期、末期の進行度合いに関係なく進行が止まりました。これらはまれに抗がん剤を併用する場合もありますが、うちに来る患者は、抗がん剤を嫌がって来る患者がほとんどですので、それ以外のアラビノキシランも含めた戦略ということになります」(帯津院長)。
同院では、点滴によりビタミンCを1日に10g〜30g投与するメガ・ビタミン療法を実施したり、玄米や緑黄食野菜を使った食事療法を摂り入れているので、がん抑制効果は複合的な要因が奏効していると考えられる。
「人間丸ごとといっても科学的に解明されていない部分のほうが、まだ多いわけです。わかっている部分は科学的な西洋医学で対処し、未解明の部分については可能性があれば何でも試みる。そこに代替医療が入ってくるわけです。昨今は代替医療という言葉が一人歩きしている感がありますが、要は西洋医学と代替医学を組み合わせた統合医療が重要なのです。まだまだ時間がかかりますが、統合医療の重要性が理解されれば、ホリスティック医学がみえてくるのではないでしょうか」(帯津院長)。
プロフィール
帯津良一(おびつりょういち) 1936年生まれ。埼玉県出身。61年東京大学医学部卒業。東京大学第三外科を経て静岡県共立蒲原総合病院外科医長。東京都立駒込病院外科医長を歴任。消化器がん、主に食道がんの外科を専攻。82年帯津三敬病院を設立。日本ホリスティック医学協会会長。埼玉医科大学総合医療センター外科非常勤講師。上海中医薬大学客員教授。日本代替・相補・伝統医療連合会議理事。 ●医療法人直心会帯津三敬病院 埼玉県川越市並木西町1-4 TEL:0492-35-1981 |
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(Medical Nutrition 4号より)
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