味覚障害も生活習慣病を引き起こす要因。
 亜鉛含有食品の摂取で改善。


 冨田耳鼻咽喉科医院

食品添加物や孤食の問題など、 味覚に関心を持たない現代人が急増し、 今や味覚障害は生活習慣病を引き起こす大きな要因ともなっている。 東京・練馬の冨田耳鼻咽喉科医院では、 正しい味覚を啓発する 「味覚外来」 を開設、 味覚障害と診断された患者に大きな成果を挙げている。


 問診・検査で味覚障害を分類、ミネラルの血中濃度を測定。 

「もともと味覚外来は、 私が所属していた日本大学病院で1976年から開設していました。 週1回の外来でしたが、 この頃から味覚障害に悩む患者さんが多くなったこともあり、 評判は上々でした」 ――クリニックで院長を務める冨田寛医師は、 外来開設当初をこう振り返る。 その後同氏は、 日本大学定年退職を期に、 母方のゆかりの地でもある練馬富士見台にクリニックを開業、 味覚外来を併設した。

味覚外来は完全予約制。 一般診療と併設していることもあり、 受診者も最高1日5人までに限定している。 味覚障害の診断と治療では患者の主観に依存する部分が大きく、 問診に時間が取られる。 そのため、 電話予約の時点で自身の発症経緯を箇条書きにしてもらう。 味覚の異常は味覚減退や味覚消失以外に自発性異常味覚、 解離性味覚障害、 異味症や悪味症があるが、 市販のガムを用いて唾の出方を測定するガムテストや血液検査により、 味覚障害の原因を判断する。 とくに亜鉛、 銅、 鉄といったミネラルの血中濃度が測定され、 味覚障害の度合いは、 味覚検査 (主に濾紙鑑定法) で診断する。


  15もある味覚障害の原因。亜鉛で味覚改善。 

薬剤や肝、 腎、 甲状腺の疾患、 ストレス性のものまで、 味覚障害の原因は15もある。 なかでも、 味覚障害の3割を占めるのが食事による亜鉛欠乏。 通常100mg/dlある血清亜鉛値が80mg/dl未満の値を示すのが特徴だ。 人間の場合、 味蕾とよばれる味覚細胞は4週間でターンオーバーするが、 その際にはたくさんの亜鉛を必要とする。 亜鉛摂取量が不足してしまうと、 味蕾が退化して味覚障害になる。

このような理由から、 クリニックでは味覚障害患者に微量元素である亜鉛を補充させることで、 味覚障害の改善に成功している。 ただ現在、 亜鉛製剤は保険が適用されていない。 そのため、 現在、 冨田院長は浜理薬品工業(株)と共同開発した亜鉛含有食品を用いて指導を展開している。

「具体的には、 味覚障害の患者さんに対して50〜60mg/日の亜鉛を摂取するよう指導しています。 亜鉛1日の摂取目安量は男性12mg、 女性10mgと決められていますが、 治療のための亜鉛の量は通常摂取量のちょうど3〜4倍といったところです」。 冨田院長によると、 なるだけ食事と一緒に摂取してもらうのが亜鉛摂取の秘訣。 他の微量元素と違い、 許容摂取量の範囲も広いため、 この程度の過剰な摂取による副作用は報告されていない。 早い場合2週間後から味覚の改善がみられ、 早期の味覚障害では指導2〜3カ月後あたりで味覚は完全に回復する。 味覚障害だけでなく、 体内酵素も活性化させる亜鉛。 一押しのサプリメント素材といえそうだ。


(Medical Nutrition 58号より)


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